第2026話 発見されました。(まぁ子供が首輪していたら怒るよね。)
「これまた・・・壮大な城ですね。」
指定された訓練場に着き、荷台から降りた武雄が魔王国の王城を見ながら言う。
「これが魔王国の王城。」
「はぁ・・・」
「・・・」
4人が見惚れている。
「所長、凄いですね。
打ち合わせしていたとは聞いていましたけど、兵士達が次々に到着した幌馬車に近寄って穀物を降ろしていきます。
皆が皆、組織立っています。」
馬を降りたアンダーセンが武雄達に近寄りながら言ってくる。
「うん、これだけでも魔王国の王軍の組織力がわかってしまいますね。
まぁ我が国の第1騎士団とかは平然とこのぐらいはしてくれるでしょう。
ラックさんはどう思います?」
「まぁ・・・出来るでしょう。
ですが、こうも無駄口も叩かずに整然とされていると圧倒されるのは確かですね。
指揮命令系統がしっかりとしている良い組織です。」
他の面々も感心しながら作業を見ている。
と。
「あ!」
「ん!?」
ビエラとビエラの肩に居たミアが同時に同一方向を見る。
とメイド姿のヴァレーリが全速力でやって来る。
「キタミザト殿!すまん!緊急だ!すぐに城外に!」
「え??・・・あの?」
「説明はあとで・・・あぁぁ、来ちゃった・・・」
ヴァレーリが来た方から白髪の初老の男性が全力で走ってくる。
「あ゛ー!!」
ビエラが戦闘態勢を取る。
「すまんがビエラ、アレ止めるぞ!」
「はい!」
ビエラに続きヴァレーリも素手で受け止める気なのだろう軽く戦闘態勢を取る。
「あれ???うちのもあそこに居ませんか?」
ミアが呆れながら見ているが、ビエラの肩に居るのは危険と判断しアンダーセンの肩に移動する。
「「「・・・」」」
武雄の同行者は武雄から距離を置く。
「皆、正直ね。」
武雄がジト目で見るが別に怒っている訳ではなく、自分も他人事なら距離を取るだろうから気持ちはわかっての言葉だった。
「所長、頑張って!」
代表してブルックが言ってくる。
「はいはい。
ビエラ、ダニエラさん。
ケアです。」
武雄が2人の背に手を置きケアをする。
「あ!」
「支援感謝!
来るぞ!ビエラ!」
「はい!」
ビエラとヴァレーリの間合いを見ている。
「貴様ら!どけぇーーー!!」
グローリアが吠える。
「あんたがまず止まれ!」
「あー!」
2人も吠える。
と、グローリアがヴァレーリを排除しようと手刀を上段から打ち込んでくる。
「ふぅ・・・ふっ!」
ドンっ
ヴァレーリが両腕を上段でクロスさせ手刀を受け止める。
「あー!!」
すかさずビエラはグローリアが手刀を打ち込む為に踏み込んだ足にタックルし、後ろに持って行き、転ばせようとする。
「くっ!このっ!」
グローリアは勢いはあるものの手の方はヴァレーリに受け止められ、足はビエラに刈られ、ほぼ腹ばいで地面に落ちていく。
「ダニエラさん!左腕を回して肘で囲いながら背に乗って!
ビエラ!片足持って腰に!」
「「はい!」」
武雄の指示に2人が反応する。
「不格好でも良いです!
腕と肩の片方ずつを自由にさせない!」
「がぁっ!!」
グローリアが地面に伏す。
「で・・・えーっと・・・これは?」
武雄が目線で「これなに?」とヴァレーリに聞く。
「ああ、グローリアはビエラの親だ。」
「あ~・・・」
ヴァレーリがそう言うとビエラが残念そうに頷く。
「良くもビエラの首に奴隷の首輪をー!!」
グローリアが怒りの目を武雄に向けている。
「んん!力強いな!
ビエラ行けるか!?」
「あ?あ!」
ビエラとヴァレーリが同時にさらに締め上げて行く。
「くっ!!!?」
グローリアが苦悶の表情を浮かべる。
アンダーセンの方ではミア親子が対面していた。
「ミア~、無事だったのね。」
「生きていて嬉しいぞ。」
「父上、母上、私は元気でアズパール王国で働いていますから!
戻りませんよ!」
ミアが出だしで親が言ってくる事であろう事を牽制する。
「だが・・・」
チーロが悩む。
「今では狼や鷲を配下に持っているんです。
おいそれとそれを放り出して帰れませんよ。」
ミアがジト目で言う。
「「そうかぁ・・・」」
チーロとマルタが残念そうに言う。
「仕事も終わって、暇だったら一度戻るかもしれません。
なので、一生ではないですが、もしかしたら数回程度しか戻れないと思います。」
「そうなのか・・・ヴァレーリ殿にアズパール王国に居ると聞いた時は驚きはしたが。
その辺の事はヴァレーリ殿が聞き取りをすると言ってくれたのでな。
なので、今聞く事はないと・・・言い聞かせている。
ヴァレーリ殿の質問には正直に答えてくれ。」
チーロがミアに言う。
「わかりました。
後で主にも言っておきます。」
ミアが答えるのだった。
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