第2126話 サプライズするの?(エイミー、まだまだだと自覚する。)
エルヴィス伯爵邸内の精霊+ビエラ達の部屋。
コノハとパナが白湯を飲みながらマッタリしていた。
「パナちゃん、お疲れ。」
「無事に戻ってきました。
コノハも大変だったでしょう?」
「んーん、特に大変じゃなかったわよ。
アリスが出かける時に付き合うだけだもん。
まぁ私よりテトちゃんの方が大変かも。スズネがいろいろしまくってたよ。
タケオがやる事が目立っているけど、スズネも相当発展に貢献してそうだよ。」
「まぁ、日本人ですし。
そう言えばスニーカーを作ったと聞きましたね。」
「ユウギリがそっちに行っていたわね。
ハイとローを作ってたわ。
今は試作の段階でもう少ししたら試験販売だろうね。」
「もうそこまでしているのですか。」
「うん、やっぱりタケオと懇意にしている者達よ。
動きが早いわ。
それに製品化への時間も短い。
意匠があーだ、こーだといった議論より製品をまず作ろうって姿勢で臨んでいるわ。
・・・あんな風にするのなら確実に商機は掴んでいくでしょうね。」
「なるほど・・・他に新しい物はあるのですか?」
「生理ナプキンの試作試験が始まったわ。
アリスが屋敷の皆に指導していたし。」
「あー・・・コノハ、アリス妊娠していますよね?」
「うん、しているね。」
コノハがしれっという。
「言ってないのですか?」
「言ってないなぁ。
自分でまずは気が付かないと・・・もう少し様子をみてみようと思って見守っているんだけど、ちょっと迷い中なのよ。
一応毎日調整はしているわ。
まぁ、ラルフの所で、すっ転んだ時は一瞬焦ったけど、すぐに調整をしておいたからたぶん平気。
その後も注意深く見ていたけど、着床状態に異状はなさそうね。」
「ふむ・・・あとでアリスを診断しましょう。」
「ええ、お願い。
パナちゃんの方が正確にわかるだろうからね。」
「それにしても最初は失敗しましたが、成功してから2か月は経ちましたよね。
アリスは気が付いていないのですか?」
「薄々気が付いているわよ。
でも怖くて聞けないみたいね。
私にもパナちゃんにも。
それにつわりが来てないのよ。
だから、いまいち確証がないようでね。」
「アリス、つわりがないんですか?」
「うん、まったくない。
見ているこっちが失敗したかもと思ってしまうぐらい。
でもお腹の方はちゃんと成長しているわよ。」
「味覚は?」
「全然変わらないの。
なんでも美味しいって食べているからね。
料理長とアリスにもいつでも妊娠しても良いようにという理由を説明して慣れさせる事を目的に生系の食材は使わずに必ず火を通す事とアルコール系も控えさせているわ。
チーズはプロセスチーズを使用するように指導しているし、基本的には火を入れるようにさせているんだけど・・・そろそろアリスに言わないといけないのかなぁ?」
「ふむ・・・コノハとしてはアリスが自ら認識させてあげたいんですよね?」
「うん、自覚は大事だし。
人から言われるよりまずは自分で認識してから聞きたいだろうしね。
でも、ここまで妊娠症状がないと言わないとお酒や生食材を食べちゃいそうでさぁ・・・」
「・・・ふむ・・・なら、今夜にでも私が診断して言いますか。」
「そうかぁ。
・・・大丈夫だと思うんだけど・・・まだ2か月だしなぁ。」
「レイラ達には1か月半で言ったではないですか。」
「まぁ・・・ね。
よし、言おうか。
ちょうど、タケオも居るし。」
「そうですね。
では、今夜言いましょう。」
「うん、わかった。」
パナとコノハが頷くのだった。
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アズパール王国 王城の一室。
「はぁ・・・」
お茶を机に置き、外を見ながらエイミーがため息をつく。
「エイミー殿下、どうされました?
昨日も今日もエルヴィス様とデートしているのに浮かないですね。」
ドネリーが聞いてくる。
「デートではないですけどね!
というより貴女達も居たでしょう!
はぁ・・・まさか、兵士達が泊まる宿がスミス達と一緒だとは思わなかったわ。」
「それは思慮が足りませんでしたね。」
「・・・そうね。
王都の宿を知らないスミスが誰に聞くか、そして王都の宿を知らない私がどこに頼るか・・・」
「総監局ですね。」
「そうね。
皆、総監局だったわね。」
「事前にある程度、段取りを済ませてくれていましたね。」
「そうね・・・今思えば事前に打ち合わせしていなければ、あれだけの部屋を確保出来ないわよね・・・
交渉して予約が出来たのかと思っていたわ。」
「結果で言えば、上手く事が運ぶんですから良いじゃないですか。」
「うん・・・これ総監局の事前打ち合わせなかったらもしかして大変な事になっていたかもね。
はぁ・・・ま、今回はいい勉強になったわ。
もっと早くから交渉をするべきだった、そして次につなげましょう。
「次があればですね。」
「・・・はぁ・・・まぁ、そうね・・・
こういった経験も大切だという事がわかったわ。」
「そうですね。
それをわかるように手配する総監局も上手いですね。」
「そうね。
私がスミス達と話すと発覚させるような内容にしているんだからね。
はぁ・・・これが経験かぁ・・・」
エイミーがガックリとする。
「エイミー殿下、そろそろエルヴィス様とジーナ様が戻られますよ。
その顔は一旦。」
「うん、わかったわ。
・・・良し、いつでも来い!」
エイミーが気合を入れる。
と扉がノックされお茶とお菓子を載せた盆を持ったジーナと先導してきたであろうスミスが入ってくるのだった。
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