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第2115話 アズパール王と第1皇子一家との打ち合わせ。3(アンは聡明です。)

「スミスの穀物の購入の件は順調か?」

アズパール王が聞く。

「はい、今月末の王都到着で依頼が来ています。

 準備もほぼ終わっていて・・・最終確認中です。」

「そうか。

 ニールの方にも聞いているんだろう?」

「はい、リネットには伝えてありますし、向こうも同じように今月末の王都到着で依頼が来ているそうです。」

セリーナが言う。

「ほぉ・・・戻ったらジーナに聞いてみようかな。」

「父上、余計な手出しは無しですからね?

 パットの教育に使うんですから。」

「する訳ないだろう?

 総監局がやる気を出しているんだ。

 我は高みの見物だよ。

 だが、パットとエイミー、スミスは今回の件で予想外の対応を強いられるのは良い訓練になるだろう。

 それにたぶんジーナが一番全容を掴んでいて、もしもの場合の対応策を練っているはずだ。

 ジーナの事だオルコットやレイラとも話しているだろうしな。

 エルヴィスとは2日毎に連絡をしているから注意事項や現状の確認はしているだろう。」

「動きが良いわね。」

「ジーナ、働くわね。」

ローナとセリーナが言う。

「父上、ミア殿の会話できる魔物をまとめ、仕事を依頼するというのは連絡手段としての実績だけでも上々な結果のようですね。」

「上々過ぎて今、我らがしている連絡手段がかなり遅く感じてしまうぞ。

 だが、我らがやるには些か難しい所があるな。

 魔物とのやり取りが出来なくはない・・・だが、皆が出来る訳ではないのが採用に至れない理由だな。

 やるにはある程度の人数が出来るような方法をしないといけないが・・・今は考える余裕はないだろう。」

「そうですね・・・まぁ、魔物を使った仕事というのはタケオが色々とするでしょうから結果を見ながら出来る事を考えましょうか。」

クリフが頷く。

「さて・・・パットの方は確か、少なくするんだったか?」

「正確には輸送途中に事故が発生し、500kg程度足らなくなります。

 王都到着2日前にパットに連絡が入る手はずになっています。」

クリフが言う。

「取れる手段は限られます。

 1つは依頼主に頭を下げ、減数で納入をする。

 ただし、契約数を納入出来ないので補償をしないといけないでしょう。

 もう1つは王都の文官に頭を下げ、王城から足らない分を補填する。

 この場合は自己負担が多くなります。

 粗利より出すのか、私達に良い面を見せる為に自己負担をするのか・・・もしくは輸送した部下から取り立てるかになります。

 大まかにはこの2つが取れる手段だと私達は思います。」

クラリッサが言う。

「ふむ・・・どれを選ぶのかで気性がわかりそうなものだな。」

アズパール王が考えながら言う。

「アン、貴女ならどうしますか?」

ローナがアンに聞く。

「私ですか?・・・私ならすぐにスミスに報告します。

 その上で納期を少し伸ばして貰うようお願いをします。

 そして仕事を見てくれている総監局に行き、現在の契約上の利益の確認と残っている利益分で調達出来る量を確認します。

 それを確認してスミスに報告して賄えるのならそれまで。

 納期内に納めて終わりです。

 でも500kgという数量は王都の人口が多いので在庫はあるはずなので、たぶん集まります。」

「事故を起こしてしまった兵士はどうしますか?」

セリーナが聞く。

「・・・遠路はるばるきたんですから・・・事故ぐらい起きてもしかたないのではないですか?

 故意でないのなら怒っても意味はありません。

 むしろ良く他の幌馬車を巻き込まなかったと褒めます。

 でもその上で損失は出てしまっています。

 まぁ損失とは言っても利益内で済むのですから『今回は儲からなかったねー』程度で済ますしかないです。

 事故を起こした兵士がするべきは、まずはなぜ起きたのかの原因を考えさせ、報告書を作成させて、今後同じような事が起きないよう注意する点もしくは今後起きた場合にどういう対応が出来るのかの検証です。

 今回は失敗だったですけど、次回上手く行けばいいのですからね。」

アンが言う。

「アン、賢いわね。

 そうね、まずは依頼主にしっかりと現状を報告する事が大事ね。

 その上で対応策を考えるのが正解ね。」

セリーナが言う。

「うむ、アンは聡いな。

 誰に似たのかな?」

アズパール王が頷く。

「私的にはタケオさんに似たと言って欲しいですね。」

「ん~・・・タケオか?

 タケオだったらかぁ・・・タケオなら少なくとも報告が来た時点で買いに走って依頼主の前に荷物が来るまでに不足分を揃えてしまいそうだがな。

 納入後に依頼主に話して『良い勉強になった』と笑っていそうだな。」

アズパール王が言う。

「タケオさんの事だから事前に王都の穀物価格を調べつくして置いて、どのくらい足らなかったらどこに買いに行くかとか準備してそうですね。」

「ありえる。

 それにタケオさんなら報告を待つだけでなく、自ら途中まで迎えに行って幌馬車の不具合がないか、道に異常はないかの確認はしていそうよ。」

「ですね、事故が起こるかもではなく、起こさない為に事前に道や幌馬車の整備をしっかりとしてから輸送をさせたり、足らなかった事を想定して問屋の在庫量の確認といった事前準備をしっかりとしそうです。」

セリーナ、ローナ、クラリッサが言う。

「・・・なるほど、事前に動いておく事がタケオさんへの道のりなのですね。」

「いや、アンよ。

 タケオがそう動くかもしれないと言うだけで、実際はわからん。

 アン、大事なのは事前に準備が出来るのなら色んな事を想定して、確認して物事に臨もうという事だからな。」

「はい、お爺さま、そういう考えが大事なんですね。」

アンが返事をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] アン殿下、出会ってから一年もたってないのに考え方変わりすぎ。というかこの世界がゆっくり進みすぎ。
[一言] アンちゃんが尊い!! パットは、、、^^
[良い点] アン殿下賢いなぁタケオファンなところはアレだけどw ...それに比べて過去のパッド殿下ぇ... (今は多少マシなんだろうけど)
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