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第2061話 ブリアーニ王国の成り立ち。(ヴィクターからの説明とちょっと違う。)

ヴァレーリ達が特定第2倉庫から出て次の目的地を目指していた。

「なかなかないもんだな。」

「結局、キタミザト殿の小さめの古地図のみだったわね。」

先導をするヴァレーリの後ろにいるブリアーニが言ってくる。

「ありがとうございます。

 子供達にはこの街で珍しい刺繍の入った布とかを買って行ってあげようと思います。」

武雄が軽く頭を下げる。

「あの倉庫にある時点で無用な物ばかりだ。

 それに600年と400年前の古地図のみだからな。

 今の国家に何の影響もないだろう。」

「あのあと400年程度前の古地図が出て来て見比べたら、400年前には今の国土と同じ範囲になっているのですね。」

武雄が言う。

「魔王国は約550年前に建国したからね。

 アズパール王国は600年前だったかな?

 いきなり国名を帝国から王国に変えて『何か意味があるのかな?』程度にしか思ってなかったですね。」

「550年前から500年前にかけては負け戦だったらしいな。

 就任してから勉強したが、今役に立った。」

「まぁ・・・建国はしてもまだまだ王軍という組織は弱かったしね~。

 4つの種族国家が崩壊して混乱の中での建国とその後はアズパール王国からの侵攻速度の緩和が目的だったしね。」

「あぁ、資料を見ると今の国境線にする為に戦っていたようだな。

 どう負けるかの戦争とは悲しい物だな。」

「致し方ないわよ。

 主戦力は建国前の段階でなくなっていたし、現有戦力という点では押し返す力はなかったわ。

 よくあの位置で止められた物よ。

 あの位置が今の領主達の祖先の国家の境だったからね。

 あれより攻められていたら今でもその地域を取ったり取られたりしていたんだろうね。」

「そうだな・・・まぁ今でも領土を取り返すと言っている輩は居るには居るが・・・

 500年前の事を言ってもなぁ・・・今の領主達も我ら王軍も基本的にアズパール王国の領地を欲しがってはいないし、占領しても政策が大変だろうし・・・良い事はなさそうだ。

 それに・・・厳密に言えば、魔王国建国から(・・・・・・・)領地が少なくなって(・・・・・・・・)いない(・・・)んだよな。」

「そこよね。

 ある意味、歴代魔王国王が本気にならない理由よね。」

ブリアーニとヴァレーリが話している。

「主~、どういうことですか?」

ミアが武雄の肩に乗って説明を求めてくる。

「・・・はぁ・・・

 アズパール王国に吸収された土地は個別に国家としてアズパール王国と戦い敗戦したが、魔王国建国に同意した各種族の国家の土地は奪われなかったという事。

 つまりは戦いはしたが、戦場はあくまでその敗戦した国家の領土で行われていたという事ですね。

 そして敗戦した国家の代表は魔王国には参加していない。

 なので、今のエルヴィス伯爵領やゴドウィン伯爵領が魔王国に帰属していたという事実はないということですね。」

「正確には・・・国家を無くした者を(・・・・・・・・・)国家の代表として(・・・・・・・・)招き入れなかった(・・・・・・・・)というのが本当の所だろう。

 それとコラットル王国を解体し、ブリアーニ王国の建国にも繋がると。」

「まぁ・・・ね。

 当時は私達も苦渋の選択だったのは認めるけど、致し方ない事だったとは思っているわよ。

 私達はその事でアズパール王国を恨んでも居ないし、結果として今も生き残っているしね。」

「多少は被害が出たようだが、今にして思えば、ある意味英断だったんだろうな。」

「私はそう思っているし、国民皆にそう教えている。

 だから、私達はアズパール王国を恨んではいないの。」

「そうだな・・・」

ブリアーニとヴァレーリが話している。

「えーっと・・・攻め込んでいたのがアズパール王国というのはわかるんですけど、そこにコラットル王国解体とブリアーニ王国建国に繋がるという事は・・・アズパール王国はコラットル王国を攻めたのですよね?」

武雄が考えながら言う。

「アズパール王国側から見たら今の位置まで攻めて来た事に変わりはないし、コラットル王国の領土を奪ったと見ているんだろうけどなぁ・・・実はちょっと違う。

 カールラ。」

「キタミザト殿、コラットル王国は今のブリアーニ王国、魔王国パーニ伯爵領とアズパール王国ゴドウィン伯爵領の一部を束ねる国家だったの。

 で、当時のコラットル王国は戦争を出来るだけ回避する道を選び、人間が領土に侵攻する(・・・・・・・・・・)前に国家を解体する(・・・・・・・・・)事を選んだのよ。

 そして魔王国の初代国王になる人物に『建国する際にコラットル王国の北側半分を魔王国に提供する代わりに東側に小さな領地で構わないからエルフの領主を置いて欲しい』と領地替えをお願いしたの。

 当時、西側は人間種に蹂躙されかねなかったからね。

 同胞をいくばくかでも東側に逃がして種の保存を計ったのよ。」

「それが魔王国のブリーニ伯爵領の起源だな。」

「あの~・・・私、ヴィクターから魔王国に組み込まれるのを嫌った分家が西南に国を興した。

 その際にコラットル王国の元住民を取り込んだと聞いたのですけど。」

武雄が言ってくる。

「ある意味正解ですよ。

 コラットル王国の王家は魔王国の東側に移住したんです。

 そして魔王国からの依頼を受け、今のアズパール王国テンプル伯爵領から森に入ってくる者達を迎撃する任務を遂行する為に国家を起したのがブリアーニ王国ですから。」

「野原や草原等での大規模戦闘は魔王国が受け持ち、森を抜けてくる者達をブリアーニ王国が受け持ったんだよ。

 そして予想に反してアズパール王国は侵攻を停止し、今に至るという訳だ。」

ヴァレーリとブリアーニのブリアーニ王国建国秘話が語られるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 昔からエルフの皆さん、フットワーク軽いんですね~・・・・・。 明らかに襲われたり、災害に遭うとわかっているとしても、その土地に住み続けることに拘るどころか、逃げ出すのを非難する人も居るのに…
[一言] へー、そんなことがあったのか
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