第2051話 鈴音の悩み。5(とりあえず、やってくれるようです。)
「ゴムの板ですか・・・
うちの消しゴムは1.5cmよ。」
「コンテナ用は5mm厚を製作していますが・・・
はぁ・・・まぁ・・・ハワース商会で1.5cm厚が作れているならスズネの要求の1cmは出来るでしょう。」
モニカとキャロルがラルフの話を聞いて答える。
「なら出来そうですね。
スズネさんが作ったラバーソールは靴屋に置いてきてしまいましたが、スズネさん、ラバーソールの型はありますか?」
「はい、持っていたのを作った際に使用した裏地に網目の凹みを入れた型はあります。
一応、滑り止めと思って作ったんですけど、実際に履いてみないとわからないです。
あと、1mm用の真っ平のゴムを作る容器も作っています。」
ラルフの問いにスズネが答える。
「・・・スズネさん、その凹みはどうやって作りましたか?」
キャロルがスズネに聞く。
「鉄箱を用意して底に針金を組み合わせて格子状にして貼り付け、原料を流し込んで、トレーシー研究室長に焼いて貰いました。
見た目はちょっとあれですけど、たぶん、ちょっとは滑り止めになっていると思います。
固まったのを机において、手で押したらそれなりに止まりましたからある程度は効果が出ているかなぁと思います。」
鈴音が言う。
「はぁ・・・スズネさん、今、とてつもなく凄い事を言っているんですけどね・・・」
キャロルが呆れながら言う。
「そうなのですか?」
「はい。
ですが、別に良いです。
それでこそスズネさんですよ、キタミザト様も喜ばれるでしょうね。」
「武雄さん、喜んでくれるかなぁ?」
キャロルの言葉に鈴音が考える。
「タケオ様なら喜ぶと思いますよ。
ついでに違う物を頼むと思いますけど。」
「武雄さんもスニーカー頼むんだろうなぁ。」
「スズネさん、スニーカーは男女関係なく履けるんですか?」
アリスが聞いてくる。
「はい、男女分けはありませんし、形で区別していませんね。
あるとすれば布の色でしょうか。
でも、色も自由に履いて良いと思いますけどね。
男性だからこの色、女性だからこの色としないで自由に選んで貰った方が良いと思うんです。」
「そうなのですね。
そうかぁ・・・布で作るというのは色合いも良くなるという事ですものね。」
「あと、靴の紐も数種類あれば個別で楽しめますよね。」
「・・・スズネさん、それは何で?」
「基本的に物って他の人と被らないようにしたいじゃないですか。
靴なら色ですけど限りがあるから靴紐とかも含めて自分で選べたら良いのではないでしょうか。」
鈴音が言う。
「ふむ・・・これも売れますね。」
ラルフが頷くのだった。
「とりあえず、今その靴屋で試作品を作っているのはわかった。
で、ラルフさん、私は1cmと1mmのゴム板の製作すれば良いのですね?」
「はい。
ですが、今直ぐではありませんが、製品の形が出来上がったらお願いします。」
「はぁ・・・直ぐではないですが、数日中に依頼が来るかもしれないのでしょう?
準備はします。」
「よろしくお願いします。」
ラルフが頷くのだった。
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シリルの靴工房
「・・・はぁ・・・これは・・・」
シリルが試作品を作っていたが、作業を止めラバーソールをマジマジと見ていた。
「んー・・・針が容易に通らん。」
「店長?大丈夫ですか?」
職人が声をかける。
「大丈夫じゃない。
革も針が通り辛い物もあるが、これはそれ以上だな。」
「針を大きくしますか?」
「うん・・・それもやり方の1つだが・・・
もっと容易に上布と底を縫えるような方法を考えないといけないだろう。」
「革の時は縫うのが難しい時は事前に小さい穴を開けますが。
してみたらどうでしょう?」
「・・・穴をか・・・皮ポンチで開くのだろうか・・・
この厚さをだぞ?」
「・・・なら、その部分の厚みを穴が開けられる程度に薄くして貰って、靴に必要な厚さがあるなら同材質を追加で貼り合わせれば良いんじゃないですか?」
「なるほど・・・ラルフさんに今日会うからその際に聞いてみよう。」
シリルが頷くのだった。
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エルヴィス伯爵邸のエルヴィス爺さんの執務室。
「伯爵、兵士達が東町近くのオークを倒しました。
帰路に就くようです。」
夕霧がエルヴィス爺さんに報告する。
「ほぉ、意外と時間がかかったの。
怪我人は居るかの?」
「戦闘中に怪我はしたようですが、魔法師が居たようで治していると見受けられます。」
「治っておれば良いのじゃがの。
夕霧、領内で他に魔物が行動を起こしているかの?」
「・・・今の所シグレからは何も言ってきていないです。問題ないと思います。」
「よろしく頼むの。」
エルヴィス爺さんが頷くのだった。
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