第2075話 その頃のいつもの面々は。3(取引先が広がっているようです。)
「「「わからん!」」」
新種のソースを探せのコーナーは回答者全員が正解を導けずに終わった。
「その品物は少ない数しか納入されなくて、納入日時も決まってなくて、店内の棚に出されたら15分も経たずに完売するって・・・
そんなの一日中その店に入り浸るしかないわ。」
モニカが呆れながら言う。
「さらには店の外観には情報がなく、綺麗処が配膳をしてくれる店。
そんなの候補がありすぎる。」
ベッドフォードも酒を飲みながら言う。
鈴音は「あ~、これはマヨネーズじゃなかろうか・・・確かに研究所の1階の外観は特徴ないかもね。周りの建物と似ている外見しているし、綺麗処はエンマさん達かな?」と思っている。
「これはこの中で見つけたら要報告事項ですね。
美味しいか美味しくないかではなく、流行りそうな物を私達が知らないというのは私としては探す価値があると思います。
もし流行る前に見つければ第2のベッドフォードに成れる可能性があるのですからね。
仲間に引き入れましょう。」
ラルフが頷く。
「・・・」
といつの間にか凄く眉間に皺を寄せながらベッドフォードが考えている。
「ん?ベッドフォードさん、心当たりがあるの?」
モニカが聞いてくる。
「いや!・・・ははは、うちと原材料が被らないか心配だ。」
「あ~、それは確かにね。
でも、ベッドフォードさんの所はエルヴィス家が付いているし、大丈夫じゃない?」
「そうであって欲しい物だ。」
ベッドフォードがそう言うと、顔を何気に横に向けると席の離れている鈴音と目線が合う。
鈴音はさっきからマヨネーズの生産拠点に選ばれたであろうベッドフォードを見ていたのだが、話の途中で何か気が付いたのか、ベッドフォードが軽く下を向いて深く考え込んでいたのだ。
鈴音の予想としては「話題がもしかしたらマヨネーズであるのでは?」とベッドフォードが気が付いたのではないかと見ている。
だが、声はかけない。
マヨネーズと言う単語も言わない。
そんな時、ふいにベッドフォードがこちらを向いた、そして少し考えてベッドフォードが鈴音に見えるようにまず、右手人差し指で自分の右頬を軽く突き、左手の親指と人差し指で円を作ると右手の人差し指を円の縁をグルグルとなぞる。
多分、あれはマヨネーズの混ぜている工程なのかな?と思うと同時に要は、「うちで作るマヨネーズの話なのか?」と聞いてきていると解釈できた。
なので、ゆっくりと頷く。
すると、ベッドフォードが自分を指さしてから、横を指さすので「俺が皆に話した方が良いのか?」と解釈したので、首を振る。
と、ベッドフォードが頷いてから皆の話を聞き役の方に回るようと話に入っていくのだった。
・・
・
結局、新種のソースについては見つけたら報告しようという事で終わって、今はまた各々で話をしている。
「そうそう、ローさん、最近、見かけないワインが出回っているんだけど、あれは何です?」
「ほほほ、モニカ、どれを言っているのかわかりませんよ。」
ローがモニカに言う。
「うちの取引先からローさんの所で買って美味しかったからあげると持って来てくれたんですけど、銘柄のラベルがこの地方っぽくないんですよ。
全部を飲んだわけではないですけど、なんて言うか・・・エルヴィス伯爵領やゴドウィン伯爵領のワイナリーとは違う銘柄の書き方のような気がするんですよ。
ララオル・・なんちゃらです。
お返ししたいんですけど、どのくらいのかわからなくて。」
モニカが言ってくる。
「ほほほ、それは王都から仕入れたやつでしょうね。」
「王都から?
でも、前は無かったですよね。」
「ほほほ、レイラお嬢様の旦那様のウィリアム殿下が定期的にうちから少々買って頂いておりましてね。
値段もそこそこで美味しい物をご紹介して頂いて、少量ですけど納入して貰える運びになったんですよ。」
「レイラお嬢様の旦那様が?
殿下が紹介するなら値段は張りそうだけど・・・うちに持ってきたわ。
いくらしたんだろう。」
「王都から仕入れているのは銀貨1枚で販売していますよ。」
「高いなぁ・・・よし、今度お返し持って行こうっと。
ローさん、珍しい物は残っています?」
「お返しなら同金額の方が良いでしょうかね。
ん~・・・数本残っていたと思いますが、銀貨1枚で2本でも良いんじゃないですか?ほほほ。」
「そうかぁ・・・そういう手もあるかぁ・・・
どうしようかなぁ・・・んー・・・今度行きます。」
モニカが考えながら言う。
「待ってますよ。
そうだ、ベッドフォード、4町向けのウスターソースなんですけどね。」
「明後日には出来る予定だ。
文官の方から朝一でローの爺さんの店前に持って来てくれって言われているからな。
遅れることなく届けるよ。」
「ほほほ、待っていますよ。」
ローが頷く。
各々がこの場での報告やちょっとした相談をしながら親睦を深めるのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




