第2025話 229日目 魔王国の王城がある街に到着。(準備万端みたいです。)
武雄達が魔王国の城壁に到着していた。
「・・・大きいですね。」
武雄が城壁を見上げながら言う。
「あ~。」
「ビエラ、『下から見るとまた違うね』って当たり前じゃないですか?
ビエラ達は上から見ているんですから。」
「?・・・ミア、あ~・・・」
「え、どうしたんです?
王城に行きたくないなんて・・・」
「あ~・・・」
「面倒な気がするって・・・ヴァレーリ陛下?」
ミアが最後の部分を小声でビエラに聞いてくる。
「あ。」
「『なんか前来た時と違う』ですか。
ん~・・・主、何かあるみたいです。」
ミアが武雄に言う。
「何が待っているかは行ってみないとわからないですよね。」
武雄が考えながら言う。
「キタミザト様、受付終わりましたよ。
レバントおばさんが話を通してくれたみたいですし、王城からも指示があったようです。」
「こんにちは、キタミザト様。」
シモーナとレバントがやって来る。
「レバントさん、こんにちは。
押しかけてすみません。」
「いえいえ、構いませんよ。
それよりも長旅ご苦労様でした。
キタミザト様方の宿も手配はしていますが・・・」
レバントがそこまで言って考える。
「が、なんですか?」
「ん~・・・今日も朝から王城に行って段取りをして来たんですけどね・・・
ダニエラちゃんが疲れた顔していましたよ。」
「ダニエラさんがですか?」
「ええ、でもキタミザト様がいつ来るかを聞いてきましてね。
キタミザト様が王城に行けばダニエラちゃんに捕まるんじゃないかと。
流石に宿には帰してくれるとは思うのだけど・・・遅くになるかもしれませんね。」
レバントが心配そうに武雄を見ながら言う。
「ん~・・・出会わない事を祈るしかないでしょうね。」
「なら、なるべく余計な所には行かずに引き渡すしかないですね。
シモーナさん、このままこの道の先にある、城に向かって問題ないわ。
城の門に居る兵士には話が通っているし、誘導してくれる手はずになっているわ。」
「わかりました。
キタミザト様、荷台に戻ってください。
出立します。」
「はい、わかりました。
ビエラ、行きますよ。」
「は~い。」
武雄とビエラが荷台に戻るのだった。
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魔王国王城の幌馬車受け入れの場となる第4訓練場。
「えーっと・・・聞いている数の幌馬車の誘導をする為の人員も配置した。
幌馬車が着き次第、すぐに荷下ろしと倉庫に搬入・・・うん、大丈夫そう。」
第1軍の指揮官補佐が最終確認をしていた。
「報告!第3大隊第2中隊支援に参りました!」
ラフな格好の兵士が指揮官補佐に敬礼しながら言う。
「はい、ご苦労様です。
もうすぐ着くはずですので準備運動をしていてください。」
「了解しました。」
兵士が屈強な者達が集まっている方に戻って行き各々で準備運動を始める。
「受け入れは滞りなく出来そうですね。
それにしても予想外というか・・・陛下や指揮官達は大変そうですね。
ドラゴンロードと妖精王は帰るかと思っていましたが、居残りましたしね。
キタミザト殿への聞き取りをどうやるかで皆で相談していましたし・・・大丈夫なのでしょうか。」
と指揮官補佐が王城を見上げながら呟く。
「報告します。
ご連絡のあった方が受付を通過いたしました。」
「はい、ご苦労様です。
来ますか・・さて、まずは確実な受け入れをしないとですね。
失敗は出来ませんね。」
小さくだが指揮官補佐が気合を入れるのだった。
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王城に向かっている武雄達はというと。
「・・・出歩いている人が少ないですかね。」
「確かミアが前に寂しい場所と言っていましたか。
この感じは見方によっては寂しいですかね。」
「寂しい・・・まぁ賑やかという訳ではないですね。」
ラングフォード、武雄、デナムが過ぎ去っている街並みを見ながら感想を言っている。
「なんて言うんですかね・・・店は開いていますし、買っている人達もいますし、人々も歩いていますけど・・・
アズパール王国の王都はもっと賑やかです。」
「そうですね。
不思議な感じです・・・なんと表せば良いのかわかりません。」
ラングフォードとデナムが珍しい物を見るかのように見ている。
人々が淡々と欲しい物だけを買い、挨拶もそこそこに立ち去り、街中ではあまり話さないで歩いている。
活気が無いという訳ではなく、商店の店先で無駄に話をしていない感じがするのだ。
見る人によっては寂しいと言われるかもしれないが、武雄は「ビジネス街っぽいね」と思っていた。
たぶん、1本か2本路地に入ればアズパール王国でも見かける商店街っぽい感じのする感じになっているのだろうが、この通りにはそういった賑やかな感じはしなかった。
「まぁ・・・こういった町もあるのだという事でしょう。
いろんな国があるという事ですよ。」
武雄はそう言うに留めるのだった。
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