第2070話 義勇兵を募るかな。(奴隷の首輪の性能。)
「まぁ・・・我が国もアズパール王国もウィリプ連合国には思う所があるな。」
ヴァレーリが話を戻してくる。
「そうですね。
我が国としても早々に見通しを立てて準備しないといけないと思っていますが、かといってウィリプ連合国にこちらが戦争の準備をしているとわからせる必要はありませんので、今の所、我が国の王都のみでの作業になっています。」
武雄が頷く。
「そうか・・・ウィリプ連合国には慢心させないといけないという事か・・・
魔王国としては敵国であるアズパール王国に表立っての助力は出来ないんだが・・・4年後ぐらいに何かするか?
第1軍指揮官、どうだ?」
ヴァレーリがフレッディに聞く。
「確かに表立っての派兵は出来ませんが・・・そうですね・・・アズパール王国が認めるのならという前提ではありますが、1個大隊、1000名は義勇兵として参戦は出来るでしょうね。
こちらとしては一時退職扱いになってしまいますが、復職を前提として通達すれば、各軍から参加は見込めます。」
「こっちの参加の名目はどうする?
今回のように気に食わないという理由で退職して他国の戦争に参加されるのは些か軍としての面子が保てないと思うが。」
「それは今回も正式には採用していませんがね。
彼の地に連れ去られた国民の回収をしに行きたいですね。
国民救出作戦と言えばそれなりに皆に支持されるでしょう。
ま、死ぬ事もあるので希望者のみなのは当たり前ですがね。」
フレッディが言ってくる。
「そうだな・・・それに回収しても奴隷の首輪がある。
あれを安全に外せる方法がないといけないのだが・・・その魔法は無いのだよな?」
「過去にはありましたが、現状ではありません。
あれは魔法で拘束している特殊な魔法具ですが、一度我が国で解除する方法を見つけてしまって更新されてからは何とも。
ベッリ男爵にお願いしている解除の研究が上手く行く事を願うばかりです。」
「そうか・・・成果は乏しいな。」
ヴァレーリが頷く。
「奴隷の首輪の研究をしているんですね。」
武雄が聞いてくる。
「あぁ、奴隷の首輪という一種の拷問魔法具の存在は危険だ。
良からぬ物を考える輩は多い、密かに我らの首にされてこの国や領地が乗っ取られる可能性があるからな。
万が一の為に研究はさせておかないといけないと考えての処置だ。
ま、国内に適した能力を持っている領主が居たからさせているというのもあるな。」
「優秀な部下が居るようで。」
「ああ、それにベッリは政にあまり興味が無い。
その気になれば我のこの地位も引き継げるんだがなぁ・・・嫌々領主という所で落ち着いている。」
「嫌々ですか。」
「あぁ、ベッリは元は人間からのエルダーリッチだ。
成った原因は戦争だったかな?
昔の自分を見るようで国家間戦争は好きでない、で、魔法の研究を好んでしていたのだが、リッチ達の統率が上手くてな。
まぁ、やつに言わせれば大きな研究室みたいなものだ。
もちろん非道な事は許可をしていないが、仲間達と毎日楽しそうに研究をしているよ。
たまに良い結果が出ると我の所に直接報告にくるな。
ま、ダメならダメで何とかすれば良いだけだがな。
生活は出来るんだ、今直ぐ解除しなくてはいけない訳でもあるまい。」
「奴隷の首輪の効力は?」
「1つ、飼い主からの制約、奴隷契約時の順守条項だな。
2つ、生殖活動の停止が上げられる。」
ヴァレーリが指を立てながら言う。
「生殖活動の停止・・・つまりは?」
「毎日しても子が出来ない。
月の物や男からの種は出ているが・・・子が出来ん。
魔法的に子が出来ないようになっているみたいだ。
買い手としては、まぁ・・・玩具に出しても子は出来んだろう?
その感覚で好きにまぐわっているんだろうよ。」
ヴァレーリが目を細めながらぶっきらぼうに言ってくる。
「・・・キタミザト家に獣人と何かしらのハーフの子供が2名居ますけど?
彼女達ウィリプ連合国のスラム街出身なのです・・・これって・・・」
武雄が考えながら言う。
「自由恋愛かどうかで見方が変わるんだが・・・ま、ウィリプ連合国で奴隷の自由恋愛はないだろう。
それに奴隷同士なら妊娠するはずがないからな。
癪に障る言い方だが・・・異種族交配を楽しんだんじゃないか?
キタミザト殿、子供の外見はどうだ?」
「外見だけなら人間と犬耳と尻尾がある獣人です。
2人とも獣人の血が入っていると思っています。
まぁ子供達は親を知らずに育っているので、犬耳と尻尾がある子がハーフかはわかりませんが。」
「ふむ・・・異種族交配はほとんどの場合、母体に影響されるはず・・・人間の姿か・・・
いや、ファロンのように常に人間の形態が取れる者としたという事か。
・・・根深いな。」
「陛下、どうされますか?」
幹部が声をかけてくる。
「どうもこうも・・・まずは目先のデムーロ国に完勝しなくてはな。
その後は新たな国王が決める事だが・・・お前達が上手く指導と補助をすれば良いだけだ。
まずはキタミザト殿が示してくれた計画の有効性を確認し、そこに我らが味付けをしないとな。
もっと良い作戦計画が出来上がる事が望みだ。」
「「はっ!」」
「さて・・・あまりキタミザト殿を留めていても悪いな。
第1軍指揮官補佐、カールラとキタミザト殿達を執務室に通しておいてくれ。
我はちょっとここで話をしていく。」
「畏まりました。
カールラ様、キタミザト殿、ビエラ殿、お戻り願います。」
「わかりました。
あ、コショウの件でお聞きしたい事があるのですけど。」
「わかりました。
その件は私が承ります。」
アンナローロが武雄達と席を立って退出して行くのだった。
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