第2039話 229日目 さて、野菜を食べて英気を養いましょう。(ゴーヤ料理かぁ。)
宿から近い酒場にて。
「「「苦っ!!?」」」
試験小隊の面々がニガウリを一口噛って壮大に顔をしかめている。
「ん~・・・苦味が濃いですね。」
武雄も眉間に皺を寄せながら食べている。
「しょ・・・所長~・・・苦いです・・・」
「苦いよ~・・・味濃いのください・・・」
ブルックとフォレットが身悶えながら言ってくる。
「「・・・」」
ビエラとミアは机に突っ伏して震えている。
「失礼しま~す、ワイン漬け牛肉6人前です。
ご要望通りに1口大に切ってありますよ。」
「はい、ありがとうございます。」
と、そこに頼んでいた大皿での肉料理がやって来て、武雄が店員にお礼を言っている間から皆が我先にと皿に取り口に運んでいく。
「・・・よし!育てましょう!」
「「「なぜに!?」」」
武雄の発言に皆が驚きながら言ってくる。
「いや、食欲が湧かなかった時にこれを食べれば、今みたいに他の物を食べそうじゃないですか?」
「じゃないですか?じゃありません!
何の拷問ですか!」
「え~・・・だって~・・・
それに苦味は強いですけど、下地の味はサッパリしていますよね。
特定の味に固定されないと思いますから色んな味が付けられると思うんですよ。」
「苦いという味なのではないのですか?」
アンダーセンが言ってくる。
「苦味は味ではありますけど、塩味や甘さとは違うものでしょう?」
「所長の中では違うのですか・・・」
「ニガウリって確か、苦味を和らげる方法があったはずなんですけど・・・
これ普通に切っているだけですよね。」
武雄が考えながら言う。
「え?苦味が無くなるんですか?」
ブルックが聞いてくる。
「和らぐだけです。
全くなくなるわけではありません。
ん~・・・塩で揉むか塩茹でだったはずなんですけど・・・
それに油で軽く炒めるのが苦味が少なくなる調理方法だったと思います。」
「つ・・・つまりは?」
「下地処理として、切った後に塩で揉んで、油を引いて炒めるのが良いと思います。
ニガウリ自体に味がないので、一緒に炒める肉もオークやポクポク肉のようなあっさりとしたのが良いでしょうね。
肉とニガウリだけだと見た目が悪いので溶き卵を入れて色合いを良くしましょうか。」
武雄が調理方法を考えながら言う。
「所長・・・それ美味しいのですか?」
「所長が考えるのならこれよりかは食べられそうな気はしますけど・・・」
「この苦味をまたとなると躊躇します。」
「キタミザト殿、本当に食べれる物が出来るのですか?」
皆が恐々聞いてくる。
「料理は基本、失敗をしながら美味しい物を作るのですよ。
まずは作らないとね。
なので、帰りの旅路ではニガウリ料理を創作していきましょう。」
「「「「えええぇぇぇぇ」」」」
皆が一斉にガックリと肩を落とす。
「・・・そんなに嫌ですかね?
なら・・・3日に1回くらいにしますかね。」
武雄が皆の反応を見ながら妥協案を出す。
「しょ・・・所長、4日に1回では?」
「間が空き過ぎだと思っちゃいますけど・・・まぁ・・・3日に1回同じ料理では飽きちゃいますかね・・・
なら4日に1度出しますか。」
「はい!4日に1回なら我慢できますから!たぶん!」
「いや、無理して食べなくて良いから。
皆の分を作るというより1人前くらい作って、1切ずつ食べれば良いだけですよ。
まぁ、とりあえず、4日程度ごとに出す事にしましょう。」
武雄が諦めながら言う。
「失礼しまーす。
えーっと、頼まれた持ち込まれた野菜の炒め物になります。
一応、指示の通りに細く切って、油で炒めてあります。」
と店員が不思議そうな顔をさせながら説明する。
「はい、ありがとうございます。」
武雄がお礼を言うと店員が下がっていく。
「キタミザト殿・・・本当に油で炒めただけのようですね。」
ラングフォードが素揚げされた物を見ながら言う。
「今日の夕食は買った物の味を確かめる・・・ですからね。
生かしっかりと火を通すとかして塩で簡単に味付けした物を食すのが、その物の味を知るのに適していると思ったからです。
まぁこちらの方に聞いたらニンジンは生では食べないとの事なので今回は油で火を通して貰いましたけどね。
じゃあ、食べましょうか。
頂きます。」
「「「「いただきます。」」」」
武雄の言葉を皆が唱えて一口食べる。
まずはカボチャから。
「あ、甘い。」
「カボチャは茹でたり焼いたりすると甘くなりますけど、こっちの油でも甘くなりますね。」
「少しいつも食べている物より甘みがあるか?」
「いや、逆に甘さ控えめじゃないか?」
皆が各々に評価する。
「ふむ・・・美味しいですね。」
武雄が考えながら頷く。
「あ~・・・」
「そうですね、さっきの苦いのに比べればこれは各段に美味しいですよね。」
ビエラもミアもカボチャは安心して食べている。
「ニンジンはっと・・・ニンジンですね。」
「「「うん、ニンジンですね。」」」
「ちょっと苦い・・・臭くないですか?」
「若干違うが、そこまで気にもならないな。
それにしても油で揚げても色は真っ赤ですね。」
「元々真っ赤だった気がするが・・・見栄えとしては印象が残るか。」
「味的にはそんなに変わりはないですけど、真っ赤というのが料理として使えるかもしれませんね。」
皆が評価している。
「・・・あ、そうか。」
武雄がニンジンを食べながら気が付いたようだ。
皆が注目する。
「ニンジンの味は一緒ですけど、野菜臭さがあるんですかね。
どちらかというとキュウリの臭いが少し入った感じですかね。」
「「「ああ~。」」」
皆が納得する。
「さて・・・とりあえず今日はこんなものですか。
あと、メニューでなに頼みましたか?
来ていない物があったら覚えておいてくださいね。
アンダーセンさん、試験小隊の面々の酒は許可しますよ。」
「了解です。
深酒にならないように1人1杯にし」
「「「「2杯でお願いします!!」」」」
試験小隊の面々がアンダーセンに言う。
「・・・2杯まで飲ませますが、宿に着いた時にダメになっていたら強制的にケアをかけ治させます。」
「はぁ・・・この面子が2杯でそこまで酔わないでしょう。
ま、任せます。」
武雄がアンダーセンに言う。
「所長!アンダーセン隊長、何飲みますか?」
「ラック隊長!ラングフォード殿!デナム局長にハガード次長、何飲みますか?」
ブルックとフォレットがお酒の注文を集めるのだった。
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