第2118話 238日目 武雄はのんびりです。(日程が決定。)
移動中の武雄達はというと。
「んー・・・ラングフォードさん、銅の鍋ってありますよね?
王城の厨房で見た気がするんですけど、雑貨屋では見た記憶が無いのです。
売っているのですか?」
「銅の鍋は輸送で型崩れする割合が高いので受注生産品という感じですね。
それに鉄の物よりも価格が高かったと思います。
料理人とかは調理に使っているようですけどね。
なので、一般ではあまり使わないですから街中の雑貨屋ではあまりお目にかかれないと思いますよ。」
「そうなんですか・・・特注品なんですね。」
「キタミザト殿、何を作るのですか?」
「んー?・・・お菓子をね~・・・
特注とはいえ、鍋だからたかが知れている感じだけど・・・買ってからうちの協力工房で加工しちゃうというのも手かなぁ。」
武雄が考えながら言う。
「キタミザト殿、お菓子と鍋の加工が見当が付かないんですけど・・・」
ラングフォードが困った顔をさせて聞いて来る。
「試しに作ってみたいだけですよ。
そのお菓子を作る装置が出来ないかなぁと思ってですね。
んー・・・鍋を斜めに設置して回転は歯車を使って手回し方式が良いかなぁ・・・
火力はアルコールランプ1回分で4時間やって何日かかるだろう・・・」
武雄が考える。
「キタミザト殿、その菓子は王都にも魔王国にもない物ですか?」
デナムが聞いてくる。
「在ったら作らないで買いますよ。
とりあえず、個人で出来るように小さい装置を作ってみて出来るかの確認をしようかと思うのです。
上手く出来れば王都に持って行くかもしれません。
ですが、まずは試験をしないといけません。」
「一体何を作ろうとしているのかわかりませんが・・・上手く出来る事を期待しますね。」
ラングフォードが言う。
「必要な物資があるなら是非に我が局にご依頼を。
少々多めの依頼でも卸してみせますよ。」
デナムが言う。
「その時は頼みます。」
武雄がにこやかに言うのだった。
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魔王国 王城 謁見用の大広間。
「陛下!入室!」
そう言って扉が開けられ中にヴァレーリが入ってくるとその場に居た数名の者達が最敬礼をして出迎えていた。
「パーニ良く来た。
姿勢を崩してくれて構わない。」
ヴァレーリが中央にある席に座りながら言う。
「はっ!
招集を受け、参りました。」
パーニが言ってくる。
「うん。
まぁ言う事はわかっているだろう。
早速だが、本題に入る。
少し早いが我が国としてアズパール王国に宣戦布告文を送付する。
開戦日は8月15日、撤収が9月15日とする。
パーニ、大丈夫か?」
ヴァレーリが言う。
「はっ!8月15日開戦、9月15日撤収、了解しました!
我が領およびファロン子爵領、ベッリ男爵領において戦争準備は開始しております。
後日、最終的な此度の慣例の戦争においての予定されている戦闘行程を王軍の第1軍宛に送付し、陛下にご裁可頂こうと考えております。」
「うむ、わかった。
大きな問題がなければ裁可しよう。」
「ありがとうございます!」
パーニが頭を下げる。
「ファロンとベッリの準備は大丈夫か?」
「はっ!ファロン殿とベッリ殿とやりとりはしており、戦争の準備に問題は発生しておりません。」
パーニが言う。
「また、8月13日には全軍が関に到着するようにしております。」
「うん、そうか。
3名とも無理はするな。
前にも言ったが、仕掛けるだけでも相手に緊張を強いて物資を消費させられるのだ。
兵士を無駄に失う事は避けるようにしてくれ。
それと相手が弱いからとやり過ぎも注意するように。
相手に大打撃を与えられるのは良い事だ、だが、やり過ぎて残った兵士で吶喊されてこっちに被害があるのも頂けない。
少々の小競り合いぐらいなら良いが・・・基本は兵士は温存して戦争の緊張感を味わわせて教育に繋げろ。」
ヴァレーリが言う。
「はっ!了解しました。」
パーニが返事をする。
「パーニ、今回は我も観戦しに行こうと思っている。」
「は?・・・はっ!了解しました!」
パーニが一瞬呆けるがすぐに返事をする。
「そう意外そうな顔をするな。
たまには慣例の戦争を見学に行こうと思ってな。
なぁに、お前の指揮を邪魔するような事はしない。
後ろで黙って見ているだけにする。」
「はっ!陛下が観戦して頂けるだけでも戦場に居る全兵士が奮戦するでしょう。」
「いや、奮戦はしなくて良い。
下手に見栄を張って攻撃をしては無駄に兵士を消耗するというだけだ。
あくまでも教育に繋げろ。」
「はっ!畏まりました。」
パーニが言う。
「陛下、観戦はありがたいのですが、観戦人員はどのくらいで来られるのでしょうか?」
パーニが聞いてくる。
「一応、5000名の予定だ。
王軍内でも慣例の戦争を初めて見る者が多くてな。
少し距離を置いて観戦させて貰う。」
「5000名・・・わかりました。
ファロン殿とベッリ殿とその辺は打ち合わせを実施いたします。」
パーニが言う。
「ああ、よろしく頼む。
何かあるか?」
ヴァレーリがパーニを見るが、言って来ない。
「なら、以上だ。
ご苦労だった。
8月15日に会おう。」
ヴァレーリが立ち上がり退出して行く。
「はっ!」
パーニが最敬礼をして見送るのだった。
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