第2122話 警備局を使おう。(エイミーとスミスの行動を共にさせよう。)
「失礼しました。」
ジーナが職員の部屋を退出し、自室に向かう。
(明日には全生徒に通達されるって。
1人歩きも当面は禁止になるんだろうね。)
パラスが語りかけてくる。
(それは致し方ありません。
何か問題が起こる事に比べれば少々の我慢で済むのですからね。)
(ジーナの話を聞いて、明日には警備局に連絡して見回りを増やすようにするというのは割と早い対応だね。)
(ここには王家が居ますからね。
それに・・・たぶん報告したのが私だからですかね。)
(まぁ、ジーナがやる気になる前に警備をし始めたいんだろうね。
さて・・・警備局に情報を売るの?)
(ええ、それの方が早く不安が取り除かれそうですからね。
それにご主人様も警備局と友好関係を築いているのですから私も警備局と連携が出来るようにしておくのも良いかもしれません。)
(ジーナとタケオはそもそも王都守備隊と友好関係が築けているし、そもそも王家と仲良いじゃない。
今更、警備局?)
(動いて貰える部署を多く持っておくのは重要ですよ。
それに今は王都守備隊が居ませんし。)
(あ、そろそろタケオがエルヴィス領に帰ってくる頃かな?)
(ご主人様・・・何したんでしょうかね?)
(んー・・・来たらわかるよね。
ジーナはどうせタケオに付いて行くんでしょう?)
(スミス様に休暇を申請しないといけませんね。)
(まぁ・・・スミスなら問題ないだろうけどさ。
ジーナ、タケオに怒られるんじゃない?スミスのお付きは仕事でしょう?)
(だから、休暇の申請をするのです。
ダメならダメで。)
(スミスが却下するわけないじゃない。
まぁ、少なくともタケオが来るまでにこの尾行の首謀者を突き止めて、捕縛しないといけないかもね。)
(・・・部屋に戻って、ロロの報告を聞いて、陛下の手紙を確認しましょうか。
まずはそこからです。
と、部屋に着きましたね。)
ジーナが自室に入る。
「ロロ、もう来ましたか。」
「シャー」
ロロが軽く鳴く。
「報告はちょっと待ってください。
着替えますから。」
ジーナがそう言ってメイド服から部屋着に着替えるのだった。
・・
・
ロロと磯風からの報告をジーナとチビパラスが聞いていた。
「・・・ふむ・・・少なくとも王立学院の関係者ではないと。」
ジーナが考えながら呟く。
「シャー」
「はい、少なくともここの敷地内にジーナ以降で入って来た者は今の所ありません。」
ロロと磯風が返事をする。
「・・・そうですね。
追加の報告は、ロロの部下がまた持ってくるでしょうからそれ待ちですね。
少なくともここの関係者ではない事に一安心ですが、磯風の方も引き続き不審者が入ってこないかの監視はお願いします。」
ジーナの言葉にロロと磯風が頷く。
「でもさぁ、今はロロの部下が追っているけど、王立学院でないとどこなんだろうね?」
「さて?私が狙いなのか、寄宿舎の人員が狙いなのか、王立学院の生徒が狙いなのか・・・
どれかによって目的が変わってきそうですね。
ですが、私のように女子が1人で歩いていても手を出さない所をみると・・・襲撃や誘拐が目的ではなさそうです。」
「ジーナを尾行するなんてタケオ関係ぐらいしか思いつかないけどなぁ。」
チビパラスが腕を組んで考える。
「まぁ・・・とりあえずは私達は用心をするだけにしましょうか。
本拠地がわかれば警備局に情報を持って行って捜査をして貰えれば良いだけですよ。
パラス、マリとアルに連絡を。」
「うん、なんて言う?」
「そうですね・・・今日王城からの帰りに尾行と思われる追跡を受けた、職員に相談した所、警備局に明日から見回りを増やすよう要請してくれると。
私達がどうこうは伝えなくて良いでしょう。」
「うん、わかったー・・・あ、アルがエイミーに話しちゃって、こっち来るって。」
「あ~・・・
ロロ、とりあえずすぐに天井裏に。」
ジーナが今後の展開が読めて若干呆けたが、すぐにロロを退出させる。
「シャー」
ロロもわかっているのか移動しながら鳴き、天井裏に帰って行く。
と、隣のスミスの部屋の扉が勢い良く開け閉めされ、ジーナの部屋の扉がノックされる。
「はい。」
ジーナが返事をする。
「失礼!ジーナ!尾行されたってどういう事!大丈夫なの!?」
エイミーとドネリーが入ってくる。
「あの説明の通りなのですけど・・・あ、応戦はしませんでした。
褒めてください。」
「くっ、心配しているのに変な所を褒めないといけないとは・・・ジーナ、良く我慢したわね、偉いわ。」
「はい、のんびりと帰って来たのに襲撃はされませんでした。
いつでも応戦出来るようにはしていたのですが・・・」
「うん、ジーナ、それは違うわよ。
普通、尾行がわかったら走って寄宿舎に戻ってくる物だと思うのだけどね?」
「私は警護者ですので・・・何かされたら捕縛しようかと思ったのです。
が、接触してこなかったのでわからずじまいです。
なので、職員方に報告し、警備局で対応して貰う事にしました。」
「そう・・・まぁ、大事にならなくて良かったわ。
明日の朝食の際にでも、私から寄宿舎の皆に説明するわね。」
「はい、多分1人での外出は極力控えるようにと言われると思います。」
「そうね。
まぁ私やスミス、ジーナは精霊魔法師として日中は1人でも外出許可が出るでしょうし、緊急時ならジーナなら夜間も出られるでしょうけど。
グレース達は危険ね。
出来るだけ寄宿舎の男性陣と行動を共にするように言っておくわ。」
エイミーが言う。
「わかりました。
なら、エイミー殿下の学院と寄宿舎までの行き来ではスミス様を同行させましょう。
明日から朝は一緒に、帰りは教室にお迎えに行かせます。」
ジーナが言う。
「ん?」
エイミーが「ジーナ、何言っているの?」という顔をさせる。
「畏まりました。
エイミー殿下と共に教室にてお待ちしております。」
ドネリーが深々とお辞儀をする。
「なんで、私がスミスと一緒に登下校するの?」
エイミーがジーナに聞き返す。
「いえ、グレース殿下はアルダーソン様とボールド様がご一緒すれば問題ないでしょう。
ご学友が多いと言えど、エイミー殿下は寄宿舎に戻るのにどうしても1人になる場所が発生してしまいます。
なので、面識があり、気心がしれたスミス様が一番楽かと。
パラス。」
「うん・・・マリが了解って言ってるよ。
良い機会だから警護者の訓練だって。」
チビパラスが言う。
「あー・・・もう決まった感じね。
まぁ、あまり外出するなと言っても襲われてはいないんだから皆の危機意識は薄いだろうしね。
なら、1人での外出を控えさせるしか手はないし、言い出し始めの私が1人で行動するのは模範にならないだろうし・・・
わかったわ、私は大人しくスミスを待つことにするわよ。
そんなつもりで言ったわけではないんだけど・・・」
エイミーが仕方なしに頷く。
「エイミー殿下チャンスですね!
明日はどこに行きます?」
ドネリーが言ってくる。
「明日ぐらい大人しく寄宿舎に帰ってくるわよ。」
エイミーが呆れながら言うのだった。
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