第2053話 料理まだだね。(領地異動の際のシモーナさんを確保するのが最優先。)
「えーっと・・・バターではなく油で炒めてみたんです。
少々の野菜と肉を入れて。
で、野菜の種類を数パターン作ったんです。」
ブリアーニが言ってくる。
「おーそれは美味しそうだな。」
ヴァレーリが素直な感想を言う。
「あー炒飯ですか。
私も作ろうと思っていたんですよ。
ま、卵を入れるタイミングが難しいので、私は米に卵を混ぜてから入れる方法を取りますけど。」
武雄が言う。
「既にご存じでしたか・・・ですが、卵は入れないんです・・・」
「・・・んー・・・」
武雄が考え込む。
「キタミザト殿、厨房に行くか?」
ヴァレーリが言ってくる。
「いえ・・・料理を食べてから考えます。
創意工夫をして作り出した料理を食べる前にちょっかいは出せません。
・・・あ、そうか、別に帰ってから作れば良いのか。」
「「キタミザト殿!それダメ!お金払うから!」」
ヴァレーリとブリアーニが反対してくる。
「・・・まぁ、良いですけどね。
今は楽しい料理が出て来ることを期待します。」
「大丈夫かな・・・大丈夫かな・・・」
ブリアーニが緊張し始める。
「いや・・・なんで一国の女王であるカールラが緊張するんだ?
普通、反対だろう?」
「ダニエラ・・・この立場になればわかるわよ。
私ならキタミザト殿に出す食事には注意を払うわよ。」
「・・・ん~・・・王城の食事不味いからなぁ。」
「ダニエラ、キタミザト殿にそれ食べさせないの?」
「サンドイッチは食べて貰ったぞ?」
「ひょ・・・評価は?」
ブリアーニが武雄に顔を向ける。
「味が足らないですね。
ま、今後はトマトもありますし、ウスターソースも入ってくるから色々と作るんじゃないですかね?
そういえばダニエラさんが王城内で商売をしているようで、まずはプリンのレシピを売ったのでしたか?」
「ああ、次は出汁を売るんだ。」
ヴァレーリが堂々と言う。
「ダニエラ、なんで商売しているの?」
ブリアーニが聞いてくる。
「あれは私が個人で買った物ですからね。
個別対応。
ふふ、良いお金になるなぁ。」
「うわぁ、悪い顔。
こっちとしては王城では米の料理の幅を広げるようにしているわ。
それと出汁は大変好評。
国民達にも出汁は教えているわ。
これで食生活は少し良くなりそうね。」
ブリアーニが言う。
「・・・」
武雄は「ここにウスターソースかぁ、国の中央が料理を本気で考えると発展が早そうだね」と思いながら黙って聞いている。
「さて・・・料理が来ないなぁ。」
ヴァレーリが扉の方を見る。
「うちの料理人頑張っているから!待ってて!」
ブリアーニが言う。
「それはそうと・・・ダニエラさん、カールラさん、領地異動ですけどね。」
「ああ。」
「え!?なんでそれを!?」
ヴァレーリが頷き、ブリアーニが驚きながら顔を向ける。
「ダニエラさんから概要は聞きました。
まったく・・・まぁ魔王国と同盟国での話なのでそこに異議も何もないのですけどね?」
「ああ。」
「うん。」
「商流どうするんです?
シモーナさん、移動するんですか?
・・・うちはヴィクターと娘のジーナが居ます。
個人としては縁戚であるシモーナさんを優遇したいとは思います。
が、商売としてみると余計な時間と費用はかけられないという判断が普通だと思います。」
「ん~・・・カールラ、どうするんだ?」
ヴァレーリがブリアーニに聞く。
「魔王国の隣国併合が成功し、領地異動が発表されたのなら我が国はシモーナさんを確保しに行きます。
つまりは領主に付いて行かないで、現在の店を維持して貰います。
表立っては異動に拒否をした者を我が国民になって貰うと言う所ですね。」
「ファロンが許すかな?」
ブリアーニの言葉にヴァレーリが聞く。
「そこは・・・わかりませんが、すぐに接触しようと思います。
私達は対魔王国については商売はしていますが、アズパール王国にはしていません。
それにわかってはいるのですが、多分私達ではアズパール王国に行きたがりません。
なので経験豊富なシモーナさんには残って貰って我が国の対外輸出入をお任せしようと思います。
まぁ我が国民にも対魔王国向けの商売をしている者はいますからそこは競合をして貰いますけども。」
ブリアーニが言う。
「・・・ふむ・・・残留組を作るか・・・
まぁ実際問題、全員が全員異動するとは考えられないよな。
住み慣れた土地を出るというのは辛い物だろう。
これはファロンもパーニもある程度出ると予想は付くのだが・・・」
「ブリアーニ王国は国民全員で移動だけどね。」
「まぁ・・・カールラの所は軍の駐屯及び演習場にするしな。
残られても困る。
まぁシモーナさんはどういう判断をするにしてもキタミザト殿とレバントおば様との繋がりが続く限り、カールラ達に負けないと思うんだが。」
ヴァレーリが半ば呆れながら言う。
「確かにウスターソースとウォルトウィスキーが強いわよね。
だからこそ残って欲しいんだけどね。」
ブリアーニも半ば諦めた表情で言う。
「・・・どうしたものか・・・」
武雄が難しい顔をさせて悩むのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




