第2038話 宿に戻って。(今日は買ってきた食材を向こうの人に料理して貰おう。)
宿に戻った武雄はというとラングフォード達とお茶をしながら買ってきた物を確認していた。
「これは細いゴーヤ?」
「ニガウリという物らしいです。
気付けに丁度良い苦さと言われました。」
「・・・苦瓜か、ゴーヤだね。
ふーん・・・暖かい地方で出来そうですけどね。」
武雄がそう言いながらニガウリを手に取る。
「ええ、南の領地で取れる物らしいです。
で、採れたてをワイバーンで輸送するそうです。」
「ワイバーンってそんなに多く居るんでしょうか・・・
上空を飛んでいるのを見ませんけど。」
「さぁ・・・魔王国では一般的なのかもしれません。」
「一般的であっても輸送量はそこまで多くないんでしょうね。
でなければ幌馬車で輸送なんてしないでしょうし。
コスト面では高くつくという事だと思いますけど。」
「そうかもしれません。
これもワイバーンで輸送しているから高いと言われました。」
「ふーん・・・栽培するにしてもアズパール王国でも南側でしょうね。
エルヴィス伯爵領ではあまり出来ないかもしれません。」
「そうですか。
あとは美味しいか・・・ですね。」
「苦みも美味しいと思うのが人ですけどね。
好き好きでしょう。
・・・数個買って調理研究ですかね。」
「そんなに苦いんですかね?」
「なら、今日の夕食に出して貰いましょうか。
食べ方は何か聞きましたか?」
「サラダに使うと言っていました。」
「サラダ・・・ですか。
わかりました、お店の方に頼んで出して貰いましょう。」
武雄が言う。
「さて・・・これは大きいカボチャと真っ赤なニンジン?」
武雄が次の食材を見る。
「美味しいかはわかりません!」
「そうです!」
デナムとラックが言ってくる。
「・・・ふむ・・・かぼちゃの煮物はなぁ・・・
ん~・・・揚げてみましょうか。
ニンジンは・・・生で食べますか。」
「食べれますか!?」
デナムが聞いてくる。
「いや、食べれるから売っているんでしょう。
全部の食材をお店に持って行ってお勧めで作って貰いましょう。」
「「「はーい。」」」
ラック達が返事をするのだった。
その一方で。
「さ・・・出来ましたかね?」
アンダーセンが試験小隊の面々を見ながら言う。
「・・・出張先まで来て報告書って・・・」
「書くなら書くと言ってくれたら・・・」
「なんでこんなことを・・・」
一同不満たらたらで紙と格闘している。
「はぁ・・・大変ですね。」
ブルックはアンダーセンの横で皆の苦悩を見ている。
「ブルックはどうだった?」
「ばっちりですよ!
議事録取りました。
あ!所長!さっきの会談の議事録、清書したんで夕食まで中身確認してくださーい。」
ブルックが武雄を呼ぶ。
「呼びましたか?
あ、しばらくしたら指定されたお店で夕食にしましょう。
ラングフォードさん達が見繕ったアズパール王国になさそうな食材を使って貰えるように依頼しますからね。」
「了解です!
各先輩方はそれまでには終わらせてくれるはずです!」
ブルックが挙手の敬礼をする。
「「「ブルック!変な事を言うんじゃない!」」」
試験小隊の面々が手を動かしながらブルックに言ってくる。
「まぁ・・・ほどほどで良いでしょうよ。
アンダーセンさん、加減はよろしく。」
「お任せください。
で、4者会談はどうでしたか?」
「聞きたくもない事を聞かされましたよ。
陛下にすら当面は報告内容を絞らなきゃいけないくらいのね。
ブルックさんには当然、守秘義務がかかっているのでアンダーセンさんにも報告は不要です。」
「そこは致し方ありませんが・・・お疲れ様でした。
聞きたくありませんので、所長ご自身でまとめてください。
あ・・・ブルックをどうぞ。」
「へ?」
「ブルックさんに?・・・研究所に戻ってからしましょうか。
出張先でするものではありませんし。
私が書いた事を清書して・・・あれ?私が書いて送りつけて向こうでメガネをかければ読めるからする必要ないですかね?」
「ですよね。」
ブルックが仕事がなくなり喜ぶ。
「まぁ王都向けの報告書をブルックさんに清書してもらうにしても戻ってからです。
一応、戻ってから皆さんに今回の出張報告は書いて貰いますけど・・・今は日記程度に物を書いておけば戻ってから思い出せるでしょう。
今は素直にこの国とこの街を感じ取れば良いと思います。
それと、ブルックさん、魔王国の書記の方と話していましたが、どうでしたか?」
「あ~、筆記具の話で盛り上がりましたね。
筆記具に大きな違いはありませんでけど、インクが若干青いようですね。
私は鉛筆で書いていたので興味を持たれました。
売り込んでおきましたよ。」
「それはモニカさん達が喜ぶでしょうね。」
「はい!多分、少々は買ってくれると思います。」
「うんうん、少しずつ売り上げを伸ばしていきましょうね。」
武雄が頷く。
「さて、私は皆さんが書き終わるまで4者会談の議事録を見ながら、私が感じた事をノートに書いていきますかね。」
「皆さん、とりあえず外にはいかずに自由に過ごしてくださいね。」
武雄が窓際の席に移動しながら言うのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。




