第2084話 異様な買い物が終わったら異様な買い物を依頼されました。(エリカの本は売れるのでは?)
魔王国の雑貨屋にて
「お会計は・・・こちらに。」
「はい、わかりました。
待ってくださいね、今出しますから。」
武雄がカウンターでリュックから革袋を取り出して会計をし始める。
「あー・・・キタミザト様、買ったわね。」
「かなりの量ですね。
これは買い付けという感じなんですかね?」
レバントとシモーナが店内の一角に設けられた武雄が買った商品の山を見ながら言っている。
「どれだけ多くの人に見せるんだろうね?」
「多種多様なんでしょうね。
逆に言えば、この量を買って行っても見る人が待っているという事なんでしょうね。」
「1つの事をずっとやるというのは間違っている訳ではないけど・・・こうやって幅広く物を見る人が上にいると地域は発展するのかもね。
実際にアズパール王国はキタミザト様を見る限りなんでも取り入れて物を作っている感じがするしね。」
「おばさん、キタミザト様が居る内にアズパール王国と結びつきを強めましょうね。」
「そうね。
キタミザト様がこれだけ持って行くんだから1品、2品は輸出に繋がるかもしれないし、もしかしたら向こうから何かしら新しい物が入る可能性は高いわよね。」
「こっちにも素材を売る為の販路と輸入した物を売る販路が必要ですよね。
他の店からも注文が来ますかね?」
「んー・・・雑貨屋の横の広がりはわからないなぁ。
でも、流行りの物が出来ればおのずと注文は増えるだろうね。
何とか輸出入量を維持しながら次の代でも次の次の代でもご贔屓にして貰わないとね。」
「そこが重要ですよね。
輸入の方はウスターソースとウォルトウィスキーがまずは出来ますけど、他の輸入品は欲しいですよね。」
「そうね~。」
レバントとシモーナが今後の事を話し合っていた。
・・
・
「今後ともよろしくお願いします。」
雑貨屋の店長が店先までお見送りをしてくれていた。
「はい、今後は何かあればレバントさんが対応しますから。
また、新しい物があれば紹介してくださいね。」
「はい、わかりました。
お気をつけて~。」
武雄達が雑貨屋を後にする。
「キタミザト様、随分と買われましたね?」
シモーナが武雄に聞いてくる。
「まぁ、出来る限りの品々を買いましたからね。
あとは私達の方の工房等が品物を見て欲しいと思う商品があれば輸入に繋がるのですけど。
そればかりはやってみないとわからないですしね。」
「そうですね・・・ちなみに今回の買った物が輸入に繋がらなかった場合、キタミザト様の持ち出しになるんですよね?」
「ええ、そうですよ。
何とか輸入に繋げたいとは思いますけど・・・まぁ、今回は魔王国の物を買えたという事で十分満足していますよ。
購入金を持ち出してしまうのは初回なんですからしょうがないと割り切っていますし。」
「アズパール王国の方々の発想力に期待します。
キタミザト様は何か考えているのですか?」
「いえ、今の所ないですが、何か輸出出来る物が出来たらなぁと思っていますよ。」
シモーナの言葉に武雄が言ってくる。
「そういえば、さっき王城に行って来ましたけど、第1軍からえんぴつという品の注文があったのですけど。
わかりますか?」
レバントが武雄に聞いてくる。
「ええ、筆記具ですよ、私達は使っていますね。
うちの部下が第1軍の方と話をしたようですからそこからですかね?」
「そうですか・・・40000本の注文なのですけど。
けしごむと言うのも2000個発注依頼が来ましたが。」
「は?」
「いえ、鉛筆が40000本、消しゴムが2000個ですけど。」
「鉛筆は20本1箱、消しゴムは5個1セットで販売はしていますけど・・・
えーっと・・・2000箱と400セット?いくら小さいとはいえ・・・相当な量ですね。
レバントさん、すぐに戻って打ち合わせしましょう。
ビエラ!戻ってからすぐに手紙を書きますからアリスに届けてください。
向こうで1泊してから戻って来てください。」
「はい!」
ビエラが返事をする。
「わかりました、すぐに戻りましょう。」
レバントが頷くのだった。
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エルヴィス伯爵邸の客間。
「ふむ・・・ジーナからエリカ殿が書いた民間療法の本の購入予定の確認じゃがの。」
「こっちでも本を探していましたけど、まとめたのが出来たというのはわかりましたが。
100冊以上の購入でこっちにも売りに出せると書いてありましたよね。
お爺さまがフレデリックに庁舎に置く分を確認をさせていましたが、もう来たのですか?」
エルヴィス爺さんとアリスがお茶をしながら話している。
「うむ、さっき来たのじゃがの。
各局で4冊ずつおいて、各町に2冊、各村に2冊は確定じゃの。」
「えーっと・・・7局で28冊、4つの町で8冊、村が町に対して5つだから40冊・・・76冊ですか。」
「うむ、さらに人工湖や街道整備の際の工事現場にも常備させようと思う。
何かあればケアが出来る体制は取る気ではいるが、その場ですぐに対処出来れば魔法師を待っている間の負傷者が楽になるからの。
それと各組合、特に商隊等の輸送をする所にも推奨書として売ろうと思うのじゃよ。」
「・・・タケオ様の所や協力業者さん達も買いそうですよね。
となると・・・200冊では足らないかもしれませんが、そこまで売れない可能性もありますね。」
「うむ、かといって少なく見積もって、売り切れになるのものぉ・・・アリスはどのくらいが良いと思うかの?」
「・・・250冊頼んで、売れ残りの内の数冊はシモーナさんに売ってみるというのはどうですか?
民間療法なら向こうに渡しても問題ないでしょうし、逆に向こうから同様な書物を輸出して貰って、エリカさんに販売するというのも面白いかもしれません。
それに250冊で足らなければ増刷を頼めば良いだけですので、少し手に入れるのが遅れるだけですから。
そこは致し方ないと思って貰うしかないかと思います。」
「うむ・・・それに追加の際にはジェシー達も聞きつけて買いに来るだろうしの。」
「むしろジェシーお姉様の方にはレイラお姉様の方から1冊送ってみるのが良いのではないですか?
そうすればジェシーお姉様の事ですからうちと同じかさらに大量の発注をかけそうです。」
「ふむ・・・なら我らは初回で250冊を卸して貰うかの。
アリス、ジーナにその旨を連絡頼むの。」
「はい、わかりました。」
アリスが頷くのだった。
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