第2085話 1泊追加が決定。(ん?ルーク達が悪戦苦闘しているぞ。)
魔王国王都のレバントの店。
武雄とシモーナ、レバントが店の隅の机を囲みながら打ち合わせをしていた。
試験小隊の面々と王都組は武雄達の商談には立ち会わず、各々レバントの店の周囲のお店を物色したり、お茶をしたりと王都を満喫している。
ビエラとミアはお昼寝中だったりする。
「ん~・・・原価がこうだから・・・
レバントさんとシモーナさんの乗せ率は5%で良いですか?」
武雄が紙に原価と利益を書きながら言ってくる。
「キタミザト様はどのくらい乗せていますか?」
シモーナが聞いてくる。
「ん~・・・私は国内流通には関与していませんからね・・・輸出の際の発注や手配等々の手間賃として5%を乗せる程度で良いと思っています。
それに製造元も鉛筆は普及目的もあると認識しているので薄利多売を旨として王国内の方ではほとんど乗せていないのは知っていますよ。」
「少ないのですね。
ですが、定期的に販売できる物ならばそれでも事業としては問題ないのかもしれませんけど。
輸出入の観点からすれば10%は頂きたいですね。
おばさんはどうですか?」
「私は王城との繋ぎが出来そうな商品だから5%で構わないわよ。
あ・・・でも最初は多くても後々は少なくなる事を考えるのなら10%に固定させたいわ。」
レバントが言ってくる。
「なら、原価に5%、シモーナさんとレバントさんが10%ずつで・・これが1箱と1セットの素原価ですね。」
武雄が言ってくる。
「んー・・・数が多いからなぁ・・・何回かの輸送に分割するんでしょうけど。
何回になりますかね?
それによって見積もりの価格が変わりますよ。」
「それはこれからビエラに飛んで貰いますよ。」
「あ~・・・気が付きませんでしたが、あの子、ドラゴンだったのねぇ。」
レバントがビエラを見て言ってくる。
「ええ、うちの居候です。
今回は臨時で飛んで行って確認をして貰います。
戻りは明日ですかね?
なので、1泊追加でお願いします。」
「まぁ、1泊追加は良いのですけどね。
キタミザト様の予定は大丈夫なのですか?」
レバントが言ってくる。
「むしろここで帰って、また見積もり云々をしたら時間だけがかかってしまいますよ。
1日延長で大まかな所が決まるのなら安い物です。」
「まぁ・・・言わんとする事はわかります。
で、キタミザト様、時間というのは何ですか?」
「うん?あぁ、この懐中時計ですよ。
1日を24分割して時を数える方法です。
私達、キタミザト家はこれで動いているんです。
鐘の音は3時間ごとに鳴っているのです。」
「へぇ~・・・これは輸出出来ますか?
キタミザト様とやり取りをするのにこの時間と言う単位が必要になるような気がします。」
シモーナが聞いてくる。
「今、国内の注文が殺到していて、魔王国に卸せるほどありませんが、私の枠が少しあって、シモーナさん用やレバントさんに1個ずつ売れはしますよ。
買いますか?」
「はい、お願いします。」
シモーナが頷く。
「ん~・・・新しい物を手に入れるのは楽しい事だけれど、私はまたの機会で良いわ。
魔王国に居て私しか使わないのであればあまり意味がないしね。
下手に持っていて、盗まれて魔王国内で勝手に作られでもしたらキタミザト様に申し訳ないしね。
魔王国に正式に輸出する際にはお願いする事にしますよ。」
レバントが今回は遠慮する。
「ま、私も常日頃は使わずにキタミザト様との荷物のやり取りをする際に使いますかね。」
シモーナも頷く。
「今、製造している工房も頑張っているのでね。
数年経てば卸せるようになると思いますから。」
「現状変わらないなら問題はないと思って過ごしますよ。」
レバントが頷く。
「さてと・・・アリス宛に手紙を書きますかね。」
武雄が小さい紙を用意して、簡易的な報告書を書き始めるのだった。
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王立学院の宿舎にて。
「ん~・・・まずは鍋の中にタマネギ、ニンジン、魚の干物・・・を入れる。」
「こっちのジャガイモや肉は一口大で良いんだよな?
とりあえず、切っておく。」
「あぁ、多分そうだ、任せたぞ。
あ、その前にお湯を沸騰させるのか。」
男子生徒とルークが宿舎の厨房で野菜を鍋で煮ようとしていた。
「いや・・・なんだろうね、この緊張感。」
「気軽に待つつもりがちょっとした私達の我慢大会になっているよ。
すっごく手を出したい。」
「そういえば・・・ケアって食中りに効いたかな?」
「精神の混乱が予想されるからキュアかな?
この中で出来たのいたっけ?」
コートニー達4名が男子2名の奮闘を見つつも対処方法を考え始めている。
「・・・えーっと・・・まずは強火で良いんだよな。
薪を多めに入れるか。」
「・・・意外と6人分は結構な量があるなぁ。」
男子生徒とルークが考えながら料理をしている。
「出だしから怖いわ。」
「サラダ用にも野菜は買ってたけど、あっちは手つかずだね。」
「サラダのソース大丈夫かなぁ。」
「・・・スープが望み薄とかどんな面白料理なのよ・・・」
コートニー達は「これは男子には任せられないな」と出だしからこの企画をした事を悔やんだのだった。
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