第2036話 ヴァレーリとの雑談。(ウスターソースの輸出は増加出来ませんよ。)
武雄が出されたサンドイッチを食べていた。
「・・・うん、なるほど。」
「あ~?」
「ん~・・・味が同じですね?」
武雄は頷き、ビエラとミアが首を傾げていた。
「どう思う?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「味が足らないですね。
基本的に塩が多用されていますが、肉、野菜、ハム・・・全部が塩で、加減の違いでしか味が付いていません。
これでは味の変化が無い為、どれを食べても同じ感じになってしまう可能性があります。
これが毎日だと飽きてしまうかもしれませんね。」
「うん。
昼は大体これなんだよ。
夕食は代わる代わるで味が変わっているから良いんだけどなぁ。」
ヴァレーリが頷く。
「ハチミツや砂糖、トウガラシや香草とか・・・使っていないんですか?」
「・・・見ての通りだ。
あ、ちなみに、この間キタミザト殿に教えて貰ったプリンは好評だった。
キタミザト殿に払った金額より高値で王城に売れたぞ。
ありがとう。」
「何商売しているんですか。
でも、まぁ基本的な味覚は同じという事がわかる話ではありますね。
ん~・・・塩味かぁ、あとはトマトなんだろうけど・・・挟んではあるという事は食材としては使われていても下地としては使われていないみたいですね・・・」
「夕食に力を入れていて、朝はスープだし、昼はこんなんなんだよ。
何かあるか?」
ヴァレーリが聞いてくる。
「バターは?」
「基本、夕食の肉を焼くのに使っている。
昼食分は滅多に回ってこないな。
回って来た時は夕食がワイン煮込みやシチューの時だな。
それにバターって品薄だからなぁ。
我の食事より兵士達の食事の方に使わせている。
兵士達は肉体を維持しないといけないしな。
出来るだけ力になる物を優先させているんだ。」
「王ならもっと我が儘で良いのでは?」
「さて、歴代の王がどうだったかはしらないが、我は我だけの特別メニューは必要ないとしている。
兵士達と同じ物で良いとな。
まぁ器とかは気を付けているようだが、同じ物を食べているぞ。
アズパール王国はどうだ?」
「アズパール王国の王家ですか・・・ん~・・・1品多いくらいだったですけど。
基本的には文官達と同じ料理を食べていましたし、あまり豪勢な物も食べていませんでしたよ。
あ、スイーツは毎食後に食べていましたが、その程度ですね。」
「スイーツか・・・まぁそのぐらいは良いだろうな。」
「そういえば、ハチミツの輸出入の件ですけどね。」
「あ~・・・アズパール王国に行った際に話していたあれか。
進展はあった感じか?」
「ここに来る途中とシモーナさんと話していたんですけど、レバントさんと協議してハチミツを魔王国全土から集めようかという話と、私の方も魔王国に面している3領地で作られているハチミツを集めて相互に輸出入しようかという話になっていますよ。」
「ふむ・・・プリンの味が増えるな。」
「まぁそうですね。
さて、話を戻すと・・・塩味かぁ・・・後はウスターソースぐらいしかないかな?」
武雄は「マヨネーズはアリス達から滅多に公表しないように言われているし」と思っている。
「だよな?だよな?」
ヴァレーリが目を煌めかせて言ってくる。
「まだまだ先ですかねぇ。」
武雄が「シモーナさんに渡したの粗方こっちに持って来ていたよなぁ」と思いながら言う。
「んんん~・・・んん~・・・」
ヴァレーリが腕を組んで唸っている。
「ま、後は塩でもハチミツでも使って新しい味を作るしかないでしょうね。」
「キタミザト殿、簡単に言ってくれるな・・・はぁ・・・料理人達に期待するしかないか。」
ヴァレーリがジト目で言ってくる。
「創作は大事ですよ。
美味しいかはわかりませんけど。
さてと、お暇しましょうかね。
ビエラ、ミア、帰りましょうか。」
「キタミザト殿、今日は済まなかったな。
部屋を出たらメイドが居るはずだ、その者に玄関まで連れて行って貰ってくれ。」
「はい、わかりました。
それとミアとビエラが家族と会えたのですから今日は良い機会だったのでしょう。
では、またいずれ。」
武雄がビエラとミアを連れて執務室を退出していく。
「ところでキタミザト殿達は何日ここに滞在している?」
「2日か3日くらいだと思いますよ。
でも、王城には用はないですからね。
ここには来ませんよ。」
「そうつれない事を言わないでくれ。
まぁ用事は無い事は確かなんだろうが。
気が向いたらいつでも来てくれ。」
「ええ、では。」
「あぁ。」
武雄が退出して行くのだった。
・・
・
執務室の扉がノックされたのでヴァレーリが許可を出すとタローマティが入ってくる。
「失礼します。
ダニエラ、第4軍に渡してきましたよ。」
「ああ、ご苦労だった。
キタミザト殿からはウスターソースの輸出量増加は見込めないようだ。」
ヴァレーリが書類を処理しながら答える。
「輸入についてもつい先日決めた事ですしね。」
「ふぅ・・・そうだな。
ま、あの3人は予定外だったが、概ね良い方向に行っているだろう。」
「色々と内情を話しましたね。」
「ああ、だが、アズパール王国としては慣例の戦争ぐらいが対応出来る限界だろう。
今の状態では我が国への侵攻は出来ないと思う。
それと各軍よりの報告にも遅延は認められないと来ているからな、全体の行程については遅延はない。」
「用意周到ですね。」
「ここまで差がある場合、戦争は始まる前に終わっている物らしい。
・・・さてと、さっきの4者協議の話をフレッディに話してやるか。」
「ドラゴン参戦ですからね。
大幅に予定を変えるでしょうね。」
「こちらの移動速度が速くなるという事だ、喜んで変更してくれるだろう。
行くぞ。」
ヴァレーリが席を立って執務室を後にするのだった。
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