第2128話 夕食後のマッタリ時間。1(コショウについて。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
夕食も終わり、武雄達が食後のティータイムを満喫していた。
「パナ、とりあえず、ここに居る皆さんの状態の確認をしてください。
面倒ならケアで一気に治してください。」
武雄がお茶を飲みながらチビパナに言う。
「わかりました。
まずは伯爵からですね。」
パナが人間大になって伯爵の下に行く。
「うむ、すまぬの。」
「伯爵、最近食欲はありますか?」
「うむ、問題なくある。
少し喉が渇きやすくなってきたかの?
少し多めにお茶を飲んではいるかもしれん。」
「尿はしっかりと出していますか?
もしくは無意識で出たりしていませんか?」
「まだ平気じゃぞ。
問題なくトイレに行きたくなる。」
エルヴィス爺さんがパナと話を始める。
「タケオ様、久しぶりの屋敷の食事はどうでしたか?」
アリスが聞いてくる。
「美味しかったですよ。
マヨネーズがこれほど恋しかった事はありませんよ。
毎日、いつでも使える状態から一気に使えない状況に置かれると無性に食べたくなるものですね。」
「そういうものなのですね。」
「ええ、国内での活動では見知っている人達のみですけど、今回は魔王国というのもありましたし、王都の人達も居ましたからね。
製造方法を知られない為に作りませんでしたし。」
「結構、幅が狭まった感じだったのですか?」
「そうですね、マヨネーズは使い勝手がいいですからね。
あると無いとでは格段に料理の幅が狭まってしまいます。
まぁ、出汁とかは使っていましたから問題ありませんし、基本的に向こうの料理を食べていましたよ。」
「へぇ~、何か料理的に発見はありましたか?」
「そうですね・・・ま、最大はコショウを見つけた事ですね。」
「そうだ!コショウ!
タケオ!輸入出来るの!?」
チビコノハが現れて武雄に聞いてくる。
「ええ、輸入は出来ます。
確実に手に入れられるようにしてきましたからね。
少し正式輸入については向こうで契約をしないといけないので時間はかかりそうですね。」
「輸入品ならしょうがないか・・・タケオ、何をしたの?」
「コノハもコショウが私が居た所では初期では高い調味料だった経緯は知っているでしょう?
あれに似た事をしようと思ってですね。」
「それは・・・タケオの懐が温まりそうね。
まぁ、初期輸入ならしょうがないか、確実に輸入したいなら価格を高くするしかないものね。
ちなみにどのくらい輸入出来そうなの?」
「月々40kgを依頼しています。」
「おおー結構買ったね。
依頼している段階という事は今、魔王国で調整中なのよね。
上手く行けば良いんだけど・・・大丈夫かな?」
コノハが考えながら言う。
「懐を潤沢には潤せませんけど、確実に卸して貰えるように仕向けていますからね。
なので、アズパール王国から他の者が買い付けに行っても買えないような方法・・・要は買取価格を通常の数倍にしています。
それとシモーナさんとレバントさんにも同様に高価格での利益供与をしています。
まぁ、とりあえずは11年契約でとなりますけどね。」
「ふむ・・・となると本当にコショウを金と同価値にするの?」
「ええ、エルヴィス家には利益そこそこで卸しますけどね。
エルヴィス家とキタミザト家以外に卸すなら・・・まずは1kgで金貨1枚程度は取ります。
原価としては1kgで銀貨4枚、ちなみに魔王国で個人購入するなら銅貨80枚。
まずはここからです。」
「おー・・・で、他には買わせない方法を取るのかぁ・・・
これは独占状態が長く続きそうね。」
「ええ、ですが、基本は私達が食べたいからなので10kgは私達とエルヴィス家で消費し、残りが国内に分配となるでしょうね。」
「私達が使うとそれぐらいにはなっちゃうよね。
コショウの利益は残りの30kgかぁ~。
一番は王都の厨房だろうけど・・・王家も買いはしそうだね。」
「10kg分の利益を稼がないといけないですからね。
売れる所に売りますよ。
まぁ、実際の売値は魔王国で交渉が上手く行ってから考えても良いかもしれません。」
「タケオ、ちなみに月々40kg以上は輸入しないの?」
「する気はありませんね。
なので、限られた量を取り合う事になります。
さて・・・私達は金貨1枚で1kgを売りますが、その先はどうなるでしょう?」
「あくどいなぁ~、ま、私はコショウが料理に使えるようになるのならタケオのしている事に何も言わないわよ。
お土産としては?」
「20kg買ってきました。
レバントさんと取引のある問屋さんの在庫を全部引き取ってきました。」
「よし!
となると・・・エルヴィス家とタケオの喫茶店で使えるかな?」
「喫茶店は怖いですね。
もっと輸入しろと言われるかもしれません。
ですが、毎月定量を確実に入れる事で買値を高くしていますからね。
今更、量は増やしませんよ。
なので、基本はエルヴィス家のみとさせてください。
あとは、ヒルダとか鈴音にちょっと渡す程度ですよ。」
「エルヴィス家だけかぁ・・・ま、メイドさん達と料理人達の賄いに使えば10kgは消費出来るか。」
「と思っていますよ。
あ、ちなみに獣人系はコショウは辛味が強くて食べないそうです。
なので、シモーナさんも扱っていないそうです。」
「へぇ~。
唯一の窓口で扱ってないなら入ってこないのもわかるわ。
じゃ、コショウは当面、数量限定という事で考えるわね。」
「ええ、11年間はその数値の輸入しかする気は今の所ありません。」
チビコノハの言葉に武雄が頷くのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




