第2072話 一旦、宿に戻って休憩だ。(色々と知ってしまったね。)
武雄達は王城を後にして帰路に就いていた。
「あ~?」
武雄に抱っこされているビエラが武雄に向かって何か聞いてくる。
「主、ビエラが収穫はあったか聞いていますよ。」
ミアがポケットから顔を出して通訳してくる。
「まぁ、個人としては聞きたくない事を聞かされて考えを言いましたが、魔王国の今後の行動がわかっただけでも良しとするべきでしょう。
それにアズパール王国の話はしなくても良かったのかもしれませんが、魔王国にとっても悪い話ではないはずです。
向こうの行動を教えて貰ったので我が国の大まかな所は言った、等価交換に近いのでしょうね。
かといって、それがアズパール王国の益になったかと言えば微妙なんですよね。
なので、現段階では端から見れば、私はちょっと話し過ぎたかもと思われかねませんが・・・だからと言って魔王国がどうこう出来るような話ではないです。
なので、お互いの現状を確認したとして半々ですかね~。」
「あ~??」
「ふむ、確かに。
主、魔王国がアズパール王国が攻めるのと同時にウィリプ連合国に攻撃を仕掛けるのはあり得るんじゃないですか?」
「それはいくら何でもしないでしょうね。」
「そうですか?
デムーロ国なんか奴隷をウィリプ連合国に送っていたという理由だけで侵攻をされちゃうんですよ?」
「戦争をすれば費用が色々かかりますからね。
遠くの場所に戦争に行くなんて本来はするべきじゃないですよ。
それにウィリプ連合国は人間至上主義、1拠点が確保出来たとしても周りは敵だらけ。
常に戦闘をしないといけません。
その為の兵力を送り出すのにどれだけ費用がかかるか、余程の予算が付かない限りは政情不安になりかねないですからね。
なので、表立って何かを仕掛けるというのはしないですよ。
やるとするなら現地での暴動等ですが・・・奴隷の首輪がある時点で効果は薄い・・・ですかね?」
「主、最後が疑問系でしたよ?」
「やったことないので私の想像上では難しいと思うのですが、別のやり方なら上手く行く可能性がありますし、もしかしたら私が考えつかない何か違う事を考えているかもしれません。」
「あ~。」
「そこに期待ですね。」
ビエラとミアが頷く。
「それもそれでアズパール王国としてはどうなのかなぁと思いますけどね。」
武雄が苦笑をしながらビエラを見る。
「タケオ、あ?」
「主、この後はどうするんですか?」
ビエラとミアが武雄を見る。
「さっさと話題が変わりましたね。
そうですね・・・夕食までは私は今日のまとめをしたいので、もう宿に戻ります。
干物かパンか何か小腹に入れる物を買って帰りましょうか。」
「「はーい。」」
ビエラとミアが返事をするのだった。
・・
・
ビエラとミアは二人してソファで丸くなって寝ている。
武雄は窓際に机と椅子を移動させ、ノートに何かを書いては次のページにとどんどん書いていた。
「・・・ふぅ・・・ちょっと一服。」
武雄が窓を少し開けて、キセルに葉を詰めて火を点ける。
「・・・んー・・・一応、箇条書きにしたし、考えた事も書いたよね。
清書は戻ってからで良いとして、一応これで言われた事と言った事は書いたよね。
・・・改めて見ると魔王国の戦力は相変わらず比較にならんなぁ・・・大見得は切ってしまったけど・・・
関の防衛は敵が正面に繋がる小道を作る事で、戦闘時の数的有利が作り出せるとして・・・
まさかこんな所で城の城郭を参考に関の防衛を考える事になるとはね。
ま、城も関も基本は一緒なんだろうけど。
それよりも制空権かぁ・・・あの口ぶりからだとワイバーンの攻撃方法は空中の騎兵という使い方でしょうかね・・・まぁ間違いではないんですけど・・・勿体ない。
某国のジャングルでの戦争を考慮すれば、制空権がある中での最大の攻撃方法は小隊単位で敵陣地後方の拠点へピストン輸送し、敵拠点の虚を突くのが理想的な攻撃方法でしょうかね。
・・・アズパール王国にはワイバーン居ないんだよね・・・
撃ち落とすなんて無理だろう・・・それこそ弾丸をばら撒くか、第2次大戦時の某国みたいに砲弾に信管を入れてワイバーンに近付いたら爆発させる?・・・馬鹿らしい、どっちも今は出来ないな。
ワイバーンの脅威が排除できないなぁ・・・」
武雄がそう言って、書いていたノートを閉じて、窓の外を見ながら更にキセルでもう一服し始める。
と扉の鍵が開錠され開く。
「あ、所長、お戻りでしたか。」
アンダーセン達が入ってくる。
するとベイノン達が持っていた物を机の上に置き始める。
「おかえり~。
・・・大荷物ですね。」
「ええ、なんか色々と買ってしまいました。」
「珍しい物がありましたか?」
「ええ、アズパール王国に無いような剣やナイフ、用途が突出した防具とか・・・
安めでそこそこの性能の物を買ってきました。
魔法具は高かったので買いませんでしたけどね。」
「まぁ、防具や剣の研究に使うのでしょう、帰ったら請求書を回してください。」
「はい、了解です。
所長、今日の夕食はどうしますか?」
「どこかで食べましょう。
何を見て来たのかも聞きたいですしね。」
「所長の方はどうでしたか?」
「はぁ・・・昨日と同様に陛下と伯爵にのみ報告が出来そうな事を話してきましたよ。
まったく・・・気楽な旅のはずなのに。」
「はは、お疲れさまでした。」
「本当、疲れました。」
武雄とアンダーセンが苦笑しながら言うのだった。
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