第2058話 食後の散歩をしよう。(紋様入りはダメですよ。)
ヴァレーリの執務室。
「ああー、満足だ。」
ヴァレーリが執務室のソファに座ってマッタリとする。
「美味しかったぁ。」
ブリアーニも満足そうにソファに座って頷いている。
「あ~♪」
「美味しかったですねー。」
ビエラとミアも満足そうにソファに座っている。
「お茶を飲んだら私は戻りましょうかね。」
武雄がお茶を淹れながら言う。
「ん~・・・まだ時間があるなら王城内を案内するぞ?」
「王城内を?」
「うん、宝物庫はダメだがな。
珍しい場所に連れて行けるぞ。」
「例えば?」
「そうだなぁ・・・軍指揮官の執務室や会議室とかだな。」
「執務室の方は見てはいけない物がありそうなので行きたくありませんね。」
「そっか~、意外と面白い物があるんだぞ?」
「そうなんですかね?」
「後は謁見用の大広間とか良いぞ。
我が言うのもなんだか荘厳だぞ。
あれは一見の価値はあるだろう。」
「へぇ~、それは見たいですね。」
武雄が頷く。
「よーし、カールラ、ビエラ、食後の散歩に行くか。」
「あの広間に入ると私緊張するんだよね。」
「カールラ、お前何十回も来ているだろう?」
「そうだけど・・・慣れないわ。」
「ん~・・・下手に慣れられても困るか。
まぁ、今は誰も使ってないだろうから緊張もしなくて良いと思うぞ。」
「そうは言ってもねー。」
ブリアーニが微妙な顔をさせる。
「よし!とりあえず、王城内を見て回ろう!
先導は任せてくれ!」
ヴァレーリが立ち上がると。
「あ~?」
「それはどうなんですかね?」
ビエラが立ち上がり肩にミアが乗る。
「いや、ビエラ、『お土産探そー』ってなんだ?
ここには土産になる物は無いと思うんだが?」
ヴァレーリがビエラに聞いてくる。
「あ?あー。」
「ふむ・・・留守番している者達にか。
渡せそうなのは武器ぐらいだが、高価なのは渡せんぞ?」
「あ?・・・あ~。」
ビエラが考えながら言う。
「ん?・・・子供達にか・・・
そうか、子供達か。
4人だったか?」
「あ?」
「8人なの?そんなにいるの?」
ビエラの言葉にヴァレーリが疲れた顔をさせて聞く。
「あ!あ~、ああ。」
「ほぉ、なるほど。
魔王国からキタミザト家に来た子供達が4名で途中で分かれたのが2名、男子2名、女子4名か。
まぁそこはキタミザト殿から聞いているぞ。」
「あ~。」
「・・・ふむ、ウィリプ連合国から獣人系なのに魔法が使える女子が2名か。
ふむ・・・それは特殊な子だな。
多分、獣人と何かしらのハーフだな。」
ヴァレーリがニルデとジルダのおおよその出自を言ってくる。
「わかりますか?」
武雄がヴァレーリに聞く。
「獣人達は身体強化をしてくるが、飛び系の魔法は使えん。
それを使えるのは血に他種族が入っているからしかないからな。
キタミザト殿その子供達は?」
「うちの農業部門のベルテ一家と一緒に農業をしていますよ。
あ、ベルテ一家はカールラさんの所のご一家ですね。
こちらもウィリプ連合国で買ってきました。
いや~・・・剣闘士してまして、買った時はズタボロでしたね。」
「あ・・・あの報告書の一家ってベルテ一家だったのかぁ・・・
はぁ・・・良かったぁ、生きてたんだ。」
ブリアーニが疲れた顔をさせて呟いている。
「なので、ベルテ一家の4人と子供メイドのルフィナをキタミザト家で預かっています。」
「ありがとうございます。
ただ・・・ベルテ一家・・・5名だったはずなのですが・・・残りの1名は・・・もう・・・」
「ジッロさんですか?
キタミザト家の予算が危うかったので、アズパール王国の王都にある魔法師専門学院に放り込んでおきました。
魔法師として鍛えていますよ。
今後はいろんな仕事も経験させたいので王城内の各部署の研修もさせる予定です。
25年の雇用契約後に家族でブリアーニ王国に行く際に護衛や交渉事が出来るように仕込みますからね。」
「何から何までありがとうございます。」
ブリアーニが深々と頭を下げる。
「なーんか、キタミザト殿の所は手厚いなぁ。
うちの部下達も預けるかな?」
ヴァレーリが考えながら言う。
「他国の・・・一応、敵国に部下の教育を任せないでください。
それに私の家の者は皆仕事をしているだけですよ。
仕事をして貰い対価を払っているのです。
子供達は今は教育をしていますが、後々は色々と仕事をして貰いますからね。
先行投資です。」
「そうかぁ・・・他国での研修も良いと思ったのだがな。
ま、良いか、それは我が考える事ではあるまいよ。
で、ビエラ、子供達に武器を持って行ってやるのか?」
「あ?」
「え?ナイフが良いの?
まぁ・・・子供達だからな、確かに小さめのナイフとかの方が使うだろうが・・・
街中で買った方が良いのが買えそうだと思うのは大人の考えだろうな。
記念品というか帰属意識を訴えるか・・・あ、人差し指くらいの長さの荷解きや袋を開ける小さいナイフで魔王国の紋様を入れた物ならあるな。
確か・・・・数年前に大量に発注して残りがあったはずだなぁ。
土産にはちょうど良いだろう。
帰りまでには用意してやろう。」
ヴァレーリが言ってくる。
「はい!」
ビエラが頷く。
「ねぇ、ダニエラ、魔王国の紋様が入ったナイフ渡しちゃダメなんじゃない?
子供達には良いだろうけど、大人達が不審がるわよ?」
ブリアーニが言ってくる。
「・・・それはマズそうだな。
なら入っていない物を・・・だったら買えば良いだけだよなぁ。
ん~この地の物とわかる物かぁ・・・」
ヴァレーリが考える。
「いや、お土産は食べ物で十分ですから、お気になさらないでください。」
武雄が言うのだった。
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