第2027話 予定が初っ端から崩壊しました。(しょうがないから皆で分かれて行動しましょう。)
「・・・」
紐でぐるぐる巻きにされ、口も猿ぐつわをされたグローリアを武雄が見ている。
「まぁ・・・なんですかね・・・
改めて、こっちがドラゴンの長のグローリア殿、こっちが妖精の長のチーロ殿と奥様のマルタ殿。
共にビエラとミアの親御さんです。」
ヴァレーリが3人を紹介する。
「タケオ、ごみぇん、あ~・・・」
「主、親が申し訳ないです。」
ヴァレーリが紹介するとすぐにビエラとミアが申し訳なさそうに頭を下げて謝ってくる。
「まぁ・・・2人も音信不通でしたしね・・・
親に心配をかけてしまいましたね。」
武雄が「こっちも連絡させなかった落ち度はあるけど」と思いながらも呆れている。
そして騒ぎを聞きつけて、第1軍指揮官であるフレッディと指揮官補佐、補佐官数名、荷物の納入書と請求をしていたレバントとシモーナ、訓練場で待っている第2軍の幹部数名が来ていた。
「あ~・・・キタミザト殿、来て早々ですみませんが、非公式で議事録も残らず、守秘義務がかかる4者協議をしたいんですけど。」
ヴァレーリが言い辛そうに言ってくる。
「はぁ・・・このまま立ち去っても街中でさっきの繰り返しでしょうしね。
事実をしっかりと話す必要があるのはわかりますけど・・・」
武雄が考えながら言う。
「なら、手土産に魔王国の話をしますよ。
先の話し合いの時と同じ当分は(4か月程)正式な報告をしないで貰いましょう。
まぁ・・・要は貴国の陛下以外には報告不要という事で。」
「またですか・・・そうですか・・・
でもそれって私にとって得る物があるのですかね?」
「ないですね。」
ヴァレーリが即答する。
「知りたくない情報に触れさせられるのは億劫ですよ。
で・・・同行は何名で?」
武雄が諦めながらヴァレーリに聞く。
「キタミザト殿は1名ですかね。
グローリア殿とチーロ殿、マルタ殿はご自身のみ。
私の方は・・・数名と言っておきましょうか。
キタミザト殿の時を貰ってしまうから別行動を取る方々には便宜は図りましょう。
何をする予定だったのですか?」
ヴァレーリが聞き返してくる。
「デナムさん、ラングフォードさん、ハガードさんは雑貨屋、青果店、干物屋、穀物問屋の商店と武器屋に行ってください。
護衛はラックさん、バートさんとフォレットさん。
皆で話し合って好きな所を見てください。
輸入に繋がるなら尚良しとします。」
「「「はい。」」」
デナム達が返事をする。
「ふむ・・・商店に行ってアズパール王国に無い物を探して輸入に繋げる・・・ですか。
おば様、シモーナさん、支払いは終わりましたか?」
「ええ、終わりました。
この後はうちの店で休憩しながら見に行く商店の話をしようと思っていたのですけど・・・
キタミザト様は緊急の用事のようですね。」
レバントが言う。
「ええ、ごめんなさい。
こっちも済まさなければいけない案件のようですからね。
デナムさん達は輸入したら儲かりそうな品を見つけてくれるので色々と見せて貰えるとありがたいです。
商流はレバントさん、シモーナさん、私の流れは変えませんよ。
原価は知ってしまいますけど、そもそも輸入なので価格が変わるのはわかっている方々です。
暴利でなければ問題はないでしょう。」
「そうですか・・・では、私とレバントおばさんはデナムさん達に付いて行きます。」
シモーナが言う。
「なら・・・フレッディ、2、3名を同行させられるでしょうか。」
「はい、うちからは2名同行させましょう。」
フレッディがそう言うと指揮官補佐と補佐官の女性2名が前に出る。
「え?・・・君が行くの?・・・まぁ、良いでしょう。
彼女達ならば知識もありますし、商店と交渉も出来ます。
直接の販売に問題があるなら第1軍の方で買い取ってからの販売もしてみましょう。
試験的に輸出の経験をするのもありかもしれません。」
「そこは・・・私ではわからないので、お任せします。」
フレッディの言葉にヴァレーリが何か言いたそうだったが、任せる事にしたようだ。
「あと、うちの試験小隊の面々に貴国の軍を見せて貰えますか?
どんな兵士が居て、どういった訓練をしているのか。
兵士でなければ分からない事もあるでしょう。」
武雄がヴァレーリに言う。
「訓練・・・ですか。
丁度、訓練場を第2軍が使っていましたが・・・あ、来てますね、って、ソルミか。
見学できますか?」
ヴァレーリが用意周到で待ち受けていたのだが、今知ったかのように振舞う。
「はい、私達の大隊が今は使用しています。」
「うん、丁度良い。
キタミザト殿、第2軍の訓練を見られては如何だろうか。」
「あ~、ソルミ殿ならアズパール王国の王都で会いましたし、お願いしますかね。
アンダーセンさん。」
「はい、所長。
皆を連れて魔王国の王軍の訓練の見学をしてきます。」
「うん、お願いします。
あとは軍の組織についての概要も聞いてきた方が良いかもしれません。
巨大で多種族国家の軍はどういった組織なのかを知って損はないでしょうし、もしかしたら後々に活かせるかもしれません。」
「はい。」
「ソルミも頼みますよ。」
「はい、見聞して頂こうと思います。」
ソルミがヴァレーリと武雄に頷くのだった。
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