第2120話 武雄は戦場で何をするのか。(戦術はとりあえず今回は諦めるかな。)
「タケオ、何をするのですか?」
夕霧が聞いてくる。
「戦術については時間が無い為、細かい連携は期待出来ない。
むしろ変に提案すると現場で混乱する可能性が高いと残っている皆が考えているのでしょう。
となると戦闘においては個々の組織で対応し、もしどこかが攻撃を受けた場合の支援方法を確認する程度に打ち合わせを行うとしておけば良いとなります。
研究所としては今回の慣例の戦争は何か違う可能性が高いと踏んでいると説明し、盾での防御を厳重にして対応して欲しいと依頼をする程度ですかね。
そして私達研究所はそもそも人員が少ないので一番狙われやすく、でも少人数である事で細やかな動きが出来ます。
まぁ、持っている装備がそれなりに他の組織とは違うので日中の戦闘というよりも夜間の偵察に威力が発揮出来るでしょうね。
それに夕霧、誰かこっちに来させますか?」
「ん、私と言いたいですが、今回はハツユキが行きたがっています。
なので、私が伯爵邸に居て皆の報告のとりまとめ、シグレが伯爵領内の魔物達の動向確認を実施します。
私はハツユキからの報告を屋敷にて図面に記載して、残っているヴィクターやアリスに見せようと思います。」
「うん、ちなみにゴドウィン伯爵領側の関からエルヴィス伯爵邸までのスライムでの連絡時間はどのくらいですか?」
「ん、スライム単体でなら2日、シウン達を使えば1日です。
ですが、シウンとサイウンはどちらかは王都に行き来して貰うと伯爵は言っていますからタケオの方に飛ばせるのは1名のみです。」
「ふむ・・・実質2日おきの報告ですね。
ミアの所の鷲を使って文章のやり取りは出来そうですが・・・
ミア、風雅達に戦場とエルヴィス家との手紙のやり取りをお願いしたいんですけど出来ますか?」
「主、出来るとは思いますよ。
でもとりあえず、ゴドウィン伯爵領側の関まで皆で飛んで行程の確認と持って行ける手紙の量と足に括りつける物を選定してあげないと何とも言えません。
エルダームーンスライム達みたいに長時間飛べないと思うので少し時間はかかると思います。」
ミアが言ってくる。
「ふむ・・・となると・・・結局は屋敷との往復は紫雲達に任せて風雅達は戦場を上空から監視させた方が良いのかもしれないですね。
朝と昼と夕方に飛んで貰って、配置等に変更が無いかの確認ですかね。」
武雄が考えながら言う。
「タケオ、ミアが居るから鷲達が日中飛ぶのはわかります。
タケオは何をするのですか?」
「もし私達が受け持っている方で相手方に何か変更があると認められるのなら検討し、夜間に少し近づいて監視をする。
その報告を持って伯爵達に判断を仰ぐという所でしょうか。
もちろん臨時でスライム達には陣地間の調査は依頼しますけどね。
スライム達に敵陣地内に潜入しろとは言いませんよ。」
「ん、そのぐらいなら私達は出来ますが、タケオが潜入をしないというのならしません。」
「ええ、危険を犯す事に変わりはありませんが、基本はひっそりとやりましょう。
あとは、私達は人数が少ない為、陣地を少し弄った方が良いかもしれません。」
「タケオ、それはスライムを使えますか?」
「関の時のようにちょっとした盛土を作って貰うかもしれませんね。
陣地の相手側に2m~4m程度の盛土を作り、その下に魔法で4m程の奥行で2m程度の深さの堀をランダムで作れば容易に近づいては来れないでしょう。
それに堀と堀の間に馬防柵・・・拒馬と言うのですかね?
行く手の侵攻速度を落とす柵を用意すれば手間取っている間に堀の上から小銃改で狙い撃てます。
余程の大軍が来るならエルヴィス家に助力はお願いするでしょうけど、それ以外なら対処出来るようにしないといけませんからね。
着陣したと同時に皆で陣地製作を始めないといけないかもしれません。」
武雄が言う。
「ん、それはマイヤーに言った方が良いでしょうか?」
「・・・そうですね。
事前に言って検討して貰った方が良いかもしれませんね。
夕霧すみませんが、初雪を通じて言って貰えますか?」
「ん、わかりました。
明日、ハツユキに説明させます。」
「はい、お願いしますね。」
夕霧の言葉に武雄が頷く。
「あ、それと王都から連れ帰ったウラカゼですが、ゴドウィン伯爵に派遣出来るよう教育をし終わっています。
アリスがジェシーに受け入れの際の条件を提示していますから戻ったら確認してください。」
「うん?・・・条件ですか。
確か、夕霧と浦風には王都で言いましたよね?」
「ん、されました。
タケオからは領内の魔物の分布状況の確認と魔王国側の関の維持管理をするという話でしたよね。
アリスにも聞かれたので同様の事を話しています。」
「ふむ・・・アリスだけで考えていなさそうですが。」
「ん、アリスは私と話した後に伯爵とヴィクター、フレデリックと話して受け入れに際しての条件を考えていました。
ジェシーには送付済みです。」
「・・・私が今更見る必要はなさそうではありますけど、まぁ夕霧達は私の部下ですからね。
最終条件の確認は必要でしょうか。
わかりました。
戻り次第、確認します。」
「ん、アリス達にそう報告します。
ちなみにタケオ、アリス達に報告する事はありますか?」
「そうですね・・・今の所、緊急で報告する事はありません。
例のごとくエルヴィスさんのみに話せる事を聞いてきてしまった程度です。
あと、コノハにコショウとアプリコットを手に入れたと言っておいてください。」
「ん、わかりました。
では、私は屋敷に戻ります。」
夕霧がそういってスライム体型に変化するのだった。
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