第2135話 コショウとアプリコット。(コショウミルを作ろうかなぁ。)
客間の扉がノックされ、エルヴィス爺さんが返事をすると。
「失礼します。」
フレデリックが入ってくる。
「献立等の変更は出来たかの?」
「はい、コノハ殿、パナ殿にもご確認頂けるように今、献立表の作成を実施しています。
明日にはお見せ出来ると思います。
それと掃除ですが、あと1時間程度で終わりますので、それまでお待ちください。」
「うむ、すまぬの。
メイド達には後ほど甘い物をの。」
「はい、現在、料理人達がかりんとうを作っております。」
「「ありがとうございます。」」
武雄とアリスもフレデリックに礼をする。
「主達は何を話されていましたか?」
「まぁ、慣例の戦争についてじゃよ。
フレデリックにも話しておかなくてはな。」
エルヴィス爺さんが先程までのやり取りを話すのだった。
・・
・
「今回は主の言う通り、防御を固めて堅実な戦闘をしないといけないですね。
配置や迎撃の方法は後日、研究所から検討書が来てから担当部署を集めて会議をしましょうか。
この場で何を言っても実質的な結論には到達なさないでしょう。」
「うむ。」
「わかりました。」
フレデリックの言葉にエルヴィス爺さんと武雄が頷く。
「タケオ、慣例の戦争以外でわしに言える事はあるのかの?」
「そうですね・・・輸入品候補を大量に買ってきたので、経済局の方や組合の方々に見て欲しいですね。
そこから少しでも輸入品目が出来れば私の方の収入になりますからね。」
「なるほどの。
その言い方だと相当な量を買ってきたのかの?」
「個々の量は少ないですが、布や衣服、食器やワイン、穀物や干物なんかを買って来ています。」
「ほぉ、手広く買ってきたの。
どうじゃった?」
「まず小麦がパン用や菓子用と用途別に売られていました。
前に説明したようにこの地ではしていないですが、魔王国では品種毎に売られているようですね。
エルヴィス伯爵領内で仕分けする予定ではありましたが、それよりも蒔く種の種類を最初から統一してから生産をし、収穫時に今まで分けていた様に別々に袋に入れるという事が出来ると思います。」
「ふむ・・・仕分けをする必要が無いか・・・こっちの口に合う小麦があればその小麦からの作付けと継続的な少量の輸入を実施しても良さそうじゃの。
もちろん輸入についてはこの屋敷用じゃがの。
まぁ、早々に経済局に見させるかの。」
「はい、お願いします。
あとはコショウという調味料とアプリコットの苗木ですね。」
「アプリコット?
とはなんじゃ?」
「魔王国の東側の国から持ち込まれた木の実ですね。
今回はとりあえず育てられるか、試そうかと思って買ってきました。
ベルテ一家にお願いしますけどね。
それとシモーナさんの所でも栽培試験をして上手く行ったらハチミツ漬けにして売ると言っていましたよ。
ちなみにウォルトウィスキーで割ったら美味しかったです。」
「ほぉ、それは期待したい所じゃの。
それとコショウというのはコノハ殿が振り切れておったがの、それほどの物か?」
「まぁ・・・あれば美味しくなりますね。
お肉とかパスタとかで威力は発揮されますよ。
ちなみにミル(ペッパーミル)はありますか?」
「ミル・・・」
「タケオ様、コノハに聞きましたが、そのミルというのはありません。」
エルヴィス爺さんとアリスが首を振る。
「はい、わかりました。
コノハ、作るよ~。」
「あ~い。
スズネには相談しようと思って忘れてたわ。
どこに頼もうかな・・・要は外と内で擦り合わせて実を削るんだけど・・・木製の方が出来やすいかな?
モニカの所?」
「また追加したら・・・コノハは大丈夫ですが、後で私がぶん殴られそうです。
ですが、そこ以外に知り合いが居ないのも確かな所ですね。
ん~・・・今回は雑貨屋さんに頼みますかね。」
「タケオ様、ハワース商会を通さなくて良いのですかね?」
「家具作りではないですからね。
小物作りをしている所の方が良いでしょうからね。
・・・一応、声かけときますか。
もしかしたら知り合いに小物の製作工房が居るかもしれませんし。」
武雄が言う。
「あ、ステノ技研でも良いのか。」
「・・・唐箕作りで木材加工はしていますね。
でも小さい物は・・・あ、懐中時計作ってたか・・・でも全く違う事だからなぁ・・・
暇そ・・・テイラー店長に作らせるのもありですね。
剣の持ち手とか弄っていますし、仁王様がいますからわかるでしょう。」
「あー、ニオが居るなら大丈夫そうだね。
そっちに頼もうか。
3個くらい?」
「厨房とメイドさん達と私達で6個くらい作れば良いんじゃないですかね?
仁王様に頼んでおけば作ってくれるでしょう。」
「わかった。
・・・ニオがOKだって。
出来たら連絡くれるって。」
コノハがニオにさっさと連絡を付けて武雄に言う。
「なら、こっちには無いですね。
エルヴィスさん、他にはありません。」
「うむ、そうか。
それにしても・・・そのコショウというのは早く食したい物じゃ。」
「刻んだりしても食べられますよ?
あー・・・簡易的にで良いなら削り節器で擦れば良いのかもしれませんね。」
「ふむ・・・なら、明日の夜にでも食べさせて貰おうかの。」
「わかりました、明日にでも料理長に渡してみますね。」
武雄が頷くのだった。
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