第2080話 集合だ。(ウスターソースを買いに来た者達が居ます。)
レバントの店。
まだ開店前の店内でレバントが品出しをしていた。
「ふぅ・・・意外とあるのよねぇ。
さてと、キタミザト殿が今日ぐらいまでしか居ないだろうから。
どこを見に行くにしても品揃えの良い所に連れて行かないとね。」
レバントが足らなくなった商品を確認して少し足して回りながら独り言を呟く。
・・
・
「・・・ん~・・・まぁ、こんな物かな。
さて、店を開けてキタミザト殿を待とうかしらね。」
とレバントが店の玄関を開けに向かい、扉を開けると。
「「おはようございます!」」
メイド姿のヴァレーリとブリアーニが居た。
「・・・ダニエラちゃん、カールラさん、おはよう。
朝早いわね。
お仕事大丈夫?」
「平気ですよ!」
レバントの問いに良い笑顔をヴァレーリが店内に入りながら向ける。
「はぁ・・・今日もキタミザト殿を?」
「いえ、今日はキタミザト殿に用はございませんよ。
おば様、受け取りに参りました。」
ヴァレーリが言うと隣に居るブリアーニも頷く。
「受け取り・・・はぁ・・・キタミザト殿からお聞きになりましたか?」
「はい!ウスターソースが来たと言っていましたので買いに来ました!」
ヴァレーリの言葉にブリアーニも頷く。
「売りに出せるのはウスターソースの中樽4つ。
この場合の中樽はアズパール王国で見た樽の半分が入る容量よ。
ダニエラちゃんとカールラさんに売るつもりでいるのは確かなんだけど・・・半々にする?」
レバントが2人に向かって言う。
「「・・・」」
ヴァレーリとブリアーニが顔を見合わせる。
「失礼します!
はぁはぁはぁ・・・こ・・こちらにダニエラ様とカールラ様は・・・居た!」
メイド姿のアンナローロが駆け込んでくる。
「ん?来ましたか。」
ヴァレーリが玄関に顔を向けてさも当然の如く言ってくる。
「朝、執務室に迎えに行ったら居なくなっていますし!カールラ様も!いきなり居なくなられないでください!」
アンナローロが若干怒りながら言ってくる。
「あれ?書き置きしておきましたが?
それに」
ヴァレーリが気にしないで言ってくる。
「『じゃ、先に行っているから』なんてのは書き置きではありません!
・・・はぁ・・・帰ったらお聞きする事や言わせていただきたい事が多々ありますから。」
「ん~・・・まぁ、わかりました。」
ヴァレーリがとりあえず頷く。
「はぁ・・・レバント様、本日はウスターソースを受け取りに参りました。
売値はいかほどになりますでしょうか?」
アンナローロがレバントに言う。
「えーっと・・・中樽が4樽あってどう分配しようかと今伺っていたんです。
ダニエラちゃんとカールラさんに半々で売るのが争いが無くて良いとは思うのですけどね。」
「そうですか・・・ダニエラ様、カールラ様、2樽ずつで良いですね。」
「ん~・・・しょうがないですね。
争っても仕方ないですし。」
「1か月間我慢すればまた手に入りますしね。」
ヴァレーリとブリアーニが頷く。
「ですが・・・レバントおば様!
中濃ソースがございませんが!?」
「ん?1樽分しかなかったからね、私とシモーナさんとで分けていますよ。
ウスターソースの中樽1つと中濃ソースの中樽1つで半分こ。
ほほほほほ、うちの店で出しますから食べに来てね。」
レバントが楽しそうに言う。
「うぅ・・・買えるだけでも良しとしないといけないでしょうかね・・・」
「私はウスターソースだけでも満足よ。
うちの者達も喜ぶはずだわ。」
ガックリとするヴァレーリとは反対にブリアーニは満足げに頷く。
と。
「失礼します。
レバントさん、おはようございます。」
武雄達が入ってくる。
「あら、キタミザト様、おはようございます。
すみません、ご贔屓にして頂いている方と商談中なんです。
すぐに終わりますから待っていてください、まぁ、キタミザト様も顔見知りなんですけどね。」
「・・・早速買いに来ていましたか。」
武雄がヴァレーリ達を見て言う。
「なくなるかもしれませんからね!」
「私はダニエラに全部持って行かれる可能性がありましたから。」
「いやいやいや、私がカールラの分を取るわけないでしょう。
ちゃんと引き取ってきましたよ。」
「・・・そういう事にしておきましょう。
えーっと、支払いをしたいので請求書と請書を一応頂けますか?」
「はい、わかりました。
すぐに用意します。
キタミザト様、すみませんが、終わるまで待っていてください。」
「構いませんよ。」
武雄がヴァレーリ達とは違う方の部屋の隅に行き座ると武雄の同行者も一緒に隅に行って座ったり立って話をし始める。
と。
「・・・おはよう・・・ございます。」
見るからに体調不良のシモーナが入ってくる。
「あ、シモーナさん、ケアかけますね。」
武雄が近寄って握手をしてケアをかける。
「ありがとうございます。
キタミザト様、改めましておはようございます。
ダニエラさんもカールラさんもおはようございます。」
「「おはようございます、シモーナさん。」」
ヴァレーリとブリアーニがシモーナに挨拶する。
「えーっと・・・ウスターソースですかね?
私はキタミザト様と話をしていますね。
あ、その前にお水を貰います。」
シモーナが勝手知ったる店内なので勝手に水を取りに行く。
「あ、シモーナさん、キタミザト様にもお願いね。」
「はぁ・・・なら、お茶を淹れますよ。」
シモーナがため息を付きながらお茶の準備をするのだった。
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