第2045話 アズパール王の旅路。(アンの不安。)
カトランダ帝国に向けて移動中の馬車にて。
「陛下、もうすぐカトランダ帝国の関に到着します。」
同乗している王都守備隊総長がアズパール王に言ってくる。
「そうか・・・何十年ぶりかな。
あまり変わってはいなさそうだな。」
「そうでしたか。
今日は関の先に行けるでしょう。」
「そうだな。
総長はカトランダ帝国には?」
「この役職に就いてからは出張は稀ですよ。
若い頃はウィリプ連合国には行っていましたが、カトランダ帝国にはほとんど行ったことありませんね。
もちろん向こうの帝都には行ったことありません。」
「そうか・・・あっちの皇城は黒いからなぁ。
驚くかもしれんな。」
「黒いのですか?」
「うん、荘厳という言葉が似あっているな。
ちなみに街中は黒くない。」
「街も黒かったら怖い街ですよ。」
「そうでもないと思うがな。
ん?」
アズパール王が窓の外を見ると王都守備隊隊員が手で合図している。
「・・・先に・・・兵団がある・・・目算2小隊・・・です。」
総長も気が付き合図を訳す。
「そうか・・・この先は関だろ?となれば出迎えだろう。
挙式に来る者を無下には扱わんだろうからな。」
アズパール王が緊張もしないで言ってくる。
「警戒はしましょう。」
総長が外の兵士に合図をすると兵士が下がっていく。
「・・・我は顧問だよな?」
「そう伝えてあります。
ですが、向こうもそうやって来た事を考えるなら警備を寄こしたのでしょう。
私達の時とは逆の対応ですね。」
「はぁ・・・我らも目立つように警備を送っておけば良かったか?」
「今更ですね。
先方はエリカ殿が居るのを知りましたから我らが事前に上位が来るのは知っていて、何かしら警護をしていたというのはわかったのでしょう。
ま、今回は顧問も同席する旨は伝えてありますので、ちゃんとした警護なのでしょう。」
「だなー。
向こうの規律を見る良い機会だな。」
「はい。」
総長が頷くのだった。
・・
・
カトランダ帝国の関にて。
着いて早々に兵士達が並ぶ前に馬車が止められ、総長とアズパール王が降りてくる。
「お待ちしておりました。」
見知った男性が敬礼をしてから声を発する。
「セルソ・アルヘンタ侯爵殿自らお出迎えとは。
ありがとうございます。」
総長が兵士達の前に立つアルヘンタに礼を言う。
「いえいえ、我が国の第4皇子の挙式に参列されるのです。
貴国からの使者に警護を当てるのは当然です。
まぁ、道中私達を気にされずに気兼ねなく町中を見ながら帝都に向かってください。」
「お気遣いありがとうございます。
では、お言葉に甘えて通る町を少し見ながら向かわせて頂きます。
顧問もそれでよろしいですね?」
総長がアズパール王に尋ねる。
「ああ、構わない。
貴国の街中を見る機会はなかなかに私達にはないですからね。
堪能させて頂こう。」
アズパール王が頷く。
「では、入国の手続きのあと、我々が先導をいたします。」
アルヘンタが頷くのだった。
------------------------
第1皇子一家の屋敷の庭に面しているテラスにて、皇子妃達とアンがお茶を楽しんでいた。
「お母様、お爺さまはカトランダ帝国に着いた頃ですかね。」
お茶を飲んでいるアンが同じく麦茶を飲んでいるセリーナに聞く。
「予定では今日ね。
街道沿いは魔物等の討伐は済ませてあるし、警護も付けていたから無事に着いていると思うわよ。」
「それに第1騎士団も居るしね。
兵力的には問題ないわよ。」
セリーナとローナが言う。
「無事なら良いのですが。」
アンがアズパール王の安否を気遣う。
「お義父さまは楽しそうにしていたから大丈夫よ。
ね、クラリッサ。」
「はい、陛下と一緒に居るのは王都守備隊ですからね。
大抵の事は対応は出来ますし、そもそもカトランダ帝国には向かう事を言っているから。
賓客待遇を受けられますから警護は付くと思います。
大丈夫ですよ。」
クラリッサが言う。
「そうなんですね・・・
よし!お爺さまが元気ならお土産期待すれば良いんですね?」
アンが言う。
「そうね。
でも・・・街中に行けるとは限らないから買えるかわからないわよ?」
ローナが言う。
「・・・お爺さま、買って来てくれると言ってくれました。」
アンが若干下を見ながら言う。
「何を買って来て貰うの?」
セリーナが聞く。
「ジャガイモです!」
「「「ジャガイモ?」」」
ローナ達母親が首を傾げる。
「はい!ジャガイモ!」
「・・・何でジャガイモなの?
他にもいろいろあるでしょう?」
クラリッサが聞いてくる。
「私もいろいろ勉強が始まったんですけど・・・今後、国民が増えて行くと教えられています。」
「まぁ、我が国は人口を増やす事が命題みたいなものだしね。
間違いではないわ、それで?」
「今のままでは小麦が足りません!
なので、次の食糧であるジャガイモを増やさないといけません!」
アンが力強く言ってくる。
「「・・・ふむ・・・」」
ローナとセリーナが考えながら頷く。
「アン殿下、我が国にもジャガイモがありますが、ダメなのですか?」
クラリッサが聞いてくる。
「クラリッサお母様、私は他国にあるジャガイモが我が国と同じか確かめたいのです。」
アンが言う。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




