第2121話 ジーナ宛に手紙が届きました。(これは二重尾行というのでしょうか?)
アズパール王国 王城内総監局の受付。
ジーナが総監局からの呼び出しを受けて受付に行くと。
「こちらが陛下よりお預かりした手紙になります。
こちらに受領のサインをお願いします。」
手紙が渡された。
「ありがとうございます。
受領いたします。」
ジーナがそういって受け取った手紙を懐に入れ、書類にサインをする。
「では、失礼します。」
ジーナが一礼をして総監局を退出する。
・・
・
王城を出て寄宿舎へ向かっていると。
「ねぇ、ジーナ、レイラ達に会わなくて良かったの?」
チビパラスが肩に現れて言ってくる。
「もう夕食後ですからね。
緊急でなければご挨拶には不向きな時間です。
また後日で良いと思いますよ。
それにしても・・・予想より早く返事がきましたね。」
「陛下もタケオ相手だと迅速なのかもね?
ん~・・・でも普通夜に着くようには来ないよね?
緊急伝文で来てくれたのかな?」
「それはそれで問題がありそうですが・・・陛下の命だと緊急伝文でほぼ1日で来ちゃうんでしょうね。」
「かなりの超特急便だね。」
「まぁ、エルヴィス家と王都間では緊急伝文は約1日半で届くのですからね。
王家からなら第1皇子一家と王都では1日で来るのは普通なのかもしれませんね。」
「今日はシウンだっけ?」
「順当に行けば寄宿舎に帰った際に来ているはずですね。
私の方からはこの手紙の概要をお伝えしないといけないので、明日の朝出発です。」
「そっかぁ・・・解読出来るかな?」
「え?陛下に聞いたのは日程の確認ですよ?
いつぐらいとか勝手にとか書いてくれるだけだと思います。」
「陛下がそんな内容で緊急伝文で送付するの?」
「・・・ふぅ・・・気合を入れて読みましょうかね。」
「陛下は何を書いてきたんだろうね?」
「そうですね・・・パラス。」
「うん、姿消すね。」
ジーナがそう言うとチビパラスが姿を消す。
そしてジーナは気にもしないで寄宿舎に向かって歩いていく。
(尾行かな?襲撃かな?)
(さて・・・される謂れはありませんが。
護衛という事もありえますね。)
(でも・・・私達がわかるくらいバリバリ存在感があるよ?
あ、そうか、王都守備隊が留守だったね。
護衛なら新人さんかな?
まずは襲撃の線でやる?)
(どうですかね~・・・パラス、来ませんね。
いつでも小太刀を抜けるようにしているんですけど。)
(何だろうね?
ジーナを知っているのならこの道は寄宿舎に向かうのはわかるから尾行する意味はないよね。
尾行じゃないかな?)
(ですね。
この先に仲間が居そうな路地はないのですけど・・・集団で拉致というのも考え辛いですし、そもそも後ろから単身で私を襲うというのは私を調べていないという証拠ですよね。
スリでしょうか?)
(まぁ、スリぐらいはいるだろうけどね?
でも、ジーナお金持ちには見えないよね?)
(メイドですからね。
身代金は取れませんよ。
というより、後ろからスリは出来るのでしょうか?
私の感覚では正面から来る感じなんですけど。)
(・・・んー・・・何だろう?
痴漢かな?)
(痴漢?・・・婦女暴行ですか?)
(あ~・・・ジーナに?
ドネリーならわかるけど。)
(ふっ・・・世の中、女性の魅力は胸だけではないのですよ。)
(お尻もジーナは発達してないよね?)
(私は成長期です。
そろそろご主人様にお願いして女性らしい体つきになる食事と運動を教えて貰おうと思います。)
(エイミーが置き去りになっちゃうわよ?)
(エイミー殿下もご自身で努力されています、私も見習おうという事ですよ。
それにコネはこういう時に使う物です!
最大のコネはご主人様一択です。)
(えー・・・タケオでも流石にそういった事は知らないと思うけど?)
(そこはそこ、ご主人様ならやり方はしらなくてもヒントくらいは持っていそうですよ。)
ジーナとパラスは尾行を警戒はしつつも馬鹿話をしながら寄宿舎を目指すのだった。
・・
・
寄宿舎の玄関。
「ただいま戻りました。」
ジーナが寄宿舎に入ってくる。
「あ、おかえり~。」
「ジーナ、おかえりなさい。」
「ジーナ様、おかえりなさいませ。」
スミスとエイミーとドネリーがお茶とお菓子を持って丁度、階段に差し掛かった所で出会う。
「無事に陛下からの手紙を受領しました。」
「うん、ご苦労様。
ジーナは今日はもう自由時間で良いですよ。
湯浴みをしてゆっくりしてね。
こっちはこれからお茶をしてから寝るから。」
「わかりました。
エイミー殿下、お手間をおかけしてしまい申し訳ありません。
ドネリー様、よろしくお願いします。」
「良いのよぉ、お爺さまなら仕方ないわよ。
それより夜なのに総監局までご苦労様。
ゆっくり休んでね。」
「ジーナ様、失礼します。」
3人が上に上がって行く。
「ふぅ・・・よし、当直の職員方に帰宅の挨拶と尾行らしき者が居た事を報告しないといけないですね。
ま、私に尾行をしたという事は周辺に居たロロの部下が後を追っているでしょう。
部屋に戻り次第、何処の者かわかりそうですね。」
ジーナはそう呟きながら職員の部屋を目指すのだった。
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