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第2078話 230日目 王都組は何か収穫はあったのか。2(黄銅の正しい広め方。)

「えーっと・・・王都に戻ったら検討します。」

「是非とも実施でお願いしますね。

 1mmでなくても出来る範囲内の最薄で良いですからね。

 最低は5枚で。」

「はぁ・・・わかりました。

 戻り次第、検討してご報告を上げます。」

デナムが諦めながら頷くのだった。

「お願いしますね。

 そう言えば黄銅はどうでしたか?」

「はい、売れました。

 加工のしやすさが珍しいようでした。

 もちろん配合は教えていません。

 レバント殿の所で注文してくれるとの事でした。」

「輸出量は?」

「まずは試したいとの事で50kgです。」

「私は100kg買っていますけど・・・良し!500kg追加しますかね。」

武雄が考えながら言う。

「なぜに対抗しようとします?

 そんなに買って、キタミザト殿と付き合いのある工房は大丈夫ですか?」

「ええ、ここに来る前に話をしてきましたけど。

 家具にも取り付けるような事を言っていましたよ。」

「ドアノブだけじゃなかったんですか。」

「宿用の家具に取り付けるみたいですが、自主的にするのですから私は製品を待っています。

 そこで結果が出せればぼちぼちと依頼数が増えると見込んでいます。」

「ふむ・・・黄銅の増産計画を考えます。」

デナムが考えながら言う。

「ちなみに王都ではまだ売り込みはしていないのですよね?」

「はい、まだですね。

 とりあえずキタミザト殿の所がどのように展開させるのかを見極めてからですね。」

「王都で本格的に売られる前に何か売り込んでみますか・・・小箱に意匠を施すとか?

 ひっそりと卸して王都の方々の評価を見てみましょうかね。」

「いや、大々的に売っていただかないと困るのですけど。」

「まだ様子見段階ですからね。

 当分の間は細々としておきましょう。

 使えと押し売りをしても長続きはしませんし、何よりも大衆受けの意匠というのがあるかもしれませんしね。

 そこの調査をしてからでないと本格的に売り込みは出来ないと思うのですよね。」

「用意周到ですね。

 やはりキタミザト様の所が一番の大口になるかもしれません。」

デナムが言う。

「私達が一番使うかはわかりませんが、王都の方々が黄銅の加工品を買い始めれば、自ずと他の地方領でも買い始め、加工を始めると思います。

 そうなると地方の方々が王都に卸し始めるはずですから、意匠の勝負になると思っています・・・その結果、下調べをしっかりとしていた者が残ると思いますね。

 その為の調査ですよ。」

武雄が言う。

「ちなみにキタミザト殿は王都の雑貨屋にお知り合いが居るのですか?」

ラングフォードが聞いてくる。

「居ませんね。

 なので・・・私と協力関係にある仕立て屋の提携先の王都の仕立て屋に置かせて貰おうかと思います。」

「「ん?」」

デナムとラングフォードが首を傾げる。

「え?・・・特段おかしな話はしているつもりはありませんよ?

 だって、そもそも量を作る気はなく、王都で売れそうな意匠の調査が目的です。

 さらに黄銅の特性は金銀の代わりになる見栄えが良い金属という触れ込みです。

 となると、黄銅の加工品を施した小物入れも金銀を施した物よりかは安く、でも普通に売っている小物入れよりかはちょっと高く売り出す事が可能です。

 となると、一番の客層は金銀の高い小物入れは買えないけど、室内に見栄えの良い物を置きたいと考えている・・・そんなちょっとした富裕層が良いでしょう。

 そういった人達は洋服にそれなりにお金をかける。

 特にエルヴィス領に居を構えている仕立て屋は、今冬、王都の仕立て屋数軒に冬物を送り込みます。

 その際にカウンターの所に手の届く価格の見栄えの良い小物入れを見つければ目新しさから手に取ってくれる可能性が高いですからね。

 そこでアンケートを取ってどんな意匠が好まれるのかの聞き取り調査が出来るという訳です。

 ちなみに街中の雑貨屋に卸すのは良いですけど、狙う客層が違うので今の段階では卸せません。

 ゆくゆくは卸すとは思いますけどね。」

武雄が言う。

「・・・キタミザト殿、キタミザト殿の予想ではどういう流れになると思いますか?」

ラングフォードが聞いてくる。

「そうですね・・・まず、私達が王都の仕立て屋に入れて様子を見る。

 で、最初の頃は私達の所で作った物を入れているが、売れ行きが良くなると意匠を自分達でした方が儲かるのではないかと考える、そうすると私達の下に意匠に使っている黄銅の問い合わせが来る。

 そして、王都で同様な意匠を作るように各店が動く。

 その動きを見て雑貨屋が動き、王都の工房で作り出し始める。

 そして、王都で売り上げが一段落したら王都以外で売れないか検討をし始める。

 地方に売りに出ると地方の製作工房が同様な事が出来ないかと検討を始める。

 地方でも原材料の購入価格は安く、出来栄えの良い加工品を作り出せば、少し高めに売れるとわかる。

 工房がそれなりの利益が見込めると創作意欲を掻き立てられ更なる意匠を作り出そうとする。

 結果、市場に黄銅の加工品を多く出そうと原材料が売れるという訳です。

 専売局としては願ってもない事が起こる予想をしています。」

「・・・それは良いですね。」

デナムが考えながらうんうんと頷いている。

「なるほど、王都と地方の工房が競い合えば流通を増やせそうですね。」

ラングフォードも頷いている。

「ま、何も始まっていないのであくまで私の想像でしかありませんけどね。

 この通りに行ったら面白いなぁと言うだけです。」

武雄が笑いながら言うのだが、デナム達は「あながち出来そうな話だからなぁ」と思うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] あ…読み直したらこれ、配合持ち帰ってアズパール王国の鍛冶屋にやらせるんですね。失礼しました。(>ステンレス1mm鋼板) 改めて、これから難仕事が回されることになる間接的なキタミザト子爵被害者…
[気になる点] 昨日の前話(2093部分)と今朝の更新(2094部分)を読んだ際にうっかりスルーしてしまったのですが、0.1mmだとアルミ箔とかその辺の厚さになってしまいますよ。 シンク用途だと1mm…
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