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第2030話 4者会談。3(奴隷と戦争の話。)

話は武雄が保護した子供達の話題になっていた。

「なに?・・・魔王国内で誘拐が頻発だと?

 ヴァレーリ殿、それは本当か?」

「妖精だけではなかったのですね。」

グローリアとチーロがヴァレーリに言ってくる。

「ああ、キタミザト殿の元には、ドラゴン、人間から狼に変身する型の獣人、エルフ、獣人、魔人が居るが・・・全員が奴隷の首輪をしている。

 キタミザト殿がそういった者を保護し、雇用してくれているのだが・・・微々たる物だ。

 特に人間から狼に変身する型の獣人、エルフについては一家丸ごとやられた。

 そして他は子供達もな。

 被害も我が国全土とブリアーニ王国でだ・・・はぁ・・・」

ヴァレーリがため息を吐く。

「キタミザト殿、アズパール王国は奴隷は居ないと聞いていたが?」

「我が国は奴隷を認めておりません。

 先に話した者達は我が家の従業員です。

 ちゃんと周りと同じ給与を・・・ちょっと予算が厳しいので少ないのですけど・・・同水準にて払っています。

 あくまで雇用関係です。

 確かに首輪を外させてはいませんが、それは一時的に離国されないようにとの処置と本人達への戒めです。

 一度、奴隷の身分になったり、奴隷になる事を覚悟した者達です、仕事意欲が旺盛で助かっています。

 仕事と対価である給与を与えて、余暇は自由にして良いと言っていますね。

 まぁ子供達は伯爵家にお願いしてメイドと執事の研修をさせていますから少し大変かもしれませんがね。」

武雄が言う。

「・・・雇用関係か。」

「優秀な者達を集めたらこうなりました。

 まぁ約2名程、奴隷を買った代金を回収するという名目で首輪を付けさせていますが、今となってはいつでも外して良いかもしれませんけどね。」

「なるほど、一種の義務感を与えるか。

 名目と言うのは?」

ヴァレーリが武雄に聞く。

「雇用契約期間終了後に一括で渡してあげるんです。

 本人達には内緒で積み立てています。

 辞めて次の事をするにも資金は必要でしょうしね。」

「ふむ・・・キタミザト殿に雇用された者は安泰だな。」

グローリアが頷く。


「でだ・・・ヴァレーリ殿、誘拐の件の対応は?」

グローリアがヴァレーリに聞いてくる。

「調査中と言って良い段階だ。

 数軒の奴隷商を見つけ、監視、取り締まりは実施している。

 特に子供を狙っている所には手を入れている。

 のだが・・・」

「なくならないか。」

「中々良い回答はできないな。

 少なくとも子供達への被害は抑えられている。

 なので・・・大元はなくならないが輸送経路を取り締まる事にした。

 海側をな。」

「デムーロ国か。」

「「・・・」」

ヴァレーリの言葉にグローリアが反応し、チーロ達も目を細めて聞いている。

「うん、ああ、キタミザト殿にわかるように言えば、魔王国の南にある魔人が治める国だ。

 そこがウィリプ連合国への輸送拠点でな。

 そこを制裁に乗り出す。

 全軍でな。」

ヴァレーリが悪い顔をさせて言い放つ。

「今回の小麦等の輸送は?」

「ああ、その兵站だ。

 ギリギリまでデムーロ国には油断して貰う、その為にアズパール王国に対し慣例の戦争も行うし、南に王軍が集結するのはブリアーニ王国で頻発している蟲の被害に対してという名目だ。

 まぁ前哨戦として蟲狩りはするからあながち間違いではないが。」

「良いとばっちりですね。」

武雄が呆れながら言う。

「ふふ、領主達の目も欺きたいからな。

 それにアズパール王国に対しての慣例の戦争は我が王軍にとっては結果はどうでも良いが、対している領主達は本気で行う。

 気を抜かないで対応してくれる事を望もう。」

ヴァレーリがさも今初めて話したような口ぶりで話す。

「戦争に気を抜いて参加する者はいませんよ。

 ですが・・・貴国の王軍が参加しないというのはありがたい情報ですね。」

武雄も今知ったかのように話す。

まぁドラゴン達にアズパール王国に遊びに行っているというのは不穏に思われるからだろうと武雄は思う事にしていた。

「まぁ・・・それでも大変だと思うがな。

 今回は隣接しているファロンとパーニ、そしてベッリを援軍として当たらせるからな。」

「ほぉ、あの死兵達か。

 それは大変だな。」

ヴァレーリの言葉にグローリアが頷く。

「死兵ですか?」

武雄が言う。

「キタミザト殿、ベッリ男爵はリッチ部隊、あ~・・・魔法師部隊を率いるんだ。」

グローリアが言ってくる。

「厄介な相手が来るんですね・・・」

「総大将はパーニだ。

 侵攻は許してないが、王軍が移動する関係でアズパール王国の戦力を削れたらと思ってな。

 少なくとも疲弊して貰わないといけない・・・それが魔王国としての考えだ。」

ヴァレーリが堂々と時系列を有耶無耶にして話してくるが、誰も知らないのでヴァレーリは押し通すようだ。

「本拠地を留守にするから侵攻してきそうな所には釘付けか侵攻させる気が起きない程度に疲れて貰うというのはわかりますが・・・やられる方としては最悪ですね。」

「まぁ、そうだろうな。

 だが、一度決めてしまったからな。

 これから方針を替えるのは些か不審がられるというのもある。

 理由が王軍の移動というのは・・・特にファロンとパーニには王軍が移動するのはギリギリまで知らせたくないのでな。

 ベッリの方にはあまり攻めるなと言っておこう。」

「・・・その2人がうちの従業員に関係していると?」

武雄が目を細めて聞いてくる。

「あの2人は誘拐等には関与はしていない。

 それが我々が調べた結果だ。

 だが、確たる証拠はないが・・・首謀者に近いと思っているし、奴隷商とも繋がっていると思っている。

 まぁあの2人には何かしら仕置きはするからキタミザト殿は結果を待っていてくれ。」

「その前に慣例の戦争ですからね・・・被害少なくしないと。」

「そこはキタミザト殿の奥方の実家であるエルヴィス伯爵と相談して上手くしてくれ。」

ヴァレーリが武雄に言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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