第2062話 さて、まずは聞いて欲しい。(デムーロ国侵攻作戦。)
武雄達はヴァレーリに連れられてとある部屋の扉の前に来ていた。
「あ~・・・本当なら明日、キタミザト殿を呼ぼうと思っていたんだが・・・カールラが来ちゃったからな。
予定は繰り上げる事にした。」
ヴァレーリが武雄に言う。
「呼ぶ気だったんですね。
で?カールラさんは知っていたので?」
「んーん、知らないわ。
ダニエラ、何やるの?」
「なーに意見を言って欲しいだけだ。
非公式だし、責任も負わせん、どんな事を言っても我が許す。
思いつくままに意見を言って欲しいという所だな。
まぁ、気楽に中に居る者達に意見を言ってくれ。
じゃ、入ろう。」
ヴァレーリがそう言って室内に入る。
「総員!起立!礼!」
誰かが号令を発し、室内にいた全員が直立不動で胸に手を当てて出迎える。
「あー、構わん、構わん。
皆、作業を継続してくれ。」
ヴァレーリがそう言いながら室内の中央に置かれた大きな机に近付いていく。
武雄達も付いて行く正確にはブリアーニが武雄の手を引いている。
単独逃亡は許されないらしい。
「さて・・・第1軍指揮官は戻っているな。
簡易想定を聞こう。
あ、カールラ、キタミザト殿、これはデムーロ国侵攻計画だ。」
ヴァレーリが良い笑顔で言ってくる。
「・・・」
「痛い、痛い・・・逃げないですから、逃げないですから・・・・」
武雄がブリアーニの握力に我慢できなくなっていた。
「あ・・・すみません。」
ブリアーニが武雄の手を放す。
「あ~・・・
で・・・陛下付けて呼んだ方が良いですか?」
武雄が手を揉みながらヴァレーリに聞く。
「・・・公式上、キタミザト子爵はここには居ない。
なので、ダニエラで結構だし、カールラはカールラで良い。」
「良いのですか?」
「良いも悪いも・・・我とカールラの友人であるキタミザト殿が王城に遊びに来ただけだし。
我々は王城内を見学に来てはいるが、この会議室には入っていない。
皆も良いな!この場には我も女王もアズパール王国の子爵も居ない!」
「「「「はっ!了解しました!」」」」
皆が返事をする。
「皆が居ないと言っているのだ、気にする事はあるまいよ。」
「無理があるけど・・・まぁ、何とかなるか・・・」
ヴァレーリの言葉にブリアーニが疲れた顔をさせながら言う。
「なので、皆への挨拶は不要だし、皆も挨拶はする必要はない。
さて、キタミザト殿とカールラに来て貰ったのは、侵攻作戦の概要を聞いて、どう思うかの感想を言って欲しい。
それが良いか悪いかではなくな。
いろんな想定を我々は欲しているんだ。」
ヴァレーリが武雄とブリアーニに言う。
「まぁ・・・この地図を見てくれ。
あ、指示棒はこれだな。
この線は国境だな。
各領地の領境は記載がないが、西側の北がファロン領、南がパーニ領、その南に蟲達の森とブリアーニ王国、ブリアーニ王国の東に森を挟んでボナ領がある。
その下にあるのが、デムーロ国だ。
見た目的には三角州になっている。
デムーロ国は関が2つあり、1つはブリアーニ王国、もう1つはボナ領だな。
さて、この地図の配置はわかったかな?
では、ここからは今の段階で決まっている侵攻計画を説明して貰おうか。
えーっと・・・そうだな、第1軍指揮官は説明を、第1軍指揮官補佐はキタミザト殿とカールラの補助をしろ。」
「「はっ!」」
フレッディとアンナローロが返事をする。
とアンナローロが直ぐに武雄の下にやってくる。
「キタミザト殿、ブリアーニ女王陛下、何か入り用の物はありますか?」
「え・・・なら、メモを取りたいので、紙と書く為の薄板があれば嬉しいのですけど。」
「あ、私もペンと紙を。」
「はい、すぐにご用意いたします。」
アンナローロが室内にある物でさっさと用立てるとすぐに2人に渡す。
「・・・では、始めましょう。
まず、我が王軍の22000名はブリアーニ王国に集結し、宣戦布告の期日を待ちます。
侵攻経路はブリアーニ王国の関を利用し、開戦。
開戦と同時に陛下がドラゴンロードとの約束を取り付けた・・・」
フレッディが指示棒で指しながら侵攻計画を話し始めるのだった。
・・
・
「首都の城門を破るのに半日を想定しております。
そして第1軍と第4軍が首都になだれ込み各庁舎を占拠とデムーロ国王を討ち取るとなります。
日程は開戦から6日でデムーロの首都を陥落させます。
首都進攻前に1日兵を休める事としておりますので、戦闘日数は5日間となる予定です。
その後、各町や村に各軍を向かわさせ、降伏を勧告し、抵抗するようなら排除、恭順を示すならば暫定的に地域代表として住民をまとめさせます。
以上です。」
フレッディが言う。
「ふむ・・・我の活躍は最後の所だろうな。」
ヴァレーリが考えながら言ってくる。
「はい、首都での兵士同士の戦闘は我らで対応出来ますが、国王や強者は陛下が倒された方が早いですし、そもそもそうした方が被害が少なくて済みます。
それに我々は各庁舎を占拠しなくてはいけませんので、余計な戦闘はそもそも出来ません。」
フレッディが答える。
「なんだか、その言い分だと我が建物を占拠する際は邪魔なように聞こえるが・・・。」
「気のせいです。」
「・・・そうだな、我が居ても役に立たないのは我もわかるが・・・もっと違う言い方をして欲しかったな。」
ヴァレーリが諦めながら言うのだった。
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