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第2054話 料理きました。(・・・コショウ?)

武雄は出された料理を見て固まっていた。

まず何に驚いたかと言えばナイフとフォークが出された点。

つぎに驚いたのは米が炒められたのにパラパラではない点。

形的には炒飯のようなお椀を反対にした半球形ではなく、割と半楕円・・・平べったくなっていた。

武雄的に「某有名中華料理店の焼きそば麵をドーム状に固焼きして、中に餡を入れているあれ風?」と思うぐらいの色合いで焼かれており、「これはおこげを味わうのか?いや、焼きおにぎり風なのか?」と思わせていた。


「カールラ、これどうやって食べるんだ?」

ヴァレーリがナイフとフォークを持って準備万端でブリアーニに聞く。

「切って食べるのよ。

 ウスターソースを少し付けてから食べてね。」

ブリアーニが言う。

「あー♪」

「ちょっと固いですし、ちょっとピリッとしますけど、ウスターソースとも合います。」

ビエラとミアは言われた通り食べている。

ちなみにミアは小さくカットされた物が出されていた。

「・・・」

今は料理の創成期、未知なる物を料理人が一生懸命に考えた料理。

邪見はいけない、思い込みはいけない、美味しさは二の次。

武雄は意を決してナイフで切り込みを入れ、一口大にして、まずはウスターソースを付けないで食べてみる。

「!?」

武雄が目を見開いて驚く。

「え?・・・キタミザト殿、どうしたのですか?」

ブリアーニが武雄の顔を見て驚いている。

「・・・カールラ、キタミザト殿が食べる所をジーっと見るのは女王としてはしたないぞ。」

「気になるんだからしょうがないでしょう?

 そんな事するのはキタミザト殿ぐらいにしかしませんよ。

 で、どうしたんですか?

 ウスターソースにも付けなかったようですけど。」

「・・・これ、コショウがかかっていますよね?」

武雄がブリアーニに聞く。

「良くご存じですね。

 はい、これは黒コショウです。

 我が国で取れるコショウは黒と赤があります。

 黒は実が生って青い内にとって乾燥させ長期保存にし、赤は乾燥させないで使います。

 生産量はそこまで多くないのですけどね。

 魔王国でも扱っていますよね?」

「ベッリの所だな。

 あそこも赤コショウと黒コショウの産地だ。

 匂いも辛味も良く肉に合うからな、王城には入れて貰っている。」

ブリアーニの問いかけにヴァレーリが答える。

「・・・なぜに王城のみで?

 もっと流行りませんか?」

武雄が素朴な疑問を言う。

「ん?これ・・・非獣人の者しか食べないぞ?

 魔王国内で食するのはエルフ、ヴァンパイア、エルダーリッチ、ドワーフだ。

 カストやファロンといった獣人系は辛味が強いようで嫌っている。

 コショウは我ら非獣人専用の食事のみだが王城はいろんな種族に対して食事を提供しているからな、基本的には同じ物を出して貰っているぞ。

 納入だけして貰って接待の時とかに使っている程度だ。

 あとは各種の領地にベッリが卸していると思ったな。」

「・・・ドラゴンが食べてますが?」

武雄がビエラを見る。

「基本ドラゴンは食事は娯楽だからな。

 ビエラ?辛いか?無理して食べるなよ?」

ヴァレーリがビエラに行く。

「あ~?平気!」

「主、私も平気ですよ。」

ドラゴンと妖精にはコショウは問題ないようだった。

「・・・カールラさん、これ領地異動でも持って行くんですか?」

「ええ、そのつもりです。」

武雄の問いにブリアーニが頷く。

「コショウって温暖な地域でしか育たないのでは?」

「そうなのですか?

 私達の所では寒くても育ちますよ?」

「そうだな。

 キタミザト殿、黒コショウは寒い地方でも育つぞ。

 北側に居る領主達は獣人系なので育ててないだけだと思うが。

 アズパール王国だと南側だけなのか?」

ヴァレーリが武雄に聞く。

「いえ、私の知る限りではコショウはアズパール王国にはありません。」

「え?アズパール王国にはないのか・・・。

 これは肉に合うからなぁ。

 キタミザト殿、赤は難しいが黒コショウを輸入するか?」

「ええ、是非!

 何百kgでも構いません。

 多少高くても買います。」

「「100kg単位なんだ・・・」」

ヴァレーリとブリアーニが呆れる。

「いや・・・1000kgか2000kgは欲しいか・・・」

「「どれだけ欲しいの!?」」

「寒い地方でも作れるのならエルヴィス伯爵領内でもと思いますが、まずは米が先決ですしね。

 それが終わってから国内産の生産をしてみようかな・・・」

武雄が2人を気にせずに考える。

「ふむ・・・コショウを輸出か・・・。

 カールラの所から出すか?」

「出したいけど、米よりも種植えから収穫までの期間がかかるから領地異動直後のコショウの輸出は難しいかな?

 10年後に参戦かも。」

ブリアーニが若干残念そうな顔をさせて言う。

「・・・となると、ベッリの所からか・・・まぁ数十kgが精々出来るかどうかかな?

 なら、レバントおば様に任せるか、紹介状は用意しよう。」

ヴァレーリが言う。

「当面はキタミザト家とエルヴィス伯爵家で楽しむ事にします。」

「ああ、そうしてくれ。」

「じゃあ、黒コショウを紹介してくれましたからね。

 ウスターソースの炒飯とカルボナーラというパスタのレシピを売りますよ。」

「「やった♪」」

ヴァレーリとカールラが喜ぶのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「・・・」 >今は料理の創成期、未知なる物を料理人が一生懸命に考えた料理。 >邪見はいけない、思い込みはいけない、美味しさは二の次。 タケオさん必死だなw 色々凄いところもあるけど、こう…
[一言] エルヴィス伯爵家の料理長:ジョージ と コノハ (ラーメン目当て?)が、 手を取り合って踊る姿が一瞬見えた気がするのですが 遠い将来、香辛料:胡椒をめぐって、 戦争ー>植民地 の流れが目…
[一言] アズパール国で胡椒、使われて無かったんですね。 これは、エルヴィス家のレシピがぐんぐん広がりますね笑
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