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第2046話 ジャガイモは飢餓に対応出来るのか。(アンも成長しているのです。)

「何のために?」

クラリッサがアンに聞く。

「万が一の為です。

 出来れば王都に行ってジーナに頼んでタケオさんに連絡を取って貰って、タケオさんに来て頂いて、いろいろと話をしてみたいんですけど・・・まずはジーナにそう言った事が出来るのかの確認をしなくてはいけないと思うのです。」

アンが言う。

「・・・で、それが何に繋がるのですか?」

「たぶん、今のジャガイモ以外のジャガイモが必要になる時があると思うんです。」

「アン、それは品質改良という事ではないのね?」

セリーナが聞く。

「はい、品質改良は今のを少しずつ変化させる事です。

 それは地域に合わせた食物を作るという大事な事なのはわかっています。

 ですが、私はそうではなく、別の特性を持ったジャガイモが必要だと考えています。

 必要ない方が良いのですけど・・・あって損はありませんし、まずは隣国で売られている物から調べないといけないと思うんです。

 まぁ・・・どうやって比べたら良いかとかはわからないんですけど・・・」

アンが最後は小さな声で言う。

「?」

クラリッサが首を傾げる。

「万が一・・・か。

 良いでしょう、ローナ。」

セリーナがローナに顔を向ける。

「わかったわ。

 アン、お義父さまが戻り次第、私と王城に行きましょう。

 滞在は1週間、その間にアンがしたい事をしなさい。」

「本当ですか?」

ローナの言葉にアンが良い笑顔で答えるのだが。

「あ・・・セリーナお母様の体調を見ないといけないのでまだ行かなくていいです。」

アンが思いを改める。

「あら?私の事は別に気にする必要はないわよ?」

セリーナが言う。

「いいえ、お母様。

 ジャガイモよりも弟とお母様の方が大事です。

 それに今思い立ちましたが、ジーナには手紙を送れば良いので、お爺さまが戻って来たらジーナに渡してくれるように言って手紙を託せば良いだけです。」

「随分と豪勢な輸送役ね。」

ローナが呆れる。

「で、ジーナの手紙にタケオさん宛の手紙を添えておけば、ジーナの事です。

 すぐにタケオさんに送ってくれます。

 たぶん、この方法が安全で確実に早く届くやり方です。」

アンが言う。

「まぁ・・・ジーナを介してのタケオさんとの文通は良いんだけど。

 アン、その相談は私達でも良いのよ?」

ローナが言う。

「・・・まずはタケオさんに聞きたいのでお母様方には後々話します。」

一瞬考えたアンがローナに言う。

「そ・・・そう。」

ローナがアンに拒否されたようでちょっと悲しそうな顔をさせる。

「まぁ、アンが納得した所で私達に説明すれば良いわ。

 それよりもタケオさんに手紙を出すならちゃんとアンが考えている事を文章にしないとダメよ。」

セリーナがアンに言う。

「はい。」

アンが頷く。

「様式としては報告書形式が良いと思います。

 ダラダラと長文を書くのではなく、要点を端的に書き、考えている事を箇条書きにし、最後に何をしたいかを書く方が良いと思います。

 あとで・・・経済局にある古い報告書で参考になるような報告書を持って来ます。」

「ありがとうございます、クラリッサお母様。」

アンが頷く。

「はい。

 それでは勉強の時間になりますから先に部屋でお待ちください。

 今日はなんでしたか?」

クラリッサが言う。

「今日は経済学です。

 この間していた街中の区分けの意味合いからの続きですよね。」

アンがクラリッサに言う。

「はい、その通りです。

 では、復習はしているでしょうが、始まるまでにもう一度前回の所を見直してください。」

「はい、わかりました。

 では、お母様方失礼します。」

アンが軽く礼をすると室内に戻って行く。

「「勉強頑張りなさい。」」

ローナとセリーナがアンを見送る。

「・・・アン殿下は何を考えているのでしょうか。」

クラリッサが呟く。

「クラリッサ、貴女は王立学院の卒業試験を終えている。

 その学力とアンとの親睦も深められるようにと教育をお願いしているのだけど・・・聞いていないの?」

「アン殿下は授業は真面目に聞いていますし、質問もその場でしてきます。

 優秀です。

 ですが、何をしたいかとは言って来ないですね。

 ご自身の時間で何かを考えているという事なのでしょうけど・・・万が一と言っていましたが、私はそれが他国からジャガイモを買う事に繋がりません。

 むしろ各領地でしている農業試験の結果を取り寄せたいという方が真っ当だと思います。」

「アンは・・・多分、飢饉に対しての対策が成されていないと思っているのよ。

 カトランダ帝国は農地が少ないと聞いているし、そこから入手したいのでしょう。」

セリーナが言う。

「飢饉ですか。

 ですが、資料を見た事はありますが、ここ30年は不作になっていませんし、天候不順もありません。

 それに冷夏になっても作物が育つように各農業試験場が研究をしているというのは知っています。

 その影響か、作付けの期間が長い作物が多く、不作になっていないと教わっています。

 まぁジャガイモがあるかは知りませんが・・・」

クラリッサが言う。

「カトランダ帝国では農地が少ないとなるとアズパール王国内で作っているジャガイモよりも多くが生り、少ない水で育つ物があるかもしれないと思っているのかもね。

 そうすれば天候不順で雨が少ない時に対応出来るだろうと。

 ・・・まぁ、興味を持つ事は良い事だわ。

 アンが納得するまで色々と手配してあげましょう。」

「そうね。

 自分で考え、実践し、結果を導く。

 ジャガイモというのは驚きだけど、興味を持った事をさせるのが親の務めよね。

 それにしても一番最初の相談者はタケオさんかぁ・・・相談しやすいんだろうね・・・」

ローナが言う。

「まぁ、親に頼らないで聞きたい事もあるでしょう。

 さて、私もアン殿下の教育に行ってきます。

 殿下方、失礼します。」

クラリッサが立ち上がる。

「なら、ローナ、私達も室内に戻りましょうか。」

「そうだね。

 セリーナ、今日は何する?」

「アンが勉強中だからね。

 私達は引き継ぐ資料の確認をしましょう。」

3人共テラスを後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 1種類の品種だけ栽培しているとその作物の病気が蔓延した場合のリスクが高過ぎますからね… 実際、地球では『ジャガイモ飢饉』を筆頭に何度もジャガイモの疫病が発生してますし。 一方、原産地のアンデ…
[気になる点] やっぱりクラリッサからの「殿下」呼びが気になります
[一言] こんにゃく芋みたいに食べられないけどバグみたいに増えるような芋があれば……逆に満足に加工出来ないなら危ないかな? それよりも食べられるのに食べられていない植物を探したほうがいいのかもしれない…
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