第2076話 さて、食事を取りながら報告を受けましょう。(異種族間戦闘訓練実施素案。)
魔王国の酒場にて。
武雄達は夕食を取りながら話をしていた。
「へぇ・・・結構、自由に作っているんですね。」
「ええ、アズパール王国の剣は多少は個々に長さや太さ、幅等に違いはありますが、大別すればほぼ同一仕様で出来ています。
ですが、この国ではナイフや剣の形がクネクネ曲がった物や剣先が3つあったりと用途が限定的な物が見受けられました。」
アンダーセンが言ってくる。
「・・・使用用途が限られるという事は特定の条件下では平均的な剣よりも威力が発揮されるという事ですよね。
冒険者が多いのか、軍務でそういった特殊な武器が必要なほど特定種族の対応を長期間しているのか・・・」
「・・・後者だという事なのかもしれません。
私達よりも相手をする魔物が特殊なのかもしれません。」
「・・・戦闘経験が豊富という事ですか、戦争も強い訳ですね。
ま、だからと言って同様に魔物と常に戦うという状況に置けば戦争で勝てるようになるという物ではないでしょうけどね。
効果は限定的でしょうかね。」
「戦争のというよりも戦いについて臆する事はなくなるとは思いますが・・・あとは部隊全体での動きが良くなると思いますね。
役割がわかるというか小隊内での動き方がわかるようになるでしょう。」
アンダーセンが言ってくる。
「私達の居る所の周囲はコラ達が管理しているから出来ないでしょうね。
やったとしても町よりも外側でしか出来ないですから少々遠出になりますよ。」
「ん~・・・あまり頻繁には出来なそうですね。」
「サスケ達にお願いして対魔物(狼)数体との戦い方の訓練しますか?」
武雄が物騒な事を提案してくる。
「ん~・・・私達なら良い訓練になるかもしれませんけど、まだ新人達がその域に達していません。
なので、やるにしてももう少し時間は必要ですね。」
「そうですか・・・ミア、サスケとハンゾウに協力をお願い出来ますかね?」
「出来ますよ~。
サスケ達も毎回、オークやゴブリンだと飽きるかもしれませんからね。
たまには人間と戦うのも良いでしょうね。」
ミアが言ってくる。
「どのくらい居ましたっけ?」
武雄が聞く。
「サスケの所が30体、ハンゾウの所が18体です。
全員参加ですか?
なら、鷲のフウガは16体とコラ達も参加させたいです。」
「そうですね・・・それも良いかなぁ?
たまには皆で訓練も良いかもしれないですね。」
「帰ったら言っておきますね。」
ミアと武雄が考え始めるが。
「いやいやいや!待ってください!」
アンダーセンが止めにかかる。
「「うん?」」
武雄とミアがアンダーセンを見る。
「私達を殺す気ですか?」
アンダーセンが唾を飛ばしながら言ってくる。
「・・・嫌だなぁ、そんな訳あるわけないですよ。
ね、ミア?」
「はい、皆で楽しく運動するんですよね?」
「全員参加とはなんですか!?」
「え?・・・だって、仲間外れは可哀想でしょう?
こっちは・・・11人居るし、何とかなるでしょう?」
「狼だけでも1人当たり3体か4体を相手しなくてはいけなくて、ラジコチカは・・・何体でしたか?」
「コラを含めて11体ですよ。」
アンダーセンの問いかけにミアが答える。
「ラジコチカが11体で鷲が16体ですよ!?
こっち11名なんですよ?対応出来ません!」
「・・・一家毎に戦わせますかね?」
「あ~、主、それも面白いですね。」
「いや・・・何で種族対抗戦になっているんですか?」
アンダーセンが言ってくる。
「種族対抗戦をしてからコラ達は均等に分けて試験小隊と戦わせますかね。」
「あ~、なるほど、そうすればコラ達の戦闘方法の幅を確認出来ますね。
主、それ良いかもしれませんね。」
武雄とミアはアンダーセンの抗議を気にもしないで話をしている。
「いや!だから!なんで私達が毎試合なんですか?」
「それは・・・訓練ですから。」
「頑張ってくださいねー。」
「うぅ・・・」
無慈悲な上司からの言葉にアンダーセンがガックリとする。
ちなみに今の話を聞いていた試験小隊の面々はテンションだだ下がりしている。
「ま、帰ってから詳細は詰めましょうか。
皆さんも覚悟しておくようにね。」
「「「はぁぁぁぁい。」」」
試験小隊の面々が声を絞り出しながら返事をするのだった。
「いや~、第二研究所の訓練は過激だなぁ。」
ラックが武雄達を見ながら楽しそうにワインを飲んでいる。
「そうねぇ、あなた、王都守備隊の訓練も厳しいんでしょう?」
「まぁ、厳しいわな。
だが、あれよりかはマシだ。」
ラングフォードの問いかけにラックがグラスを持っていない方の手で武雄達を指さして言う。
「そうなの?」
「そもそも異種族との戦闘訓練なんてしないからなぁ。
隊員同士での模擬戦や集団戦の訓練ばかりだよ。
キタミザト殿は住んでいるのが最前線というのもあるし、アンダーセンが自ら魔王国の兵士が戦闘経験豊富というのが羨ましいという報告を受けて、底上げの意味でやるんだろうな。」
「こんな所に異動したいってあなた大丈夫?」
「なーに、俺が来る頃には戦闘訓練も要領が良くなってもっと簡単になっているはずだ。
何事もそうだが、初回が辛いというのは変わらないだろうからな。
アンダーセン達が一番苦労をする事になるんだろう。」
ラックが言うのだった。
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