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第2093話 どうせ溶かすんでしょ?なら乱暴に扱っても良いわけだ。(武雄の置き土産。)

「おー♪

 我もやればできるな♪」

ヴァレーリが目の前の両断した丸太を見ながら感嘆の声をだす。

「いや、ダニエラ、どんだけぶっ飛んでるのよ。

 丸太を地面に刺して、上にフルプレートを括りつけて周りを連打してから最後は丸太ごと横殴りで粉砕って。

 走り込んでとかの威力増加をしないでやるなんて普通じゃないわよ。

 そもそも丸太がなんで粉砕出来るのよ。」

お昼を持ってきたカールラが呆れながら言う。

「あはは、ハルバードが曲がったわ!」

「陛下・・・それ・・・斧部分の正反対側に綺麗に曲がっていますね。

 斧部分を正しく丸太の真正面に打ち付けた故の所業ですな。」

「曲がったがな。

 良く曲がったまま吹っ飛ばせたよな!」

「なんでこの状態のハルバードで丸太を粉砕出来るんですかね?」

ドワーフの職人が呆れながら聞いてくる。

「知らん!

 思いっきりハルバードを打ち付けたらこうなった!

 なんでだろーな?

 あはは!たまには全力も良い物だな!」

ヴァレーリが達成感を感じて気持ち良く笑っている。

「でもさぁ、ダニエラ。

 その威力ならただ単にフルプレートを着ただけの兵士なんて両断しちゃうわよね?」

「・・・中身が丸太より硬ければ保つんじゃないか?」

「そんなの居ないわよ・・・

 あ、ドラゴンとかリザードドラゴンとか?」

「ドラゴンはなぁ・・・あいつら硬すぎだろう?

 打撲程度しか与えられないと思うぞ。

 ま、リザードドラゴンの方は両断は出来ないにしても内臓は潰せるんじゃないか?

 デムーロ国に居るかはわからんが・・・あ、ブリアーニ王国の森に居たか?」

「試そうとしてない?」

「演習ついでにやるかな。

 蟲達は部下に任せれば良いし。」

「いや、まぁ・・・良いけど。」

ブリアーニが増々呆れる。

「じゃ、これは返すぞ。」

ヴァレーリが綺麗に曲がったハルバードをドワーフの職人に渡す。

「はぁ・・・このハルバードもそれなりなんですけどねぇ。」

曲がったハルバードを見ながらドワーフの職人が呟く。

「ねぇ、ダニエラ、御前試合どういう感じだったの?

 優勝した時とか。」

「ん~?普通にロングソードで数回打ち合ってから倒したぞ?」

ヴァレーリが普通に答える。

「そこはかとなく何かが間違っているのはわかるんだけど。

 数回打ち合ったの?あの感じで?」

「まぁ、7割くらいでだがな。

 最高硬度の武器なんて王城に入らなければ、手に入る訳ないし、武器は大事だからなぁ。

 力加減をしておいた。」

「・・・相手より武器が大事かぁ。」

「当たり前だろう。

 武器は旅をするのに必要なんだから。

 いくら賞品が欲しくても武器を壊すのはいただけないからな。

 ま、相手があまり強くなかったのには驚いたが。」

「ダニエラが強すぎたんじゃないの?」

「・・・いや、あれはあまり強くなかったんだよ。

 魔王国の国王が見ている御前試合だぞ?

 なので、最初様子見で数回打ち合ったが、それほど強くないと思ってさっさと倒させて貰ったのさ。

 長引かせるのも相手に悪いしな。」

「ふーん、そう。」

「カールラ、信じてないな?

 それこそ、王軍の指揮官や大隊長達と同じくらい出来るのなら、もっと長引いたとは思うんだが。」

「王軍の指揮官と各大隊長って武力で上位ばかりじゃん。

 そんなのが旅をしているなんて普通思わないわよ。」

「・・・先代はなんでそんな中から次期王を選んだんだ?」

ヴァレーリがカールラに聞く。

「知らないわよ。

 まぁダニエラみたいなのが居るからなんじゃない?」

「もし、我でなかったら魔王国はどうなっていたんだろうか・・・」

「たらればなんて意味ないわよ。

 ダニエラはなるべくしてなったんだろうね。」

「はぁ・・・嬉しくはないがそうだな。

 で、カールラ、昼は何だ?」

「キタミザト殿の置き土産よ。」

「ほぉ、もう出来たか。

 野菜炒めにパスタを絡めて少し濃いめにウスターソースをかけるんだったか。」

「ええ、野菜や肉を1口大で作ったわよ。」

「まったく、ビエラの発着で使わせて貰うからというのは律儀過ぎだな。

 そのぐらい見返りなしで使わせるのに。」

「そうだよね。

 ちょっとこちらが貰い過ぎている感じもあるよねぇ。」

「まぁ・・・普通なら貨幣での支払いをするのだがな。

 そう思っていた所で料理レシピでの支払い・・・虚を突くというのか、考えもしなかった方法での支払いだ・・・呆れたからなのか、その程度の事だと思ったのか・・・我の部下達からも印象が良いのは確かか。」

「現物で美味しい物を提供してくれたからね~。」

「あぁ、ついでにウスターソースを売り込まれた。

 まったくキタミザト殿は商売上手だ。

 ま、ああいうやり方を臨機応変に出来る事が人心掌握術の一端という事なのだろう。

 金が欲しい者には金を、美味しい物が欲しい者には美味しい物を。

 良く見ているから出来る事だ。

 恐れ入る。」

「それを即決する胆力もね。

 キタミザト殿を抑えているのがエルヴィス伯爵でしょう?

 あの即断即決の意見を聞き、決断しているなんて領主としては最高級の判断力を持っているよね。

 アズパール王国では、こういう事が出来ないと領主に成れないのかな?」

「あんな治政者達がゴロゴロいる国家かぁ・・・うちの領主達はちょっと足らないなぁ。

 武力は高くとも治政が弱いというのは国家として弱く見られるだろう。

 次の国王に頑張って領主達を指導して貰うか。」

「・・・ねぇ、最近思うんだけど・・・代替わりする必要ないんじゃない?」

「カールラ、怖い事言うな。

 部下共に聞こえたら裏で工作しかねん。」

ヴァレーリがブリアーニの言葉に真顔で返すのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当はやりたくもない仕事をこなされているヴァレーリ陛下・・・頭が下がります。 なので、たまの←?お茶目も許されると言うか、許されなければ国が滅びますよね・・・・・ ・・・・・陛下が退任され…
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