第2022話 来賓が来ましたよ。(そう思うなら魔王国の政治に参加しろ。)
魔王国王城の貴賓室。
「失礼する。」
着飾ったヴァレーリとフレッディが入ってくる。
室内に居た白髪の初老と思われる男性と机の上のチビッ子が起立して出迎えている。
「ドラゴンロードのグローリア殿、妖精王のチーロ殿と王妃のマルタ殿、お久しぶりです。」
ヴァレーリが用意された席の前に立って言う。
「ヴァレーリ殿、お久しぶりです。
お元気そうでなによりです。」
グローリアが言う。
「「お久しぶりです。ヴァレーリ殿。」」
チーロとマルタが言う。
「ふむ・・・まぁ、とりあえず、座って話しましょう。」
ヴァレーリがそう言うと3人が座る、同じタイミングでヴァレーリも座る。
ちなみに妖精の2人は机の上にミニチュアの椅子と机が用意され、小さいテーブルクロスが掛けられていた。
「失礼する。」
グローリアが返事して座るとチーロとマルタも会釈して座る。
「本来は大会議室なりをご用意するべきだったのだが、3者という事でこちらで結構とのご返答があったのでお言葉に甘んじてこちらにさせて頂いた。」
「こちらとしても、こちらの方が楽ですからね。」
「そう言って頂けるとありがたい。
それで・・・今日はどうされたのですか?」
ヴァレーリが聞く。
「ふむ・・・ヴァレーリ殿が今年退任されると聞きましてね。
真意をお聞きしたいと思い参りましたぞ。」
グローリアが言ってくる。
「・・・真意?・・・ただ単に任期が来たので辞めるだけですよ。」
ヴァレーリがにこやかに首を傾げて言ってのける。
「それは・・・誰かに何かを言われたわけではない・・・と?」
「・・・グローリア殿はその事について、誰に何を言われたか私がお聞きしたいのだが?」
ヴァレーリは顔は笑顔のまま言う。
「・・・」
ヴァレーリとグローリアが一瞬の間だが見つめる。
「・・・私の方は誰にも言われておりませんよ。
この国は安定しておりますからね。
このような時に退任されるというのは何があったのではと考えただけです。」
「それは心配し過ぎですよ。
我が国はトップが変わったからと言ってどうこうなるような組織ではありません。
部下達は優秀です。
もし、暴君が国のトップになっても抑え込めるだけの知性と武力を持っています。」
「それは・・・傀儡に?」
「部下達が政治をするのを傀儡とおっしゃる?
・・・それは少し違いますね。
我が国の国王という役職は確かに最高意思決定権を持っているが実務は部下達がしている。
我を含めて歴代の国王達は上がって来た要望の精査と決定を行う事と自らがしたい事を部下達に提案する事が仕事なんですよ。
部下達は提案された物が実行できるかの試案をし、実施出来ると部下達が判断するなら実行、出来ないと判断すれば却下されます。
トップに立ったから自由に国を動かして良いとは誰も言っていないのです。
国の代表だからといって自由に行動出来る訳ではないのですよ。
なので、暴君がもし私の後継に立ったならば部下達が総力を挙げて修正にかかるでしょう。」
「修正・・・ですか?」
「ええ、修正です。
またの名を教育という名の拷問ですがね。」
「拷問とはまた穏やかではない言葉を使いますね。」
「はははっ私が着任したばかりの頃は無知過ぎて毎日教育の日々でしたよ。
あれは大変でした、体験した私から言わせれば拷問と呼びたくなる内容ですからね。」
「それほど辛い経験を。」
「ええ。
まぁ・・・なんですか・・・今が交代する機会だろうと思ったわけですよ。
誰に何かを言われたわけではありません。
そして交代しても急激に何かが変わるという訳ではないのでご安心ください。」
「そうでしたか。」
グローリアが言うとチーロとマルタも安堵したかのような顔をさせる。
「国内に住む者達は不安がっていますか?」
ヴァレーリが聞く。
「ヴァレーリ殿の治世は良かったですからね。
戦争とは無縁でしたし、国内が安定していた。」
「ふむ・・・安定ですか。
そう取って頂けるとやった甲斐がありましたね。」
ヴァレーリが頷く。
「そうだ、美味しいスイーツが手に入りましてね。
食べてみてください。
用意を。」
ヴァレーリが言うとメイド達が入って来てスイーツを置いていく。
「ふむ・・・では、どうぞ。」
配膳が終わるのを見届けるとヴァレーリが言う。
「失礼して・・・ふぁ!?」
「あああぁぁ!!」
「!!?」
3人が口に含んだ瞬間に驚愕の顔をヴァレーリに向ける。
「ふふ、凄いでしょう?
プリンと言うのですけどね。
新しい食感で甘いのです。」
「これは凄いですね・・・」
「この地に売っているのですか!?」
「うんうん。」
3人が羨望の眼差しをヴァレーリ向けてくる。
「残念ながら製法が独特でしてね。
王城のみでの提供品となっています。」
「「「むむむ・・・」」」
3人が悩んでしまう。
「今後とも魔王国への助力をお願いします。
あぁ、それと棲みか辺りで何か要望があればお聞きしたいが?」
ヴァレーリがにこやかに言ってのけるのだった。
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