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第2112話 1人で悩んでも結果は出なそう。(アズパール王、帰国。)

研究所の3階 総監室。

「んー・・・んんー・・・」

マイヤーが書類を書きながら唸っていた。

「失礼します。

 マイヤー様、お茶とお菓子をお持ちしました。」

アスセナが入ってくる。

「あ・・・ありがとうございます。」

マイヤーが顔をあげて返事をする。

「どうぞ。

 大変そうですね。」

アスセナが配膳をしてからマイヤーを労う。

「はは・・・慣れない事をしていますからね。

 ちなみにヴィクター殿は今は何を?」

「ヴィクター様は各協力工房からの入金の明細を確認しておりますが、あまりお時間はかからないかと思います。」

「そうですか。

 下の階にも行きましたか?」

「はい。

 どちらかというと下から配膳して行きました。

 最初の方がよろしかったですか?」

「いえ、そういう事ではありませんよ。

 出していただくだけでもありがたいです。

 それで1階の子供達は頑張っていましたか?」

「ええ、4人共机にかじりついて書き物をしておりました。

 鉛筆の削りカスと消しゴムのカスが結構多めに机の上にありましたが。」

「今回のエルヴィス家への研修の報告書を書かせていますからね。

 そうですか・・・2階はどうでしたか?」

「研究室のトレーシー様は切った木材を盾に張り付けていましたし、スズネ様は粘土を捏ねておりました。

 初雪様は黙々と図面を描いていましたね。」

「・・・うん、スズネ殿だけがわからないですね。

 そうかぁ・・・あ、アスセナ殿、食べ終わったら持って行きます。」

「はい、畏まりました。

 失礼します。」

アスセナが総監室を出て行く。

「ん-・・・」

マイヤーはお茶を片手に書類を持ち上げて見ている。

「はぁ・・・皆が帰ってくる前に慣例の戦争の戦術を書き出してみようと思ったが・・・何を書けば良いのやら・・・

 相手が突出して来た時の防御戦だろ?突発的な遭遇戦に、向こうが数小隊出した時の小隊戦・・・普通にどの貴族でも想定している事だから今更なんだよなぁ。

 それにエルヴィス家とゴドウィン家は最前線。

 となればもっとマニュアルが整備されていると考える方が妥当。

 今更ここに何かを追記するのは混乱を招く行為になってしまうだろうなぁ。

 ん~・・・うん、俺だけじゃ無理だな。

 夕方に皆に意見を求めてみるか・・・会議室は夕方空いているか確認するか。

 はぁ・・・所長、帰ってこないかなぁ?」

マイヤーがため息を付きながら書類を置き、お菓子に手を伸ばすのだった。


------------------------

第1皇子一家邸の玄関。

「あぁぁあ・・・はぁ。」

アズパール王が馬車から降りて背伸びをしていた。

「陛下、体は大丈夫ですか?」

総長がアズパール王に

「なーに、問題ないくらいには体が凝っているな。

 エルヴィスの所に行く時も体は凝ったがあっちとはまた違った凝りだな。」

「あの時は凄かったようですね。

 私は王都で留守番をしていましたが、部下達が言っていましたよ。」

「緊張もあっただろうな。

 とりあえず馬車の速度が速かったからな。」

「後からの話では、部下達も相当緊張したようですね。

 今回は普通の速度でしたし、カトランダ帝国でも手厚く、そこまでの緊張はしなくて済んで良かったです。」

「帝都護衛軍・・・手厚かったな。」

「ええ・・・食事、良かったですね。

 ジャガイモ料理も見知らぬのがありましたしね。」

「うむ、タケオが居たら厨房に行っていたかもしれないな。

 あれ・・・美味かったなぁ。」

「ええ、今度キタミザト殿が来た際に伝えてみましょうか。」

「ううむ・・・我らの感想だけで通じるのか・・・あまり自信がないな。」

「そこは頑張りましょう。」

総長とアズパール王が雑談をしていると。

「お爺さま!おかえりなさいませ!」

アンが玄関からやってくる。

「おおー!アン!元気だったか!」

「お爺さま!それは前に着いた時も言いましたよ!

 馬車が玄関に着いても玄関に入ってこないから迎えに来ました。」

「それはすまなかったな。

 言われた土産も買ってきたぞ。」

「ありがとうございます、お爺さま。」

「うんうん、クリフ達も息災のようだな?」

「はい!お父さまもお母様達も健康です!」

「うん!良い事だ!」

「あ、お爺さま。」

「うん?どうした?」

「ジーナからです。」

アンが懐から封筒を取り出してアズパール王に渡す。

「・・・おぉう。

 アンは見たか?」

「お爺様宛の手紙を見るわけありません。

 それに、タケオさんからだというのはわかります。

 なので、絶対に見ません。」

「そうか、それで良い。

 下手な好奇心は身を亡ぼすからな。」

「はい。

 あ、そうだ。お爺さま、新しいスイーツが出来たんですよ。

 前のゼリーの中身を色々と変えて試していたら良いのが出来ました。」

「ほぉ、それは楽しみだな。

 なら、今日の夕食時に出てきそうだな。」

「はい、準備しています。

 お爺さま、一度部屋に向かわれますか?」

「うん、そうだな。

 ジーナの報告を見ておきたいからな。」

「わかりました。

 では、お爺さま、ようこそおいでくださいました。」

「あぁ、世話になる。」

アンとアズパール王が屋敷に向かうのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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