第2132話 その頃のいつもの居酒屋では。2(いつものメンバーが飲んでいましたとさ。)
試験小隊の面々から離れた席では。
いつものメンバーが揃っていた。
「はぁ・・・あそこに見えるのは試験小隊の方々。
という事はキタミザト様が戻ったという事ですね。」
ラルフがため息交じりに言う。
「・・・私には見えない、私には見えない。」
モニカが半ば祈りながら唱えている。
「モニカもラルフも大変そうだな。」
ベッドフォードが言う。
「スズネさんは聞いていたのですか?ほほほ。」
ローが鈴音に聞く。
「はい、知っていました。
なので、私もトレーシーさんも武雄さんに報告する資料を大急ぎで用意していました。
モニカさんは武雄さんから注文が来ていると言っていましたからわかりますが、ラルフさんも武雄さんに何か言われているんですかね?」
「ほほほ、あそこはキタミザト様というよりもスズネさんだろう。」
「あ~・・・スニーカーとかですね。
でも私には言って来ませんよ?」
「それはそうでしょう。
スズネさんもアリス様も個数が欲しいと言っていないのですから。
ですが、ここにキタミザト様が来ると・・・注文してくると思いませんかね?
これをラルフは予想して疲れているのですよ、ほほほ。」
ローさんが楽しそうに言う。
「あー・・・あ、研究所の作業服を作る際に注文した半長靴の底は交換かもしれませんしね。
ラルフさんはそれを考えたのかもしれません。」
「ほぉ、スズネさんはそう思うのですか?」
「はい、はっきり言ってスニーカーの靴底に使っているゴムの利点は柔らかい事です。
長時間歩いたりしているのを考えると足に負担が少ないように武雄さんならすると思います。
というよりも武雄さんが欲しがります。
そして私も欲しいです。」
「ほほほ、それは確定だ。
だが・・・スニーカーはまだ私達しか知らない物。
キャロルもまだ手探り状態で作っていると言っていましたよね?
靴底だけとはいえ、そこまで数を用意出来ないのではないのですかね?」
「・・・ローさん、武雄さんが言いだすんですよ?」
「・・・出来ますな。
キャロルですらある程度の量産はするでしょうね。
となるとその後もある程度の量を作り続ける可能性があると・・・ふむ・・・スズネさん、そのスニーカーは売れますかね?」
「売れると思います。
でも・・・爆発的に売れるかはわからないです。
履いて貰えば足への負担が少ないとわかってくれると思うのですけど・・・どういったお客さんに売れば良いのかまでは私には考えつかないです。」
「ふむ・・・なるほど。
ん~・・・ま、その辺はラルフが考えるでしょう。
ほほほ、スズネさんは今まで通り色々と作ればいいでしょうね。」
「はい、あ、そうだローさん、コースターもゴムで作れませんかね?
ワイン用のグラスとかの下に敷いて転倒防止にとか。」
「ふむ・・・ワインは色を楽しむ人が居ますからね・・・
白色とかがあれば使われるかもしれませんよ?ほほほ。」
「んんー・・・まだゴムに色が着けられません。
今後の課題かなぁ。」
「ほほほ、良い物を作り出してくださいね。」
「はい、わかりました。
?・・・ん~・・・」
鈴音がローと話終わってすぐに眉間に皺を寄せて考え始める。
「おや?どうしましたか?」
「いえ、ちょっと私の精霊が・・・ん~・・・テイラーさん。」
鈴音が席を立ってテイラーの隣に行くのだった。
鈴音とテイラーが皆から少し離れた席に移動し話し合っている。
「・・・どうしたものでしょうか。
ニオからはコノハ殿からここの皆には言って良いと了解は取ったとは言われましたけど。」
テイラーが考えながら言う。
「でも、街へはもう少し経ってからの公表だって、テトちゃんが言っています。
なので、大騒ぎは出来ないと思うんですよ。」
「そうですね。
かと言って、スズネさんは研究室でキタミザト様に会いますよね。
それを知っている皆さんですからね。
公表まで知らせないというのも・・・」
「でも、言うんだったら皆に同時が良いですよね。
楽ですし。」
「まぁそうですね。
・・・紙に書いて回しますか。」
「そうですね。
声は出さない事とも書いておきましょうか。
まだ、内密だとしておけばここの人達は黙るでしょう。」
「内容は・・・『アリス様、懐妊される。声を出して言ってはならぬ。』ですかね。」
「え・・・なんだか違う感じに取れそうな命令ですね。」
「そのぐらいが良いのですよ。
では、紙に書きますからね。」
テイラーとスズネが皆への伝達方法を確認するのだった。
・・
・
鈴音がモニカの隣にやってくる。
「あら?スズネちゃん、どうしたの?
テイラーと何話していたのかな?
もしかしてこれからの事でも・・・ん?なにかしらぅあ!?」
鈴音がそっとモニカの前に置いた紙を見たモニカが変な驚き方をする。
いつもの皆が各々の会話を止めてモニカを見る。
「あ・・あはは、ごめんなさ~い。
ス・・・スズネちゃん、これは・・・本当に?」
モニカが少しオロオロしながら聞いてくる。
「はい、お付きの精霊殿からのご連絡でここに居るいつもの皆さんにはお知らせして良いと伝わっています。
なので、お一人ずつ回して見て貰ってください。
良いですか?内容を声を出して言ってはいけません。」
鈴音が言う。
「そ・・・そうね、公表する前の大事な情報だもんね。
私達だから先行して教えてくれたんだろうし・・・信頼を裏切ってはならないよね・・・
ラ・・・ラルフさ~ん、ちょっと。」
モニカが席を立ち、ラルフの方に行く。
端から観たらちょっと面白い伝言ゲームが開始されるのだった。
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