第2101話 明日の出立準備をしよう。(忘れ物はないですか?)
「ははは、キタミザト殿の部下達は楽しそうですね。」
デナムが言ってくる。
「いつもの光景ですよ。
で、王都への土産はあったのですか?」
「ん~・・・特にないですね。
そもそも土産という物が無いようなのですよね。」
デナムが考えながら言う。
「我が国でもそうですが、旅をする方が極稀なのです。
なので王都や地方領での土産という物はないと考えられます。」
ラングフォードが言ってくる。
「ん~・・・物産が育っていないんですね・・・まずは国内で旅行をさせる方法を考えないといけないかもしれないですけど・・・」
武雄が腕を組んで考える。
「まずもって街道の治安でしょうね。
その次に都市毎に特徴を打ち出して、遊びに行きたいと思わせる。」
ラックが言う。
「あと、割と手軽な費用で行き来出来る事も上げられますね。」
フォレットが言う。
「・・・んー・・・ラングフォードさん、財政局としては旅をさせる事には賛成ですか?」
「国内の人、物、金を動かす良い策ではあります。
各々で人を呼び込み、物を消費させ資金を得る、そしてその資金を元に自分達も他方に旅をして物を消費する。
人々の流通によって新たな宿や酒場が出来ると思うと雇用という観点からも良い策ではありますが、先に述べたように街道の治安が担保されなければ気軽に行くとはいかないですかね。」
ラングフォードが言ってくる。
「まぁ、護衛の兵の雇い賃も入れるとなると旅行は高額にならざるを得ないですか。
んー・・・王都と地方で行き来が出来る土壌が出来れば、王都は国の中心地として人も物も集まるし、地方はある程度の人口流出は避けられないでしょうけども、王都の喧騒を忘れたいがために癒しに訪れたり、珍しい物を見に来たりと観光に来てくれる事で雇用が生まれるのが理想なんですけどね。」
武雄が言う。
まぁ、前に王立学院で話した人工湖等の案は出さないように気をつけているようだが。
「地方領に魅力をですか?」
ラングフォードが聞いてくる。
「ウスターソースや王都西の街アズパールカレーなんかも人を呼べる物ですよね。
まぁウスターソースは国内に卸す事を目的にエルヴィス伯爵領とクリフ殿下領で実施していますが、領内のみ、もしくはその街のみで提供されるソースがあっても良い訳ですし。」
「エルヴィス伯爵領の中濃ソースでしょうか?」
「あれも領外に売る気ではいますが、今の所そうですね。
むしろクリフ殿下に教えて、国内で2か所でしか売らないとすれば・・・人が来てくれそうですよね。
ま、そこまで中濃ソースに魅力が出せればとなりますがね。
他にも南なら冬季の避寒地となるでしょうし、夏季は北の山が避暑地として使えるでしょう。
海も旅行先としては魚介類の料理が堪能出来るでしょうしね。」
「ふむ・・・なるほど、そう考えれば旅行をする魅力は地方には今現在でも有しているという事ですね。」
ラングフォードが頷く。
「治安と費用が重荷になりますけどね。
ま、個人で行くより数家族をまとめて団体旅行をさせるのも手ですよね。
護衛の費用を分散出来ますし、宿も一気に借り上げられるので1部屋ごとの費用を少し安く出来るかもしれません。
そこで出た余剰資金を地方に落としたら地方の活性化になる・・・かもしれません。」
武雄が「あー昔、旅行のパックツアーが人気を博した時期があったのは資金的な事もあったのかな?」と思いながら言っている。
「ふむ・・・面白い企画ですね。
ちなみにキタミザト殿、エルヴィス伯爵領での観光で人を呼ぶ方法は何か考えられますか?」
「・・・ドラゴンや狼、鷲達とのふれあいかなぁ・・・
ビエラやクゥなんかはたまには仕事を与えてあげたいし、サスケ達もたまには狩猟以外で食べたい物を食べさせてあげたいし・・・」
武雄がラングフォードの問いに考えながら答える。
「・・・ドラゴンとのふれあいなんて他のどの領主も出来ませんよ・・・それだけでエルヴィス伯爵領に来たがる者が出ますよ。」
ラングフォードが呆れる。
「まぁ、こういう発想がキタミザト殿ですよね。」
フォレットも呆れながら言う。
「・・・ま、人数制限はしますけどね。」
武雄が言うのだった。
「それと所長が城に行っている間に幌馬車や馬の確認はしてありますし、食料の買い込みも終わっています。」
「はい、わかりました。
後でリュックに入れますね。」
武雄が頷く。
「所長、予定通りに出立でしょうか?」
アンダーセンが聞いてくる。
「ええ、明日の朝に出立をしアズパール王国に帰国します。
アンダーセンさん達はもう一度、馬と幌馬車、食料の確認を。」
「了解しました。」
アンダーセン達試験小隊の面々が頷く。
「デナムさんとラングフォードさんは忘れた事が無いかの確認と旅の準備。」
「「はい。」」
デナムとラングフォードが返事をし、ハガードも頷く。
「ラックさん達はデナムさん達が外に行くというのなら護衛をそれ以外は出立の準備をお願いします。」
「了解です。」
ラック達も頷く。
「シモーナさんとレバントさんは交渉し忘れた事が無いかの確認。
もしあるなら私達3人で打ち合わせですね。
それとアプリコットの苗は積んでおいてください。」
「「わかりました。」」
シモーナとレバントが頷く。
「タケオ!わたちは?」
ビエラが自分を指して武雄に聞いてくる。
「ブルックさん、ビエラと一緒にお菓子の買い出しに行ってきてください。
珍しい物とかもあれば嬉しいですが、基本は美味しい物で。」
「了解しました。
ビエラ殿、買い物ですね。」
「はい!ブルック!お菓子!」
ビエラがやる気を見せるのだった。
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