第2130話 夕食後のマッタリ時間。3(大掃除中に付き、客間から出ないように。)
アリスの妊娠発覚・・・それによって朝まで勤務のメイド達が慌ただしく動いていた。
武雄達の寝室と日頃使っている湯浴み場の徹底した清掃、通路等でアリスが倒れて怪我をしない為の小物の配置転換、窓や扉に木のささくれが無いかの確認、フレデリックとメイド長と料理長は今後の献立の調整等々・・・大忙しです。
武雄達は客間で大人しく清掃等が終わるのを待っている。
「・・・なんだか、大変な事になりました。」
アリスは薄い毛布をお腹にかけ、温かい麦茶を飲みながら言う。
「・・・久しぶりの感じじゃの。
とりあえず、アリス、タケオ、おめでとう。」
「ありがとうございます、お爺さま。」
「ありがとうございます。」
エルヴィス爺さんの言葉にアリスと武雄が返事をする。
「どうじゃ?親になるようじゃぞ。」
エルヴィス爺さんが武雄に聞く。
「ん~・・・実感が湧きません。
子供かぁという感じです。
もちろん嬉しいのですが、考えさせられもします。
自分でも不思議ですが、冷静です。」
武雄が言う。
「うむ、男はそういう感じじゃろう。
アリスはどうじゃ?」
「ジェシーお姉様とレイラお姉様の発覚の瞬間を見ていますけど。
『何を慌てているんだろう』と思っていましたが、実際に自分が言われると何をして良いかわかりませんね。
私はコノハとパナ殿がいるので安心ではあるのですけど・・・本当に何をすれば良いのかまったくわかりません。
これを混乱というのでしょうね。」
アリスが言う。
「ふむ・・・アリスもタケオも冷静じゃの。
まぁその辺は日に日に実感していくじゃろうの。
タケオ、アリス、公表はいつするかの?
一応、貴族としては子供が出来たのなら王都には報告する事になっておるが。」
「そうですね・・・確か妊娠の安定期は妊娠5か月でしたか・・・1か月後に報告としたいですが、ジーナとスミス坊ちゃんにはすぐに教えておこうかと思います。」
「ふむ・・・ならレイラと陛下にはバレるの。
まぁ正式な方を王都は受理するじゃろう。
ヴィクター達にはすぐに知らせないとの。」
「はい、タケオ様、そこは明日ですね?」
「ええ、明日、研究所に行ったら話しておきます。
エルヴィスさん、王都に行かないとダメですかね?」
「タケオ、気持ちはわかるが、仕事はせねばなるまい。
ただでさえ今回は陛下に伺いを立てたからの・・・あ、そうだ、ジーナから今日の朝、報告が来ておるよ。
預かっておったのをアリスの懐妊の衝撃で忘れておった。」
エルヴィス爺さんが小瓶を取り出し、武雄の前に置く。
「失礼します。」
武雄が小瓶を開けて中を読みだす。
「・・・魔王国からの宣戦布告が近いので時期を見て王都に来るように・・・です。」
「戦争が8月半ばの予定なら7月半ばに宣戦布告されるの。
タケオはいついくかの?」
「ん~・・・パッと行って、サッと帰って来ることが理想ですが・・・馬で行っても往復で8日間は移動ですからね。」
武雄が考えながら言う。
「普通は馬の移動だけで往復10日なんじゃがの。
まぁ致し方あるまいよ。
向こうでは2日くらいかの?」
「そうですね・・・もう少し居るかもしれませんね。
今日は何日でしたか?」
「今日は6月26日じゃの。」
「んー・・・色々と打ち合わせをしますから6月30日に出ますかね。
本当なら今回はアリスと行こうと思っていましたが、妊娠しましたしね。
今回も研究所の誰かと行きます。
明日はその調整ですね。」
「私は大人しく待っています。
スズネさんといろいろ作っていますし、その進捗も見たいですからね。」
「まぁ、コノハも居ますしね。
あまり残す事に不安はないんですけど、それに1人での外出は難しくなるかも知れませんが、いつも通りに散歩をしながら過ごせば運動にもなって良いかも知れませんね。」
武雄が頷く。
「そこは任せて。
アリスはいつも通りに過ごしてくれて構わないわよ。
お腹の子供の事は大丈夫だから。」
チビコノハが言う。
「任せます。
私よりもコノハの方が専門家ですからね。
でも、外出する時は誰が一緒に行くんでしょうかね?」
武雄が首を傾げる。
「その辺もフレデリックが考えてそうですけど。
子供達から1名、メイドが1名くらいじゃないですかね?」
アリスが言ってくる。
「まぁ別に戦闘をするわけではないからの。
あくまで付き添って急にぶつかったりしないように周囲を見ている感じじゃろう。
そこまで心配する必要はないと思うの。」
エルヴィス爺さんが頷く。
「私はいつも通りですね。
で、お爺さまとタケオ様は何を話していたんですか?」
アリスが聞いてくる。
「うむ、現状の領内の事じゃよ。
養鶏場とウスターソース、ウィリアム殿下領までの街道の話をしたの。
人工湖は少し遅れ気味じゃ。
ローチ達のクレーンの試験が終わってからと聞いておる。」
「・・・試験するんですか?」
武雄が聞き返す。
「うむ、そういう報告を受けたの。
確か、コンテナ搭載馬車の組み立てを行う為のクレーンだったかの?」
「それ、試作と言うよりも本格的な奴ですけどね。」
「うむ、その融資を小口で行うようじゃぞ?
その試験結果を人工湖に反映させるんだそうじゃ。
なので、人工湖の方は少し延びるかもしれぬが・・・まぁ、担当がそこまで焦っておらぬから間に合うと思うの。」
「そうですか・・・それは聞いておきますね。」
「うむ、頼む。
では・・・タケオの方の報告を聞こうかの。」
エルヴィス爺さんが言う。
「ふむ・・・今言えるのは・・・慣例の戦争関連ですかね。
日程的にはわからないのですが、相手の陣容がわかりました。」
武雄が話し始めるのだった。
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