第2028話 4者会談。1(ミアの重要性を説明しよう。)
魔王国 王城内の小会議室。
参加者はヴァレーリ、第1軍指揮官のフレッディ、第4軍指揮官、ドラゴンロードのグローリア、妖精王のチーロとマルタ、武雄、ビエラ、ミア、ブルック。
同行者1名を試験小隊から選ぼうとしたらブルックの目力が凄かったので選んでいた。
ブルックがその場では「いえいえ、私は所長を見ていただけですよ」と言っていたが、皆から離れてから「所長が『テーア殿を買った際に今回来たフォレットさんが引き分けたんですよ。私の部下?もちろん同水準の兵士ですよ。』なんて言うから向こうの目の色が一瞬、変わったんです。なので訴えかけました」と本音を言っていた。
武雄はブルックの言い分を笑いながら「そう?考えすぎだと思いますよ?」と言いながらあまりにも早く現れたソルミを見て「私達を待っていた可能性は高いが参加はないだろう」と思うのだった。
「さてと・・・まずはキタミザト殿からビエラとミアの入手状況の説明をして貰おうか。」
ヴァレーリが武雄に向かって言う。
「その前に・・・本当に皆さん『さん』付けで良いんですか?」
「「「ええ。」」」
グローリア、チーロとマルタが頷く。
「・・・はぁ・・・うちの陛下もそうですが・・・自由過ぎませんか?」
武雄が呆れながら言う。
「うん?・・・キタミザト殿も自由だろう?
公式ではないんだ、堅苦しく話しても意味はないだろう。」
「「「うんうん。」」」
「はぁ・・・わかりました。
では・・・えーっと・・・どこから話せば・・・
ミアの話からしますか。
その後にウィリプ連合国への出張の話とビエラとクゥとリツの話ですね。」
「うん、よろしく頼む。」
「まずミアですが、出会いはアズパール王国エルヴィス伯爵領にて起こったゴブリンとオーガの襲撃事件になります。」
ヴァレーリがそう言うと武雄が話し始めるのだった。
・・
・
ミアとの出会いを武雄は大まかに説明した。
「・・・フードを被った人間の転移魔法・・・か。」
ヴァレーリが考えながら呟く。
「アズパール王国では存在自体は教本に載っている程度でやり方も消失しており、過去100年は使われたことがないそうです。」
武雄が説明する。
「キタミザト殿、その話の信憑性はどのくらいだ?」
グローリアが聞いてくる。
「我が国の王城付きだった元魔法師からの証言です。
かなり高いと私は思っています。
なので、我が国としては転移魔法自体発動させられません。
ダニエラさん、魔王国はどうですか?」
「・・・はぁ・・・一応、国王付きのメイドが2名程出来る。
これは王城に万が一があった際の避難用という事で特化した魔法師を起用している。
だが、この魔法は一子相伝だし、この二家は魔王国に忠誠を誓っている・・・魔王国建国から仕えているから・・・ここから外に出たとは考えられん。
それに使い勝手が悪くて転移する場所を詳細にイメージ出来ないといけないとかでイメージが崩れないように定期的にその場所に行って過ごしていると聞いている。
維持も大変だという事なんだが・・・。」
ヴァレーリが言う。
「転移魔法で妖精の棲みかへ?・・・それは出来るのだろうか。
ヴァレーリ殿の所でさえ2名だろう?」
「事実としてミア達がオーガとゴブリンの集結場所に転移魔法を使って移動したというのは本人からの証言で分かっている。
転移魔法を簡易的に使用する方法があるのかもしれないですね。」
グローリアとチーロが言う。
「キタミザト殿、実施者は?」
「襲撃を受けた時点で対象のゴブリンとオーガ以外はいなかったですね。
どこの誰がしたのか・・・もっと言えば妻のアリスが武勇を立てたのも今回と同じような状況ですよね。」
武雄が言う。
「2回か・・・偶然にしては間隔が短いな。
我が国としては何も指示してないからな。」
ヴァレーリが言う。
「うちには魔王国出身者がいます。
そんな小細工しなくても魔王国はアズパール王国に正面から戦って勝てる事を私達は知っていますからね。
少なくともエルヴィス伯爵領については魔王国が仕掛けたとは思っていませんが・・・狙われているのは確かなんですよね。」
「まぁ・・・狙いやすい所にあるんだろうな。
キタミザト家やエルヴィス家ではどんな対応をするんだ?」
「はい、ミアにエルヴィス伯爵領内で生活している鷲と狼等の一家のとりまとめを行って貰い、伯爵邸がある街を中心に周囲の魔物の観察と討伐を依頼しています。」
「現状と比べて異常があれば割とすぐにわかるという事か。
ミアが担っている仕事は地味そうだが、重要な物なのだな。」
「はい、ミアがしているのは人間種では到底出来ない事です。
上手くいけばエルヴィス家内での名が売れ、しっかりとした対応や発言力が高まると考えています。
それが万が一、他の妖精を保護した際も無下な扱いはされない事だとも思っています。」
武雄がミアの重要性を説明する。
「なるほどな。
これはおいそれと仕事を離れられないかもしれないな。」
ヴァレーリがチーロとマルタに向かって言う。
「そのようですね。」
「妖精が活躍する場があるのですね。」
2人が頷くのだった。
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