第2069話 勝利の方法と防衛の概念。(商売上は付き合いましょう。)
「商売はして良いと解釈をして現在に至っていますが?
決して!遊びに来ていませんよ。」
武雄が笑いながら抗議してくる。
「そういう事にしておいてやろう。
とはいえ、先の話に戻るとウィリプ連合国が12000名、アズパール王国が10000名弱。
だが、開戦時を考えるとアズパール王国が5000名だろ?
大丈夫なのか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「ん~・・・一応、研究所の所長という立場上、戦争を担う局長達に私の考えを聞かれましたので、先程のような私が考えうる理想の流れは説明しておきました。
実際の行動計画は地方領側と王都側との話合いが持たれてからとなると思います。
その辺りでまた私が呼ばれるかもしれませんね。」
「まぁ・・・キタミザト殿の話ではこれから具体的な話になるという事だしな。
ちなみにキタミザト殿の流れでは勝てるのだな?」
「簡単に言えば、一度負けてから勝ち、逆に侵攻するという手はずです。
それに・・・ウィリプ連合国からすれば裏口からカトランダ帝国が侵攻してくるのです、早々に半数は帰国する動きを見せるはずです。
そうすれば後ろから攻められますからね。
要は持ちこたえられるかという所だと私は思っていますよ。
あとは当事者達が考えるでしょう。」
「長く保たせる事が重要か・・・
だが、そもそもカトランダ帝国は信用に値するのか・・・だな。」
「その為にアズパール王国の陛下が打ち合わせに向かっていますからね。
魔王国はどうやっても負けしか見えない戦争、ウィリプ連合国は努力すれば勝てる戦争ですからね。
何とか話をまとめてくると思います。」
「魔王国には負けしか見えないか・・・キタミザト殿はどう対応するんだ?」
「要は負け方の問題ですよ。
我々は負ける、これは魔王国が本気を出した時点で確定というのは私やエルヴィス伯爵、アズパール王国の陛下は認識しています。
が、だからといって貴国の言いなりになるとかはしませんがね。」
「そうだろうな。
アズパール王国は独立した国家だ、国家としての尊厳もあるだろう。
で?我々に対してはどうするんだ?」
「心理的な所を付くしかないしょうね・・・
まぁ極論から言えば、『我々は勝てる、だが、その為には相当な犠牲者が出る。
勝ち取った領土に対して犠牲者数が割りに合わない』と思わせるだけでも躊躇するものですから。」
「まぁ・・・そうだな。
勝てる戦争で犠牲者が増えるのは施政者や幹部達は嫌がるな。」
「そう思わせる事に注力するべきですね。
そもそもそうならないようにしないといけないですけど・・・特にお互いに何か引けない理由がある訳ではありませんし、無理をしてまで侵攻する理由はないわけですし。」
「確かに王軍としては無理をして欲しがる土地ではないしなぁ。
一応、侵攻される危機感をお互いに持っているから・・・その程度の関係が良いんだろうな。」
「ええ、友好国になろうとか不戦協定締結とかは必要ありませんが、お互いに領土を欲しがらないというのが大事だと思います。」
「そうだな。
今回のような我が国に害がある事になれば別だが、それ以外なら現状の関係が良いんだろうな。」
「今後ともご贔屓に。」
「我は贔屓にさせて貰うがな!
まぁ・・・今後は誰かしら繋ぎを付けてくれるだろう。」
「あ、全く関係ありませんが、今回ダニエラさんとカールラさん宛にウスターソースが納入されていますよ。」
「「なに!?」」
ヴァレーリとブリアーニが反応する。
「レバントさんにお問い合わせくださいね。
ついでに、ダニエラさんはここの面子に食べさせてくださいね。」
「しょーがないなー、キタミザト殿に言われれば食べさせない訳にはいかないなぁ。
ふふふ・・・お前達、キタミザト殿を大切にするんだぞ?」
ヴァレーリが部下達を見るが、部下達は一部を除き首を傾げている。
「ダニエラ様、話がかなりどっかに向かって飛びましたよ。」
アンナローロが言ってくる。
「おぉ、そうだっだな。
アンナローロは食べたんだったな、どうだった?」
ヴァレーリが諫言にも気にせずに話を続ける。
「はぁ・・・ 確かにウスターソースは第1軍指揮官殿より少々頂きました。
大変に美味しく、各種族でも分け隔てなく食べられる素晴らしいソースです。
・・・ちなみにレバント殿には私が対応させて貰います。
明日には皆さまの食事に出させて貰います。」
アンナローロが小さく頷きながら答える。
「え・・・我がレバントおば様の所に行きたいんだが・・・」
「ダニエラ様が行ったら夕食に間に合いません。」
「ちゃんと戻るわ!」
「真っ直ぐ?
どこかに寄ってきません?」
「・・・ま・・・まっすぐ帰るよ?」
アンナローロにヴァレーリが目線を泳がせながら言う。
「・・・我とカールラとアンナローロで行こうな。」
「そうですね、それが良いでしょうね。
ついでに警護のメイドを連れて行きましょうね。」
「・・・はぁ、そうだな・・・」
「ダニエラ、明日はレバントさんの所のみの外出確定ね。」
ブリアーニが呆れながら言うのだった。
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