第2095話 231日目 子供達とお茶をしよう。(プチ慰労会。)
研究所の1階 喫茶店。
「はい、お疲れ様ー。」
「お疲れー。」
「「「「ありがとうございます。」」」」
マイヤーとトレーシー、パメラとケイ、ミルコとアニータがコップを傾ける。
「はぁぁああ!美味しい!」
「ジュース、美味しいねぇ。」
「帰って来たと思えるね。」
「頑張りましたよね。」
パメラ達がジュースに感動をしていた。
「ははは、懐かしい物だな。
トレーシーはどうだ?」
「あの子達が初任務ですよ。
この間まで学生だったのに・・・感慨深いですね。」
マイヤーの問いにトレーシーが言う。
「お待ちどうさまでした。
アップルパイです。」
エンマがスイーツを持ってくる。
「「「「わぁぁぁぁぁ!」」」」
4人の目が煌めく。
「ははは、ゆっくり食べなさい。
・・・それよりもう1個頼んだ方が良いか。」
「そうですね。
なら、すみませーん。
アップルパイをもう1セットずつ。」
マイヤーとトレーシーが4人を見ながら追加を決めるのだった。
・・
・
「そうかぁ・・・結局はバラバラに攻撃をかぁ。
難しいと言えば難しいんだがなぁ。」
「んー・・・魔法師専門学院ではその辺の経験はさせるけど・・・
今回は現地採用の新兵で初討伐だったからなぁ。」
ケイ達の討伐報告を聞いてマイヤーとトレーシーが感想を述べる。
「研究室長、私達は学院で習いましたし、今回の討伐訓練で経験はしましたけど、やっぱり初討伐って難しいですよね。
習わなかった・・・訳ではないと思うのですけど、これってどうにか出来ますか?
もっと最初から動きやすくする方法とか。」
ケイが聞いてくる。
「無理だろうね。」
トレーシーが即答する。
「む・・・無理ですか。」
「うん、どんなに座学や訓練場での訓練をしても魔物を初めて相手にした瞬間に思考が飛ぶんだよね。
これは数を熟すしかないんだよ。」
「そうだなぁ。
オークは3体で森の中かぁ。
新人30人で対処するには数としては丁度良いかもしれないが、初陣でかぁ。
・・・まぁ、混乱はするだろうが、熟せない数ではないな。」
「そういえばマイヤー殿は所長とゴドウィン伯爵領に行く時、オークを討伐していたと聞きましたが?」
「あ~・・・所長とアリス殿と俺とベイノンでしたなぁ。
1日で最高はオーク21体だったかな?
ま、他の日にも10体以上を数回倒しはしたが、連戦に次ぐ連戦だったな。」
「「「「・・・」」」」
4人が難しい顔をさせて聞いてる。
「所長とアリス殿は訓練受けていませんよね?」
「あれは実践で経験した形で所長とアリス殿だからとしか言えないなぁ。
こちらの数が少なかったから対処が楽だったという側面はある。
まず、ミア殿が選別しオークの中でも強そうなのは所長が小銃改で無力化。
近くに居るのはアリス殿が薙ぎ倒し、俺とベイノンがアリス殿の後ろを守っていたという形だな。
チームとしては結構な速さで処理をした感じだ。」
「なんていう過酷な行軍しているんですか。」
「いや・・・まったくといって悲壮感はないし、楽しんで狩りをしていた感じだな。
それに食事が毎回所長だぞ?
これが美味しくてなぁ。
それに討伐を終えれば所長が湯浴み場を作ってくれて浸かれるんだ。
これも中々に気持ちが良いんだ。」
「美味しい物と浸かれる湯浴みと引き換えに重労働をしているとしか思えませんね。」
トレーシーがマイヤーの言葉に呆れる。
「まぁ、仕事だしな。
陛下の護衛をしているよりかは楽だぞ。
あれはあれで緊張を強いられるからな。
のんびりと夜空を見ながらの湯浴みも良い物だ。
トレーシー以外は皆、しているがな。」
「ん~・・・どこかで訓練場で研究所の皆で一泊訓練しますかね。
そうすれば私やスズネ殿も参加できるし。」
「あーそれも手だな。
所長が帰ったら提案するか。
さて、話は脱線したが、オーク等の魔物との戦闘は慣れが肝心だが、慣れ過ぎてはいけないというものなんだよ。」
「慣れ過ぎてはいけない?
ん~・・・なんとなくわかりますが、それって初心を忘れないという事ですか?」
パメラが聞いてくる。
「初心とは違うな。
そうだなぁ・・・オークと連戦して戦い方がわかり始めると次の攻撃がどんなものかわかり始めるんだ。
これは戦闘を積まないと見えてこないんだが・・・オークの攻撃がどういう種類があるのかを知るのは大事だし、その経験を生かすのも大事だ。
だが、それと同時に他の攻撃がされた場合も想定しないといけない。
例えば、キタミザト家の子供メイドが戦っていた際にはこん棒で殴って来ていたが、突然私達に見つからない位置から槍を持ち出し、槍で攻撃してくる可能性があるかもしれない。
そう言った事を総じて慣れ過ぎないようにすると言っているんだよ。
ちなみに、あの時の子供達に付いた試験小隊の面々は常に何かあっても良いように、万が一の対処方法を頭の隅に入れて指導していたんだよ。」
「まぁ、4人共それはこれから学んでいく事だね。
見た目だけの情報ではなく、見えない方法で攻撃がされる事を今後は想定しないといけないと覚えておくだけで良いからね。」
マイヤーとトレーシーが言う。
「「「「わかりました。」」」」
4人が頷く。
「うん、とりあえず、研修先でも報告書は出すだろうが、戻ってからアンダーセンにも報告書を出すように。
所長も見るだろうからそれなりに力作を期待するよ。」
「皆、頑張ってねー。」
「「「「はぁ・・・頑張ります。」」」」
4人が疲れた顔をさせて返事をするのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




