第2088話 ジーナへの手紙を用意しました。(ダッフルコートは売り込みたいね。)
エルヴィス伯爵邸の客間。
「よし・・・見直しはしたと。
ジーナちゃん宛のタケオ様からの指示は書けたっと。
あとは小瓶に入れれば終わりですね。
夕霧ちゃん、紫雲は夕食後までには準備出来ますか?」
アリスが客間の隅に居る夕霧と残飯の桶の上に座っている紫雲に聞く。
「ん、夕食後までなら問題ない。
シウンもゆっくりで良い。」
「はっ。」
夕霧と紫雲が返事をする。
「よし、大丈夫そうね。
あとは・・・」
「アリス、ダッフルコートとか制服とか書かないの?」
チビコノハがアリスの肩に乗りながら言ってくる。
「うん?・・・ん~・・・何て書くの?
私が書くよりもタケオ様が書いた方が良いと思うんですけど?」
「それはそうだけど、実際に使用するのジーナでしょ?
なら、ジーナの意見も必要だと思うのよ。
特にダッフルコートに使う色とかは王都の流行に合わせてあげたいじゃない?
実家から来たコートが流行おくれとか可哀想よ。」
「それは・・・確かに。
でもまだ販売になってないわよね?
タケオ様の企画で販売が決まったのは教えられているけど。
試作品は出来ているんでしょうかね・・・」
「ん~・・・そこは確認しないといけないのだけど・・・
でも、タケオの案では王立学院と魔法師専門学院に売り込むんでしょう?
タケオが直々にというのはあるだろうけど、その前にジーナに動いて貰って生徒達から流行りの色を聞き出し、反映した物をプレゼン用に送った方が良いと思うわ。
あーいう学院は複数候補を持ちよって決めると思うのよ。
となれば生徒達が欲しい色で性能も良い物が選ばれると思うわ。」
「ふむ・・・コノハの言う事は尤もですね。
・・・なら、ジーナちゃんには王立学院に売り込むコートの色の調査をお願いしましょうか。」
アリスが頷く。
「それで・・・アリス。
制服はどうする?」
「うん?ジーナちゃんには何も言いませんよ。
罰則衣装という事で膝丈までならと思っていましたけど、あんな短いスカートを子供達に穿かせるわけにはいきませんからね。
風紀が乱れます。」
「絶対に流行ると思うんだよなぁ。」
「流行る流行らないで制服を決めるのもねぇ・・・
コートぐらいなら良いだろうけど。
・・・ちなみにコノハ、スカートを短くしたらどういう効果があるの?」
「足が長く見える・・・かも。
あとチラ見が出来る。
何がとは言わないけど。
男の子は大喜びの予感。」
「不採用!
風紀の乱れを貴族が率先してどうするのよ。」
「でもアリス、ブレザー型の制服を用意するとしてスカートは膝丈でも許可出来ない?」
「膝丈でもどうかと思いますけど。
やはり、脛ぐらいまではほしいですよ。」
「んー・・・ブレザー案は無しか・・・
あ、うーちゃんとだーちゃんのセーラー服があるか。
あれなら膝丈まで良いけど・・・ん~・・・女子は良いとして男子は・・・セーラー服と対をなすには学ランだろうけど・・・ん~・・・」
チビコノハが悩み始める。
「コノハ、制服は諦めたら?」
「タケオが帰って来たら相談しよう。」
「・・・コノハが相談する前に私がタケオ様に言っておかなくては。」
アリスがやる気を見せるのだった。
と扉がノックされ、ビエラが返事をするとエルヴィス爺さんが入ってくる。
「あー、仕事が終わったぞ~。
ビエラ殿、帰って来たと聞いていたが、魔王国は面白かったかの?」
「伯爵!たのちぃ!タケオ、話し合ってた。いっぱい!」
ビエラが一生懸命に伯爵に報告する。
「うむうむ、ビエラ殿が楽しそうなら深刻な事にはなっていないのだろうの。
まぁ、それにタケオの事じゃ、すんなりと旅を楽しめたわけではないのだろうの。
アリス、何かタケオから来ておるかの?」
「はい、こちらです。」
アリスが、ビエラが持ってきた手紙をエルヴィス爺さんの前に置く。
「ふむ・・・ん~・・・これわしが見ても良い物なのかの?」
「平気ですよ、お爺さま。
概要しか書かれていませんし、特段見せてはいけないとも書いていません。
まぁ、誰も彼もとはいかない内容ではあるでしょうけども。」
エルヴィス爺さんの言葉にアリスが返事をする。
「そうか・・・では、拝見しようかの。」
エルヴィス爺さんが手紙を持ち上げ、メガネをかけて読みだす。
「・・・ふむ・・・概要の時点で怖い内容が書いてあるのじゃがの。」
「そうですね。
タケオ様はヴァレーリ陛下とブリアーニ女王陛下と再び話し合ったようですね。」
「『今後の魔王国の方針を知ったので陛下が王都に戻り次第、すぐに2人のみで会談出来るように手配をして欲しい』か・・・
前回もそうじゃが、今回も相当な事を知ってしまったようじゃの。」
「はい、その部分はジーナちゃん宛に彩雲で手紙を持って行って貰おうかと思います。」
「まぁ、タケオの要請じゃからの。
陛下も無下には扱わないじゃろう。
それ以外にも・・・アプリコットの苗木とコショウを手に入れたとあるの。」
「胡椒!?」
アリスの肩から机の上に移動していたチビコノハが反応する。
「「え?」」
エルヴィス爺さんとアリスがコノハを見る。
「ああ・・・ごめん。
コショウかぁ、今回の魔王国へ行った事で最大の収穫ね。」
「コノハ、コショウって何?」
「すっごい調味料よ。
タケオ、早く帰ってこないかなぁ?」
コノハが口惜しそうに言うのだった。
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