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第2106話 237日目 出立しますよ。(さて・・・来るのか来ないのか。)

朝、ファロン子爵邸がある街の銀の月商店の前。

「準備完了しました。」

アンダーセンが武雄に言ってくる。

「はい、ご苦労様。

 シモーナさん、ありがとうございました。」

アンダーセンに対し頷いた後にシモーナに向き直って武雄が挨拶する。

「いえ、こちらこそご訪問ありがとうございました。

 それに今回は色々と収穫もありましたし、今後も輸出入業が続けられそうで安堵しています。」

シモーナが言う。

「ええ、最低限の所は決めてきた感じですね。

 あとはお互いに新製品が出来れば紹介や手配をしていきましょう。」

「ええ、それと・・・これがキタミザト様の部下の方が欲しがった物になります。」

シモーナが小さめの箱を2つ出す。

「・・・2つですか?」

「はい、お子様が小さい時とちょっと成長した時のです。

 たぶん、この2つが望まれると思いますので。」

「わかりました。

 渡しておきます。」

武雄が受け取り、リュックにしまう。

「さて・・・行きますか。

 試験小隊(うち)は問題ない、ラックさん達は?」

「大丈夫です!」

ラックが返事をし、フォレットとバートも頷く。

「デナムさん。」

「こっちも問題なく。」

デナムとハガード、ラングフォードが荷台に乗り込んで顔だけ出して頷いている。

「ビエラ・・・は、もう馬に乗ってるのね。」

「はい!」

ビエラが騎乗しながら答える。

「なら、アズパール王国()に帰りましょう。」

武雄がアンダーセンにそう言って幌馬車の荷台に乗り始める。

「総員騎乗!出立準備!」

アンダーセンが号令をかけ、皆が馬に騎乗や御者台に座って準備を始める。

「・・・よし、出立!」

アンダーセンの号令で武雄一行が出立をするのだった。

・・

武雄達を姿が見えなくなるまで見送ったシモーナ達は。

「はぁ・・・一仕事終えたさね。」

「ご苦労だったな。」

シモーナの呟きにシモーナの旦那が肩をポンポン叩いて労う。

「まぁ、控えめに言っても大商談だったさね~。

 今後もあると良いんだけど。」

「そうだな。

 実入り的にもたまにあれば良いな。」

「うん・・・それと王都で変な噂を聞いたさね。」

「・・・面倒な事のようだな。

 キタミザト様の前では言ってないな?」

「もしかしたら知っているかもしれないけど、私からは・・・流石にまだ魔王国内の商人の噂だしね。」

「なら、店仕舞いした後に聞こうか。

 今は、キタミザト様と一緒に買ってきた物ややる事を皆に話さないといけないからな。」

「わかったさね。」

シモーナ夫婦が店に入るのだった。


------------------------

出立して魔王国のファロン子爵領の関に向かう武雄達。

「キタミザト殿、ありますかね?」

デナムが真顔で聞いてくる。

「さーて・・・人間嫌いで人間との戦争に消極的な政策を取っていた前当主を追い落とした現領主が何もしないというのは考え辛いですかね。」

「まぁ、今回は魔王国の王都の依頼で来ていますから直接兵士をとは考え辛いですが・・・

 ラングフォード殿、どうやると思いますか?」

デナムが言う。

「・・・証拠が残らないように何人も噛ませてどこぞの盗賊辺りでしょうか。

 これなら討伐されても痛くもありませんし、捕縛されても依頼主はわからないでしょう。

 キタミザト殿はどうやりますか?」

ラングフォードが聞いてくる。

「・・・いつの間にか私が実行するにはと言う話になっていますね。

 私なら・・・か。

 私なら二度と来て欲しくない(・・・・・・・・・・)のでわかる程度の落とし穴を用意して『来たら危ないよ』とお知らせ程度にしますけどね。

 直接危害を加えると面倒な事になりそうですからね。」

武雄が言う。

「・・・相手はその面倒な事をする可能性をキタミザト殿は考えているのですよね?」

デナムが言ってくる。

「ええ、だって前領主を追い落としたんですよ?

 その後の国内での評判、引継ぎの無い政治体制、ポッと出の領主なので既存の部下との軋轢・・・普通の思考では出来ませんよ。

 私なら領主に成り代わろうなんて考えもしませんし、そもそも領主になりたいとすら思いません。

 領主になれば領内の産業の育成、農地の改革、税収の厳格化、部下の規律、兵士の育成と維持、治安維持・・・それを部下に任せるにしても最終的に裁可するには自身もその知識を有していないとダメ・・・

 こんな職種に就きたいと言う人の気がしれません。

 バビントンさんも良く領主を引き受けたなぁと思っていますよ。」

武雄が呆れながら言う。

「はぁ・・・バビントン男爵は陛下から直接の依頼ですからね、断れないと思いますよ。

 それに王都の半数以上の文官はその領主になりたいと思っていると思いますがね?」

デナムがため息交じりに言う。

「へぇ・・・デナムさんも?」

「私ですか?・・・私は局長の器であっても領主の器ではないですよ。

 今の地位だって部下をまとめるのに四苦八苦しているのに領地運営なんて出来ませんよ。」

デナムが言う。

「ふーん・・・ラングフォードさんは?」

「私は旦那がいますので、子供の養育費と将来の孫の為の貯蓄をしているだけですよ。

 一家庭で十分です。」

ラングフォードが言う。

「ハガードさんは?」

「私は・・・したいと思っていましたが、キタミザト殿の話を聞くとやる気がなくなりました。」

ハガードが微妙な顔をさせて言う。

「おっと・・・将来の領主候補を潰してしまった。」

武雄が口元に手をやって大げさに驚く。

「そうですね・・・あまり王都でそう言った事は言わない方が良いでしょうね。」

ラングフォードが言ってくる。

「はーい。

 ま、私がこういう考えだというのは陛下は知っていますし、主要な局長達も知っているでしょう。」

武雄が笑いながら言う。

「はぁ・・・その時点からキタミザト殿が特殊なのはわかります。」

ハガードが諦めたように言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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[気になる点] >「さて・・・行きますか。  試験小隊は問題ない、ラックさん達は?」 「平気です!」 ーーー 以前にも指摘しましたが、『平気』を誤用されています。 一度、辞書や類語など調べられては…
[一言] 対価は僅かな金銭と領主と言う役職
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