第2131話 その頃のいつもの居酒屋では。1(試験小隊と王都の面々が飲んでいた。)
いつもの酒場にて。
「はい!今日はもうお仕事終了という事で!
皆さん、魔王国への出張お疲れさまでした!
じゃあ乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
ブルックの音頭で試験小隊の面々とマイヤー、王都からの面々でちょっと遅めの送別会が始まった。
「いや~・・・疲れた。
意外と幌馬車に揺られるのも疲れる物だな。」
デナムが酒を飲みながらいう。
「それ・・・たぶん、キタミザト殿が一緒だったからですよ?」
ラングフォードが呆れながら言う。
「何か濃密な移動だったなぁ・・・おかしいなぁ、もっと楽な旅と思っていたのに。」
「本当ですね。
でも、意義はありましたね。」
ラングフォードが言う。
「・・・確かに、これ王都に戻ったら報告書が大変なんでしょうね。
と、それより結局、散策と言う名の買い物を個人個人でしていて夕食が遅くなりましたけど、デナム局長やラングフォード次長は何を買ったのですか?」
ハガードが聞いてくる。
「中濃ソースだな。」
「私もですね。
あと、騎士団や王都守備隊が購入するというトレンチコートを旦那と見に。
ハガード殿は?」
「私は雑貨屋を巡っていました。
この地にしかないような物があるかと思って。
何も買いませんでしたが、見ているだけでも楽しかったですよ。」
ハガードが言う。
「本当、明日1日かけて見回っても良いかも。
でも、明日出発ですしね。」
「うん、そこは致し方ない。
ま、その内また来ればいい。」
デナムが言う。
「気軽に来れる距離ではないのですけどね・・・次に来る機会があったら今と変わっているんでしょうね。」
「「そうだなぁ。」」
王都組の3人が楽しそうに飲んでいた。
「うふふふ♪」
フォレットが傍らに置いたショートソードを撫でながら嬉しそうにしている。
「フォレット、良かったわね。
良い剣が見つかって。」
ブルックが言ってくる。
「はい!いやぁ、まさか前に旅をしたブラッドリーさん達だとは思いませんでしたよ。」
「うん、そうね。
ま、前にも言ったけど王都では秘密でね。」
「はい!わかりました!」
フォレットが勢いよく頷く。
「バートは何か買ったのか?」
アーキンがバートに聞く。
「私はナイフを1つ。」
「ナイフ??」
「ええ、ナイフに魔法刻印のものなんて王都では滅多にお目にかかれないですからね。」
「あー・・・そうか。」
アーキンが「そう言われればそうだなぁ」と思って頷く。
「フォレットから聞きましたが、皆さん装備一式替えたんですってね。」
「あぁ、替えたなぁ。
仕事内容が変わったからそれに合わせて。」
「統一したんですか?」
「いや?各々で必要と思う物を買ったぞ。
所長からは特に言われてないしな。」
「・・・良いのですか?」
「さぁ?」
アーキンが両手を挙げて答えるのだった。
「では、私は一足先に王都に戻りますからね。
誰がキタミザト殿と一緒に来るんでしょう?」
「「さぁ?」」
マイヤーとアンダーセンが答えるが他の面々も「知らなーい」と首を振っている。
「おいおい、お前らの所属長だろう?」
ラックが慌てて聞いてくる。
「明日ぐらいに所長から言われるんじゃないですか?」
「今回は誰が行くんだろうな?」
「今日明日の話ではないだろうからもうしばらくはゆっくり出来るだろうな。」
試験小隊の面々はお気楽に答える。
「良いのか?それで・・・
はぁ、別の部隊だ、俺が言う事ではないか。」
「ラック達も移動は気を付けてな。」
マイヤーが言う。
「ええ、注意しながら進みます。
王都に帰ったら報告書を起さないとと思うとやる気出ないですね。」
「ははは、報告書も仕事さ。
それで、ラック的には魔王国をどう見た。」
「そうですね・・・地方はわかりませんが、王都の兵は統率の取れた良い軍が居るようですね。
それにこちらが人間種だからと見下さずに丁寧に対応してくれました。
魔王国は我々が思うのよりも随分と寛容なのだと思いましたね。」
「ほぉ、なるほど。
なら、ウィリプ連合国の方が余程、種族による偏見が強いと映るな。」
「そうですね。
住んでいる者の姿形が違うだけで、雰囲気は我が国に似ていましたよ。」
「そうか。
ふむ・・・魔王国か、中々に良い国家という位置付けになりそうだな。」
マイヤーが頷く。
「ええ、それにしてもキタミザト殿を傍目から見ていましたが、輸出入に力を入れるみたいですね。」
「まぁ、キタミザト家の収入源だからな。
王都の貴族会議の面々も副収入源はあるだろう?アレと一緒だろう。」
「まぁ、そうですが、些かキタミザト殿がやる対魔王国の輸出入業は自由にし過ぎている感じを受けましたが。」
「まぁ、そこは所長だしな。」
「ええ・・・皆してその言葉を言うのですけど・・・」
ラックが腕を組んで考える。
「ラックも魔王国で所長の行動は見ていただろう?
ラック自身はどう思った?」
「キタミザト殿は独特なので参考になるような方を知りませんが・・・自由に交渉をし、やりたい事をしていましたね。」
「うん、それを俺達は『所長だし』と言うんだよ。
アンダーセン、所長はいつも通りだったか?」
「はい、いつも通りの所長でした。」
「なら、問題はないな。」
マイヤー達も飲みながら話をするのだった。
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