第2079話 231日目 今日の予定を確認しよう。(昨日、どれだけ飲んだのだろう。)
結局、夕食を食べながら試験小隊の面々からは「ミア軍団達との戦闘はまだ早い」と言われ、デナム達からは「黄銅は早めに全国に売りたいですね、何とかやり方を考えないと」と言われていた。
どちらも真剣に言ってきたので、「まぁ、まだ企画段階ですから~」とにこやかに武雄は応対していた。
で、夕食も終わって「また明日の朝に皆で明日の予定を確認しましょう」とお開きにして皆が個室に帰って行った。
まぁ、大半の男性陣は寝る前に少しお酒を入れたいと要望を言ってきたので、深酒にならない範囲でと釘を刺しながらも許可をすると皆が夕食を取った所で酒をお持ち帰りしていたのはご愛敬なのだろう。
さて、朝です。
朝食を取るために下に来た武雄が机の上を見て一言。
「いろんな種類を飲んだのですね~。」
そう、机の上には昨日の持ち帰って飲み干したと思われる空の瓶がドサドサッとあった。
空き瓶を皆が持ってきたのだった。
「全員、健康状態は確認しました。
問題はありません。」
アンダーセンが言ってくる。
武雄以外の皆が揃っていた。
「うん・・・まぁ、最終手段があるからそこは気にしていませんが。
結構飲んだね・・・ベイノンさん。」
「名指しですか!?」
ベイノンが驚く。
「そ、ご指名。
皆にも意見を聞いて、輸入したい物をリスト化してください。
そのリストをレバントさんに渡し、輸出出来る物を選定して貰い、5本ずつ購入しようと思います。
購入した物をローさんに回し輸入するか検討して貰います。
では、お任せします。」
「あ、そういう仕事ですか。
了解しました!」
ベイノンが頷く。
「さて、朝食を食べますかね。」
武雄がそう言ってからパンと飲み物、ちょっとしたサラダとソーセージを取り、席に着くと皆も朝食を取りに行く。
「まずは飲み物を・・・行きたい場所の残りは干物屋、穀物問屋ですかね。」
「そうですね。
変更しますか?」
アンダーセンが武雄の対面に同じく朝食を持って来て座りながら言ってくる。
「んー・・・干物屋と穀物問屋は軽くで良いかなぁ。
種類の確認と珍しい物があればちょっと買う程度にします。
その2つの店ははどちらかと言えばラングフォードさんの目的地ではありますから、そこではラングフォードさんに陣頭指揮を執って貰いましょう。」
「はい、すみません。
穀物の価格調査と聞き込み調査をさせて頂きます。
もちろんキタミザト殿の方で何か輸入をされるのでしたら私達は何も言いませんけども。」
ラングフォードとデナムも朝食を持って武雄の隣にやって来る。
「ん~・・・今の段階では魔王国から輸入は考えていませんね。
アズパール王国内で賄えるのですから輸入する事はしませんよ。
まぁレバントさんに価格の定期的な確認はお願いしておくとは思いますが、その程度でしょう。
もしくはレバントさんから売り込みがあるのなら検討する程度ですよ。」
「わかりました。
では、私とデナム殿達ですぐに調査を終わらせます。
その後、キタミザト殿はどこに行かれますか?」
「雑貨屋に行きたいですね。
協力工房の方達にお土産をね。」
「特段珍しい物はありませんでしたが?」
「だから買って行ってあげるんですよ。
魔王国の物は基本的にアズパール王国には入ってきません。
国の差、地域差がどういう風に出ているか。
色合いだったり、作り方だったり、私達の目には同じでも職人が見たらわかる事もあるはずですからね。
そして魔王国の良い所を取り込めるのなら取り込み、アズパール王国での技術と融合させる。
そうすればアズパール王国内でも一風変わった物が出来上がり、一目置かれる商品が出来ると考えます。」
武雄が言う。
「それはそれでエルヴィス伯爵領の職人達が苦労しそうではありますね。」
「今のままでは他領と大差ない物しか作れていませんからね。
今の世ではそれでも良いかもしれませんが、今後は特色が無ければ生き残れないでしょう。
事実、うちの協力工房から生み出したコートや筆記具は他に類を見ないようで売れているらしいです。
でもだからと言っていつまでもうちの協力工房のみが作れていると思うのは予測ではなく願望です。
必ず競合する工房は出てきます。
その時に新たな発想が出来るのか、差別化してさらに人々に受け入れられる物を作れるのかは日々の街中での観察と新しい物に触れる機会を逃さない好奇心を持っている者のみが出来ると思っています。
昨日の夕食でも言ったでしょう?
調査は大事だと。」
「そうでしたね。」
ラングフォードが頷く。
「そういえばデナムさん、ブリアーニ王国と魔王国のパイプの葉の輸入については?」
「ええ、2日前に雑貨屋には行きましたが、輸入については一旦、保留するとの事でした。」
「ん?・・・保留ですか?」
武雄が聞き返す。
「はい、魔王国でもパイプの葉の輸出入については王城の方で取り仕切っているようなのです。
なので、一度確認させて欲しいという話でした。
その後、輸出が可能ならばレバント殿に連絡を入れて報告するとの事です。」
デナムが言う。
「ふむ・・・まぁ致し方ありませんね。
では、報告が来たら専売局に転送をします。」
「よろしくお願いします。」
デナムが頭を下げるのだった。
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