第2063話 序盤の想定と関での交戦について。(あーぁ・・・これは圧倒的ですね。)
「さて、ここまで聞いて、カールラ、キタミザト殿、何かあるかな?」
ヴァレーリが武雄に振り向きながら聞いてくる。
「えーっと・・・
つまりはブリアーニ王国にあるデムーロ国との関を王軍で攻めて順次町を制圧し、首都を目指すという事ですね?」
武雄がメモを見返しながら言う。
「ああ、そうなるな。
日数としては5日となっている。
疑問点は?」
「そうですね・・・もう1つの関を使わない手はなんでですか?
そちらの方が魔王国内の移動のみでブリアーニ王国に集結し、迷惑はかけないと思うのですが。」
武雄が言う。
「そこは私から。
ブリアーニ王国の東にあるボナ子爵領は山岳地帯になります。
王軍が集結するのは容易くともブリアーニ王国側と比べると移動が困難と言えます。
また、デムーロ国の首都までの距離がブリアーニ王国側の方が近い所も選定した理由になります。
今回は最小日数で戦争を終結させるとの目的の為、ブリアーニ王国に助力をお願いしております。」
フレッディではない幹部と思われる者が発言する。
「うむ。
他にはあるか?」
「魔王国軍と敵の軍勢の配置がわかりません。
魔王国軍は5軍で・・・22000と説明にありましたが、関には何名、町や首都の常駐兵士数がわかりません。」
「はい、まずは我が軍の配置を説明します。
第1、第2、第4、第5軍の各3大隊合わせて約12000名が攻撃を担当、第3軍の第1、第2大隊を各軍のすぐ後ろに配置し、橋や設営地の設営をします。
第3軍の第3大隊と各軍の支援隊計4000名がその後ろに続き、各種兵站管理や設営地の管理、占領地の処理を実施します。
デムーロ国ですが、常駐兵士は総計は5200名ですが、戦争時には6000名になると考えております。
こちらの想定では、首都に2000名、2か所の関に1000名、領土内での迎撃として各所に計3000です。」
幹部が説明する。
「・・・ふむ。
首都に2000と迎撃に出て来る者達が3000か。
数では圧倒していてもどうなる事やら・・・」
ヴァレーリが言う。
「・・・もっと数を減らすには開戦と同時に関へドラゴンが奇襲する際に多くの兵士を関に居させる必要がありますね。
そうすればもう少しは数を減らせるでしょうけど。」
武雄がメモを見ながら言う。
「ふむ・・・キタミザト殿はどうやる?」
「出来る出来ないはなしですよね?」
「あぁ、キタミザト殿の妄想で構わん。」
武雄の質問にヴァレーリが頷く。
「そうですね・・・わたしなら・・・開戦2週間前の段階で関の所にこれ見よがしに4000名の陣地を構築します。
もちろん、こっちからもあちらからも攻撃は届かない事が条件です。」
「ふむ・・・姿を見せるのか?」
「はい、確か、戦の作法で1か月前に宣戦布告をするのですよね?」
「あぁ、するな。」
「早々に展開し、こちらが4000名で今回の戦争を始めると思わせれば、関の者達は首都に伺いを立てるはずです。
1000名では足りないのであと3000名は欲しいと。」
「ふむ、キタミザト殿としてはデムーロ国の迎撃に回る者を呼び込むというのだな?」
「ええ、そこでデムーロ国がどう取るか。
魔王国側の関の半分をまわすのか、迎撃に回る者を向けるのか、首都の者を向けるのか。
定かではありませんが、少なくとも増員はさせるでしょう。
ちなみに・・・ドラゴンのブレスを15体集中的に叩き込んで生き残れる者の数はどのくらいですか?」
武雄がその場の者達を見ると。
「「「・・・」」」
皆が一様に首を振っている。
「まぁ・・・軽く言って爆発四散して更地になるだけだ。
なので、関での戦闘は日数にすら入っていない。」
「そうですか・・・魔王国を本気で怒らせたデムーロ国にはご愁傷様としか言えませんね。」
「そうだな。
アズパール王国も我らの怒りに触れるような事はして欲しくないな。」
「うちの陛下には報告書はあげていますよ。
現状を維持する方向で進んでいますから、末永く見守ってください。」
「我らも無理にアズパール王国の領土は欲しくはないし、互いに少々の利益がある関係と兵士の鬱憤晴らしの出来る環境を維持してくれれば問題はない。」
ヴァレーリが頷く。
「はぁ・・・こっちからすれば慣例の戦争も命がけです。
お互いに過度の刺激を求めるのは控えましょう。」
「そうありたい物だな。
で、関に集めるというのはわかった。
これは一案として我らも検討の価値はあるな。
他にはあるか?」
武雄の提案に頷きながら聞いてくる。
「・・・戦争というのは、味方の損害を少なくし、同時に相手に痛手を被らせるか・・・に終始思いを巡らせるものです。
関の事は良いとして・・・あ、大きい川とかはありますか?」
「んー・・・我も実際は行った事ないが・・・あるか?」
「はい、大きい川というのは、どのくらいを望まれるかわかりませんが、15m以上の川と定義するのでしたらデムーロ国の首都は海にも面していますが、横に通っています。
あと、侵攻経路上にも10m程度の川が2つ程あります。
水量はかなりの量で見た感じでは水深はそこそこある物と考えます。」
幹部が説明する。
「へぇ・・・2つかぁ。」
「ん?何を考え付いた?」
ヴァレーリが面白そうに武雄に聞くのだった。
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