第2114話 アズパール王と第1皇子一家との打ち合わせ。2(武雄は特別です。)
「戦争的には以上だな。」
アズパール王が言う。
「はぁ・・・クリフが即位する時は激動なのね。」
セリーナが言う。
「本当、かなり大変なんだね。
それと同時に私達もやる事が増えそうね。」
ローナも言う。
「情報を各所から聞き出しておかないといけないのかもしれません。」
クラリッサが言う。
「私その時は王立学院なんですよね。
お爺さま、私はどう動くのですか?」
アンがアズパール王に聞く。
「アンかぁ・・・そうだなぁ・・・
ま、王立学院で堂々とした振る舞いをするしかないだろう。
部屋の中では不安に駆られたりするかもしれぬが、皆の前では王家はこの程度では動揺しないという体をしないといけないだろうな。」
「何が起ころうとも・・・ですか。」
「あぁ、普通に過ごす事で我が国として動じるような事は無いという態度を皆に見せないといけない。
アン、辛いだろうが、皆の前では気丈に振舞ってくれ。」
「・・・はい、出来る範囲で・・・いえ、絶対に狼狽する姿を見せないようにします。」
「うん、その意気だ。
だが、何も知らないのは不安だろうからな。
しっかりと王城と行き来して最新の情報を手に入れなさい。
幾分かは気分が安らぐだろう。」
アズパール王の言葉にアンが頷く。
「ところで、お義父さま。
現状の政策で何か問題ごとはありますか?」
セリーナが聞いてくる。
「うん?・・・そうだなぁ・・・
国の人口は増やさないといけない。
税収は増やさないといけない。
税率は上げれば民の不満が増すから出来ない。
地方領と王都の兵士の質の向上もしないといけない。
慢性的な魔法師不足解消と上位決定が出来るだけの知識を持った文官の育成に費用が必要で予算が追い付かない。
各上層部の腐敗を取り除くのは良いが行政が滞っていけないから力加減が面倒。
各地方領の貴族達の動向をもっと詳しく知りたいが、表立って王都から送り込めていない。
タケオとエルヴィスが動き過ぎで西側の地方貴族が動かな過ぎな件がどうしようもない。
王都の文官達が当面、魔王国の事はタケオに依頼する気でいるのが満足であると同時に不安になる。
エイミーがスミスに手を出さない事で王都の皆がやきもき中。
ウスターソースが好評過ぎてトップ会談で話題になる程とは感心しない、会談で断らないといけないのは些かなさけないからさっさと増産して欲しい。
次代の局長達がまだ育ってこない。
経済局での野菜の品質改良が上手く行かない。
専売局がタケオと結託してそうで予算的に怖い。
財政局がタケオを見て慄いて最近やる気になっている、最初からしろと言いたい。
整備局がウィリアムの方に注力しているのは良いが、予算を気にして欲しい。
総監局の」
「ちょ・・ちょっと待ってください!
お義父さま!多いです!」
ローナが慌てて止めにかかる。
「まだ言い足りないんだが・・・」
アズパール王が不満顔でローナを見る。
「はぁ・・・王都の愚痴は多いのはわかりました。
それで父上、なにが一番問題ですか?」
クリフが聞いてくる。
「・・・人材と予算不足だな。」
アズパール王が考えながら言う。
「お爺さま、タケオさんではないのですか?」
アンが聞いてくる。
「タケオはしたいようにさせておけば良い、それなりに費用はかかってはいるが、王都に無かった物を持ち込んで関係者を刺激しているというのは良い兆候だ。
タケオとエルヴィスは自分達だけでなく王都の工房も動かしているからな。
王都に入る通行量も少し増えてきているし、今後、王都で民達の購買意識が高まれば商店からの税収も増えるだろう。
将来的に税の増収が期待できる点で問題ない。
ま、タケオは外交も熟してしまっているからな。
今、魔王国についての見識はタケオが一番だろう。
今回の報告だってタケオは今魔王国に行っているからな。
その報告を持ってくるのだよ。」
「タケオさん、魔王国に行っているのですか?」
アンが聞いてくる。
「ああ、タケオは魔王国との窓口を一生懸命作っている最中だ。
後々は外交局が継ぐのだろうが、今はタケオに任せておいた方が上手く行くだろう。
クリフ達もその事は上手く取り計らってくれ。」
「それは前々から父上に言われている事です。
大丈夫です、やり過ぎないように注意はしますが、排除はしませんよ。
それに魔王国と友好的な関係を持つ者が居た方が話が通りやすい事もあるでしょう。
敵国だからと忌避するのではなく、表立っては対立していてもしっかりとした窓口は用意しておく事で話が伝わってくる事もあると知っています。」
クリフが言う。
「あぁ、頼むな。
はぁ・・・西側にもタケオみたいに他国の状況を見聞し、友好的な関係を築く事が出来て、個人としてはやりすぎても国家の判断部分までは踏み込んで来ない者はいない物か・・・」
「そんなのが居ればすぐに雇っていますよ。
それにそんな人物が現れれば雇う前に訝しがります。
タケオを採用したエルヴィス伯爵の度量が大きいとしか言えません。」
「お爺さま、タケオさんを貴族に採用出来ただけで満足しないといけませんよ。」
クリフとアンにアズパール王が呆れられる。
「はぁ・・・わかっているが・・・もう1人や2人は居ても良いと思うだろ?」
「1人だけだからこの程度で済んでいるんですよ。
2人も3人も居たら国が大変な事になります。」
クリフが言う。
「あー・・・そういう意見もあるな。
なら、タケオには頑張って貰おう。」
アズパール王が頷くのだった。
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