第2107話 見守り隊。(第3騎士団ねぇ。)
武雄達が居る所からちょっと街道の先の森に入った場所にて。
「大隊長殿、報告します。
第2中隊長よりこの先4kmでそれらしきリザードドラゴンの集団を発見、数は15体。
なお、率いている者や所属旗は確認出来ておりません。
見た目の装備より突発的な発生に扮していると思われます。
また、同様に索敵を行っている第4中隊より部隊ならびに集団の発見の報はありません。
以上。」
兵士が武雄達を監視をしている者に報告してくる。
「・・・居たか・・・なら、陛下の指示の通り、キタミザト殿が通る前に排除する。
率いている者を捕縛が出来たら良いが時が無い。
捕縛は余裕があればとし、殲滅を優先として第2中隊に戦闘を許可する。」
「はっ!了解しました。
すぐに実行いたします。」
兵士がすぐに場を離れる。
「第3中隊長。」
「はっ!」
大隊長の言葉にすぐに兵士が姿を現す。
「殲滅は第2中隊で出来るだろうが、キタミザト殿達が通過する前までに戦闘証拠の隠滅をするのは大変だろう。
すぐに中隊を率いて後始末を実施しろ。
それと第2中隊が無理をするかもしれない、魔法師を回復に回させろ。」
「了解しました。
では、我らは少々掘り起こしをして血等を隠蔽します。」
「ああ、その後に魔物が発生しないように留意しろ。」
「はっ!
では、失礼します。」
兵士が去っていく。
「はぁ・・・どうせ率いる者を捕縛してもファロン子爵には届かんだろうよ。
だが・・・リザードドラゴンか・・・ブリアーニ王国の隣接の森からというのが濃厚だろう。
ファロン子爵領、南にパーニ伯爵領そして更に南にブリアーニ王国と隣の森・・・その先がデムーロ国か。
陛下達が喜びそうではあるな。」
大隊長が呟くのだった。
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街道を行く武雄達一行。
「・・・あー・・・のどかだなぁ。」
作業服姿の武雄がゴロンと横になって幌馬車の後ろの開けている所から空を見ながら呟く。
ちなみにちょっと前の休憩時に試験小隊員は全員作業服に着替えていた。
かなりやる気の模様。
「キタミザト殿、その作業服ですけど・・・地味ですよね?」
ラングフォードが言ってくる。
「ん-?地味なのが第二研究所の代名詞ですよー。」
「いやいやいや、第二研究所は表立ってやってる事は地味ですけど、キタミザト家としては国家の中枢の肩代わりしてますからね?」
「したくてしてませんよー。
で?作業服がどうしました?」
武雄が空を見ながら言う。
「緑という事は森林や野原での戦闘を意識しての事ですよね?」
「まぁ、見つかり辛くさせるように作りましたよ。
私達第二研究所の試験小隊は戦闘が主任務ではなく、偵察ですから。
派手にする意味は私にはないので作りました。
結構、施政者達から不人気です。」
「まぁ・・・そうでしょうけども。
実際に着ている方々からの評判は?」
「特にありませんよー。
何の目的でこうしたか説明して納得させてますからね。」
ラングフォードの質問に武雄が答えている。
「・・・将来的に王都で採用されると思いますか?」
「んー・・・軍務局と騎士団、警備局の幹部がどう考えるかでしょうね。
今の横一列なり、数列なりの突撃を主とした戦争形態ではこういった色の服装はいりません。
むしろ目立つことによって同士討ちを防ぐ意味合いがあるので間違ってはいません。」
「・・・キタミザト殿の戦闘報告は見たのですが。」
「なんで財政局で私の戦闘報告を見るのですか?」
「今回の旅の資料にありました。」
「・・・えー?」
「ま、それは良いんですよ。
キタミザト殿のゴブリンとの戦闘では兵士で囲み、殲滅していますよね?」
「最後は騎士団がしていますね。
特に問題は無いと思いますけど?」
「問題はありません。
ですが、そんな戦闘を見て、偵察で有利になるからと戦闘時に着る服を緑にするという発想はどこから来たのですか?
普通、地方の魔物の襲撃を見たのならそれに合わせて服装や装備等も用意すると思うのですが。」
「関係ない所からですよ。」
「うん?」
ラングフォードが首を傾げる。
「そもそもあの戦闘と研究所の作業服に関係性はありません。
あくまでも偵察をする事を前提にして何が部下達の生存確率を高められるかを考えた結果の緑です。
あの戦闘は前面に居たのはエルヴィス家ですからね。
私達には関係ありません。」
武雄がバッサリと言う。
「ん~・・・という事は前々からそう思っていたと?」
「そうなりますね。
部隊の主行動によって服装を含めた装備が変わるでしょう。
画一的に装備を同じにする意味はありません。
そういった意味でも王都の各軍が何を主任務に編成されるのかによって服装が変わるのではないですかね?」
「んー・・・そうですか。
主任務かぁ・・・んー・・・予算どう見るんだろうなぁ。
キタミザト殿の方が安そうなんだよなぁ。」
ラングフォードが腕を組んで考え出す。
「それって、第3騎士団の事だよな?」
デナムが聞いてくる。
「ええ、随分とこの幌馬車会議で話題に出ていますけど、第3騎士団創設は実施されるのがわかっていますからね。
財政局としては今から予算取りをしているんですけど・・・安くさせたいんですよね~。
クリフ殿下がどう考えるんだろう・・・」
「専売局としてはあまり変な装備をして鋼材の需要を高めて欲しくはないんだがなぁ。」
「変な装備ですか?」
武雄が顔を上げて反応する。
「・・・鉄の盾を全員が装備するとか。
短期的に鉄の需要が高まって高騰してしまいますよ。」
「使えない騎士団にしてもねぇ。」
「はぁ・・・まぁ、財政局としてもそんな高そうな装備を認められませんけどね。」
デナムの言葉に武雄とラングフォードが呆れるのだった。
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