第2035話 4者会談後のヴァレーリとの話し合い。(米を王城に入れたいんだよ。)
ヴァレーリの執務室。
ヴァレーリとタローマティ、武雄、ビエラにミアが机を囲んでいた。
ブルックは試験小隊の方の見学に参加しに行っている。
「やっと、あの3人が帰ったな。
全く・・・グローリア殿も良い歳をして食に目敏くてかなわないな。」
「あー。」
ヴァレーリの呟きにビエラが頷く。
「・・・ビエラ、米の事をなんでしゃべってしまったのですか?
好奇心に駆られると食べたいと言ってくるというのはビエラには予想出来たでしょう?
もっと、こう・・・違う事をやんわりと言えなかったのですか?」
武雄は2人の言い分に「貴女達も良い歳では?」と目線を逸らせながら聞いていたが、ビエラに聞く。
「あー・・・タケオ、ごみぇん。」
「・・・主、ビエラを責めないでください。
あれは致し方ないですよ。
何で主の下に居るのかの問答で嬉々として言ってしまった感じでしたし・・・」
ミアがビエラを擁護する。
「いや、怒っている訳でなく。
言うならば、もっと違う料理があったのではありませんか?
いっぱい食べた中で米を選んだのがね・・・プリンとかあったでしょう?」
「・・・あ?」
「そうですね。」
「だな。」
武雄の言葉にビエラが考えながら呟くとミアとヴァレーリが頷く。
「・・・うん?」
「まぁそうは言うがな、いろんな料理に対応出来る幅の広さで米が一番だろう。
特に肉に魚にと味が違うのにその全てに合う不思議!
なぜキタミザト殿の下にいるかと言われれば『料理が美味しい』というのが普通だし、『米という新しい物が食べて美味しかった』というのは普通に出る感想だ。」
「「そうそう。」」
ヴァレーリの言葉にビエラとミアが返事をする。
「まぁ、私も事前に注意しなかったのはありますけど・・・ま、次があるなら米の事はあまり言わない方が良いというのは今回わかったので気を付けましょう。」
「「はい。」」
「それにしても全てに合うという評価ですが、米自体が味が素朴だからなんでしょうね。
塩だけでも食べれますし。」
「「「は?」」」
ヴァレーリとビエラとミアが武雄に信じられないという顔を向ける。
「え?・・・なに?」
武雄が3人を見る。
「キタミザト殿、塩だけで?米を?」
「ええ、塩を付けて、三角に形作ったのを『おにぎり』と言いますけど。
立派な料理ですよ。
お茶をかけて食べても良いですし。」
「ん~・・・わからんなぁ。」
「あ~?」
「ん~?」
3人が首を傾げる。
「・・・美味しいんですよ?」
武雄が優しく言う。
「・・・タローマティ。」
「ダメですよ。」
ヴァレーリがタローマティに声をかけるがすぐに拒否される。
「たまには許される。
紙とペンを持て。」
「はぁ・・・フレッディ殿に怒られますよ?」
そうは言いつつも持っていた紙とペンをヴァレーリに渡す。
「ふふ~ん♪
良いんだよ。
・・・よし、タローマティ、これを第4軍に渡して来てくれ。」
「はぁぁぁ・・・わかりました。
では、一旦、下がります。」
タローマティが執務室を退出して行く。
「さて・・・でな、キタミザト殿。
王城で米を使いたいんだ。」
「うん、いきなり本題ですね。
でも、さっきの話では国内の生産地には米の美味しさを秘密にしたいと言っていましたよね。」
「うん、でも王城でも食べたいんだ。
とりあえず玄米精製機を売って欲しい。
ブリーニ伯爵領から少ーし、輸入しようと思うんだが・・・ね?」
「売るのは構いませんが・・・ん~・・・先の話の通り、向こうで流行ったら輸出量が下がる可能性があるんですよね?
ブリアーニ王国というより私への輸入量はどうなるか・・・ですかね。
私としてはあくまでシモーナさんとレバントさんから買っているだけなので、量が下がってしまったり、価格が上昇する可能性があるのでしょうけど。」
「そこなぁ。
どうしたものかな?」
ヴァレーリが武雄に聞く。
「なったらなったらで致し方ないでしょうね。
そこは買い手側としては受け入れるしかないでしょうけども。」
武雄が難しい顔をさせながら言う。
「こちらとしてはキタミザト殿の米の事を妨害しようとは思わんのだよ。
それに本格的に米を流行らせる段階ではないと考えている。
戦争もあるし、領地異動もあるし・・・まずは流行りよりもしっかりとした小麦等の生産をして欲しいからな。」
「でも、食べたいんですね?」
「うん。」
ヴァレーリが頷く。
「・・・ん~・・・まぁ国内の方には秘密にするなら、残ったのはカールラさんにお願いして増産に次ぐ増産をお願いしてみるしかないんじゃないですかね?
当面の間は少しぐらいなら私の方が少なくなっても致し方ないと私は思いますよ。
あとはカールラさんとレバントさんがどうするかの問題です。」
武雄が考えながら言う。
「レバントおば様がなぁ・・・ん~・・・カールラにお願いしてキタミザト殿用に用意している輸出量に影響がない範囲でこっちに回せそうな量を聞いてみようかなぁ。
そうすればおば様に迷惑はあまりかからないだろうし。」
ヴァレーリが腕を組みながら言ってくる。
「まずはそこでしょうね。
それに玄米精製機を購入しなくてもカールラさんから定期的に玄米にして貰った物を送って貰えば良いのでは?」
「あ~、確かにそれは考えなかったな。
そうか、調理直前の状態で持って来て貰うか・・・なるほどな。」
「まぁ、距離があるでしょうから品質的には落ちるでしょうけどね。」
「距離?ワイバーンで持ってこさせればその日のうちに手に入るぞ。」
「ワイバーン?・・・確か、小さいドラゴンですかね?
費用が高そうです。」
「ま、我は王だしな、それぐらいはしても問題はないだろう。
それに定時連絡に乗せれば良いだけだ。
なら輸入の件はカールラに依頼して余剰分でこっちに回せる分を玄米で送って貰う事にしよう。」
ヴァレーリが決める。
「前回の輸入の際に目一杯こっちに送ったような事を言っていましたけどね。」
「・・・言ってた気がする。
ん~・・・ま、カールラと話すか。
どちらにしてもキタミザト殿の方に影響があまり出ないように話をするつもりだ。」
「はい、お願いします。
それでも一悶着ありそうではありますね。」
武雄が諦めながら言うのだった。
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