第2103話 236日目 銀の月到着。(シモーナさん、家に戻る。)
夕方、魔王国 ファロン子爵領 ファロン子爵邸がある街の銀の月商店内。
到着早々、夕食を済ませ武雄以外の面々は宿にて休憩に入っていた。
といっても深酒しない程度での飲みは許可しておいたので武雄やビエラ、ミアを除く全員が飲みに行っていた。
「いや~・・・キタミザト様、ご苦労様でした。」
シモーナが武雄達にお茶を飲ませながら言う。
「キタミザト様、ご帰還おめでとうございます。」
シモーナの旦那も一緒にお茶を飲んでいる。
子供達は挨拶をしたのみで自室に戻って行っていた。
「いえいえ、長期間、奥様をお借りして申し訳ありませんでした。」
武雄がにこやかに言う。
「これも商売です。
着いて苗木を降ろしていましたが、収穫があったようですね。」
「あー、アプリコットですね。
なんでも一大生産地を探しているので試験栽培を実施して欲しいと王都のレバントさん達が画策したようですよ。」
「ほぉ、この地も候補にですか。
んー・・・上手く行けばいいですが、ま、その辺は今後のこちらの打ち合わせ次第ということですか。
ですが、苗木は荷台にも残っていたという事はキタミザト様の方でもされると?」
「私の場合は個人的な栽培をまずしようかと。
アプリコットでちょっとした物をね。
商売になるかはまだまだ検討もしていません。」
「・・・その言い方ですと、ハチミツ漬けではない・・・という事でしょうか。」
「ええ、シモーナさんはハチミツ漬けを作って王都に卸す気でいるみたいですけどね。
私は違う方法で何か出来ないかという模索をしてみようかと思います。」
武雄が追及を断る。
「キタミザト様は何を作るのか言ってくれないんですよね・・・
まぁ、物が出来てからという事なんでしょうけど。
それとアプリコットを買ってきたのは王都での売れ行きが良さそうだし、キタミザト様との輸出入で魔王国とアズパール王国のハチミツが手に入りますからアプリコットに合ったハチミツが見つかる可能性が高いですから売れ筋になると踏みましたよ。
まぁ、その前に貰ったアプリコットがしっかりと根付くのかという問題とやってくれる事務組の家を探さないと。」
「ふむ・・・農地開拓の申請か・・・
ハチミツ漬けを見た限りではそれなりの大きさのが木になるようだが、オークやゴブリンで収穫が出来るかによるかなぁ。
人手がかかるのなら売値を高めにしないといけないかもしれない。
とりあえず、実が出来るまではうちの土地での栽培試験だな。」
シモーナとシモーナの旦那が言ってくる。
「先は長いですが、気長にやりましょうか。」
「「ええ。」」
武雄の言葉にシモーナ達が頷く。
「それでキタミザト様、魔王国の王都はどうでしたか?」
シモーナの旦那が聞いてくる。
「ウスターソースは相も変わらずにどこぞの侍女さんが買い占めて行きました。
魔王国の陛下が代替わりした後もウスターソースとウォルトウィスキーは現状と同じ量を納品する事が決まりましたので輸出入としては固定された輸出入品目となります。
ペンのような物の筆記具も毎月の納入が決まりましたのでこれも固定された収入となるでしょう。」
「わかりました。
ま、その筆記具はシモーナに聞きましょう。」
「あー・・・直ぐには無理ですが、こういった物ですよ。」
武雄がリュックから鉛筆を取り出す。
「・・・木ですか?」
とシモーナの旦那がジーっと見ている。
「ええ、鉛筆と消しゴムと言う商品です。
これはこうやって書いて、消せる筆記具です。
消せるため正式な文書には不向きではありますが、取り出してすぐに書ける事と携帯性が高いので持ち運びに便利です。
今回はうちの部下が王城の文官に勧めたら、なぜか大量発注になってしまって、現状の製造限界まで達してしまって他に売り込みが出来ないので、買われるのでしたら少しお時間が必要なんですけどね。」
「ほぉ・・・ま、今回は王都からの発注があったという所で私共は満足です。
ですが、増産がされたら少数は卸させていただくかもしれません。」
「構いませんよ。
ウスターソースと同様で増産の目途が立ったらお知らせをしますので、発注を検討してください。
あ、それと王都にも連絡はした方が良いでしょうね。
かなり欲しがっているので。」
「ふむ・・・なるほど・・・わかりました。
その辺はお任せください。」
シモーナの旦那が頷く。
「それと魔王国からアズパール王国向けの輸出品ですが、現状で決まっているのはコショウです。」
「コショウ?・・・あー・・・あれですか。
お気に召しましたか?」
「はい、コショウを20kgか40kgを毎月輸入して貰うよう交渉を始めて貰っています。
今回はその場で買ってきましたけどね。
これはレバントさんの努力により数量が変わります。
その辺はシモーナさんから報告を受けてください。」
「わかりました。
で、あれば王都でそういった私達があまり食さない調味料を探した方がよろしいのですね?」
「ええ、皆さん達が食べなくてもアズパール王国では食す物もあるでしょう。
また、逆に私達が食べなくても皆さんが食べたい物もあると思います。
どういう物を探して欲しいか言って貰うか、何か見つけた際は少数を送って確認をするようにしましょうか。」
「はい、畏まりました。」
シモーナの旦那が頷く。
「それと今回魔王国の王都や行きのこの地での買い物で結構な量の物品を買っています。
私が戻り次第、協力業者等に見せて確認をしますので、もしかしたら輸出依頼をかけるかもしれません。
その際は迷惑をおかけしますが、対応をお願いします。」
「それは嬉しい事ですね。
喜んでご対応をさせて頂きます。」
シモーナの旦那が頷く。
武雄達はその後も輸出入の話をして盛り上がるのだった。
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