第2129話 夕食後のマッタリ時間。2(アリス妊娠発覚。)
「こっちの報告はありますけど、たぶん面倒なので、エルヴィスさんからはありますか?」
武雄がパナの診断を終えたエルヴィス爺さんに聞く。
パナはアリスの診断を開始している。
「そうじゃの・・・
養鶏場は思った以上に稼働が良いと聞いておる。
この街と4町での報告を聞く限り、卵は予想より市場に多くを出せているそうじゃ。
それに伴って夕霧から借りているスライム達による卵の殻の回収事業じゃが、店舗の皆も協力的じゃし、個人宅にも徐々にだが浸透をしてきており回収量が増えているとの事じゃ。
もう少ししたら各町からこの街に集めてハワース商会に売ろうと思う。」
「それは良かったです。
養鶏場からの肉の出荷はもう少しかかりますか?」
「うむ、今もしておるが、本格出荷はまだじゃの。
養鶏場で卵が生めなくなった個体を肉に処分する予定でもあるのじゃが、それとは別に肉用にと卵を産まないニワトリも用意しておるが、今はこれを少しずつ出荷して市場の確認をしておる。
まぁ少しと言っても1羽、2羽といった単位ではないがの。
肉の方がこれからじゃよ。」
「そうですか。
なら問題なさそうですね。」
「うむ、養鶏場は順調じゃよ。
ウスターソース用の西町での野菜栽培じゃが、作付面積は計画通りの広さに広げられたと聞いたの。
ベッドフォードの所の生産量を上げながら原材料の方も上げて行けるじゃろう。
こちらも上手く工程を立ててやっておるようじゃぞ。」
「順調そうで何よりです。」
武雄が頷く。
「うむ、それとウィリアム殿下領までの街道整備じゃが結構早く進んでおるの。
今は例の新規の村の位置に作業員が寝泊まりしておっての、南町までの道を確実に作っておる。
人工湖の方じゃが、これ・・・」
エルヴィス爺さんと武雄が話していると。
「はぃ!?」
パナと話をしていたアリスが突然大きな声を出す。
「「!?」」
武雄とエルヴィス爺さんがアリスを見る。
「・・・本当ですか?」
アリスがパナに真面目な顔をして聞いている。
「はい、嘘偽りなく。」
パナが頷く。
「コノハ!」
アリスが言うと。
「はいはーい。」
チビコノハがアリスの肩にやって来る。
「知ってた?」
「うん、知ってた。」
「何で言わないの!?」
「アリスが聞いてきたら答えようと思ってたんだけど、まっっったく気が付かないんだもん。
もりもりもりもり毎日食べて。
私の能力を私自身が疑ったわよ。」
チビコノハが呆れながら言う。
「気が付いてたよ!?気が付いてた!」
「なーんで私に聞かない?」
チビコノハが呆れながら言う。
「いや・・・その・・・気のせいかもと・・・聞きかじっている感じではなかったし・・・」
「なーんで私に聞かない?」
「うぅ・・・怖かったんです。
気のせいだったら皆に迷惑がかかるかと・・・」
「ま、そうよね。
でも妊娠初期なんだし、皆が皆同じ症状じゃないのよ。
私は貴女の精霊よ?
もっと頼って欲しいわ。
ついでに言えば私安産の女神よ?
それとわかってからは毎朝アリスが起きる前に調整はすませているからね。」
「うぅ・・・ありがとうございます。」
アリスが頭を下げる。
「さて・・・あー・・・」
チビコノハが武雄とエルヴィス爺さんを見る。
「「・・・」」
エルヴィス爺さんと武雄が固まっていた。
「んー・・・パナちゃん、診断結果をお願いします。」
「はい、アリスは現在妊娠11週目と思われます。
つわりやむくみは見受けられませんが、胎児達は順調に成長中です。」
「達?」
アリスが訝しがりながら聞いてくる。
「アリス、双子です。」
「は・・ぃ・・・」
アリスが頷く。
「お・・・おぉ・・・」
エルヴィス爺さんが言葉を漏らす。
「・・・」
武雄は真剣な表情で聞いている。
「問題が無ければ来年2月半ばの出産予定となります。
ここまで何かありますか?」
「えーっと・・・双子なのですか?」
アリスが聞いてくる。
「はい、双子です。」
パナが返事をする。
「エルヴィスさん、双子だと何か問題がありますか?
不吉だとかなんとか。」
「いや特にはないの。
ただ、双子は生まれつき体が弱いと言われているのじゃがどうなのじゃ?」
「そんな話は聞いたことありません。
子供の体調は家庭環境や母体や子供の栄養不足が主な原因です。
これに双子かそうじゃないかは関係ありません。」
パナが言う。
「うむ・・・問題ないようじゃよ?」
エルヴィス爺さんが武雄に言う。
「そうですか・・・パナ、アリスは大丈夫ですか?」
「はい、問題はありません。
体調も問題なく、食欲もあります。
ですが、妊娠期間になりますので、生物の摂取は基本止めた方が良いでしょう。
生野菜も量を抑えないといけません。
基本的には火を通した物を口にしてください。
また、極端に甘い物や塩が多い物もダメです。
それと妊娠したからと食べ過ぎにも注意です。
子供が望んでいるという風な言い方は意味がありません、規則正しく食事をしてください。
もしつわりが激しくなった際は少量を数回に分けて摂取しても構いません。
あと骨密度が下がりますので、牛乳を取って補給をするように心掛けてください。」
「は・・・はい。」
アリスが頷く。
「ま、詳しくは前に私達が書いた保健を見てね。
あとは小まめに私達が指導するから。
あ、適度な運動は大事よ。
散歩がてら毎日歩いた方が良いわね。」
チビコノハが言う。
「アリス、おめでとうございます。」
「アリス、おめでとう。」
パナとコノハがアリスを祝福するのだった。
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